「いっしょに食べれば、もっと幸せ」というメッセージを著名な親子の視点で発信

 ハーゲンダッツ ジャパンは、ハーゲンダッツのふたを開けると現れるハート形のクレーターを「ハーゲンハート」と称し、ハーゲンダッツがもたらす幸せな時間をハートのモチーフと重ね合わせて発信してきた。そこで、同社の創業日であり、ハートの日でもある「8月10日」をハーゲンダッツの日に制定。2017年に日本記念日協会に記念日申請を行い、正式に登録されている。そんな記念日の前日と当日の8月9日と10日、2日続けて朝日新聞朝刊に全15段広告を掲載した。

記事広告だから実現できた、ブランドイメージに合った豪華なキャスティング

2018年8月9日付 朝刊 全15段762KB
2018年8月10日付 朝刊 全15段698KB

 両日ともに、著名人の親子2組による対談形式による記事広告で、8月9日は狂言師の野村萬斎氏と息子の野村裕基氏、8月10日はタレントでエッセイストの安藤和津氏と娘で映画監督の安藤桃子氏が登場。それぞれ日常生活の話や家族と食べたハーゲンダッツの思い出、好きなフレーバーなどについて語っている。

 この記事広告は、2018年1月から「ハーゲンダッツを大切な人と一緒に食べれば、もっと幸せ」というメッセージを伝える「Happy Häagen Project(以下、ハッピーハーゲンプロジェクト)」の一環として企画されたものだ。記事広告を掲載した背景について、ハーゲンダッツ ジャパン マーケティング本部 マネージャーの黒岩俊介氏は次のように話す。

黒岩俊介氏

 「昨年、8月10日をハーゲンダッツの日と制定したことを伝える純広告を朝日ほか新聞に掲載しました。より多くの人にハーゲンダッツの日を知っていただき、記念日をきっかけにハーゲンダッツを楽しんでもらいたい。そんな思いから、継続して新聞広告は出稿するべきだと考えていました。そこで、今年はハッピーハーゲンプロジェクトの第3弾のひとつとして、家族という大切な人とハーゲンダッツを食べるという豊かな時間の過ごし方を、著名な方々の視点で伝えていくことにしました」

 家族と言っても、さまざまな形がある。多様な家族を紹介しようと、同じ伝統芸能を極める野村親子と、異なる道で活躍している芸術一家の安藤親子に声を掛けたという。 このキャスティングについて、黒岩氏は「信頼性の高い朝日新聞とのタイアップだったからこそ実現できたことです。家族という切り口でメッセージを伝える今回の企画には、読む媒体であり、幅広い層にリーチできる新聞が一番効果的だと考えました」と話す。

 対談の内容は、野村親子と安藤親子、それぞれの日常生活が垣間見られ、その中でハーゲンダッツの話も自然に出てくる。広告ではあるが、「読みもの」として楽しめるのが特徴だ。「新聞広告の強みは、ハーゲンダッツは好きだけど、自ら積極的には情報を収集していない人たちにもメッセージを届けることができること。そして、読むメディアだからこそ、ゆっくりメッセージを伝えられる。それはSNSでの情報発信との大きな違いだと思います」(黒岩氏)

「ハーゲンダッツの日」を盛り上げるさまざまなキャンペーン

 ハーゲンダッツは、一人でご褒美として食べるという人も多いという。そのため、ハッピーハーゲンプロジェクトは、大切な人とアイスクリームを食べながらすてきな時間を過ごす――そんな楽しみ方を一年間にわたって伝えるとのことだ。ハッピーハーゲンプロジェクトの第3弾は、8月4日から18日まで全国7カ所で開催された「Happy Häagen Heart(ハッピーハーゲンハート)」と題したサンプリングイベントで、大切な人と一緒に「ハーゲンハート」を探しながらハーゲンダッツを味わうという内容だった。ハーゲンハートを見つけたら、食べる前に記念撮影をして「#ハーゲンハート」をつけてSNSに投稿すると、ハート形のバルーンをプレゼントしたという。

 今回のイベントでは、11種類のハーゲンハートを見本としてホームページにもアップした。ただ、ハーゲンハートは製造工程で偶然にできるもので、意図的にハートをつくることはできない。「もともとは、一般の方がハーゲンダッツの表面が『ハート形に見える』とSNSに投稿して、そこから拡散されて同様に楽しむ方が増えていきました。ハーゲンダッツ ジャパンが2年前に『ハーゲンハート』と名付け、ハーゲンダッツを食べる楽しみの一つとして提案しています」

 8月10日のハーゲンダッツの日を盛り上げるために、コンビニやスーパーの売り場を拡大したり、ツイッターでもキャンペーンを実施したりした。「ハーゲンダッツを最大100個まで好きなだけプレゼントするという企画で、誰と一緒に食べたいか考えてハッシュタグをつけて投稿してもらいました。これも家族や友だちと食べる楽しさに気づいてもらうことが狙いです」(黒岩氏)。

 さまざまなメディアで情報発信を行っているが、ハーゲンダッツの上質感は保たれている。記事広告でもハーゲンダッツのブランドカラー、バーガンディーレッドを効果的に使用。下段の広告部分も、柔らかいトーンの写真が印象的だ。

 「ハーゲンダッツが日本に初上陸した頃を知る人たちは、海外から来た大人向けの贅沢(ぜいたく)なアイスクリームという印象を持たれています。ただ、現在のメーンターゲットである20代にとっては、生まれたときからコンビニやスーパーにハーゲンダッツは売られているので特別感は薄い。そのため、テレビCMでハーゲンダッツが特別な商品であることが伝わるように工夫しています。理想は、ハーゲンダッツが特別なときに食べるアイスクリームであることが家庭で継承されること。そのためにも、家族とハーゲンダッツを食べる豊かさを発信することが必要なのだと思います」と黒岩氏は語る。