全世界で累計発行部数5,000万部を超える超人気漫画『進撃の巨人』。今夏に公開が迫るファン待望の実写映画化を手がけるのは、『日本沈没』『のぼうの城』などの映画作品で知られる樋口真嗣監督だ。
「今回はとにかく原作に忠実に撮っています。ファンが見たい世界を再現するのが実写化だと思うので。多くの人に期待されるのはうれしいことですが、チャンスとピンチは裏表。大きなチャンスは大きなピンチでもある。公開までは恐怖ですよ」
原作の魅力を「ロボットではなく、むき出しの人間が戦う構図」と語る。巨人がすべてを支配する世界のリアリティーある映像は、ミニチュアや人が中に入って操る人形を用いた特撮映像にCG処理を施すことで実現。撮影現場での試行錯誤と、CGクリエーターたちの技術力の相乗効果の産物だという。
「映画とは“驚き”に満ちたものでなければならない。観客を驚かすことのできる絵さえ撮れれば、僕は手法にはこだわりません」
今や、スマホや一眼レフなどで誰もが手軽に映像を作り発信できる時代。「だからこそ、観る人の想像を上回るような『新しい表現』を、プロである僕たちが常に提供し続けなければならないと思っています」
面倒くさくて逃げ出したいことばかりですよ、と冗談交じりにつぶやく。
「でもね、それ以上にやっぱりおもしろいんですよ。そして49対51の僅差(きんさ)で“おもしろい”が勝った作品だけが、見る人にも楽しんでもらえるんじゃないかと思うんです」
映画監督/特技監督/映像作家/装幀家
1965年東京都生まれ。84年、映画『ゴジラ』の制作に携わったことをきっかけに映画の世界へ。95年『ガメラ 大怪獣空中決戦』で特技監督を務め、日本アカデミー賞特別賞を受賞。2012年には短編映画『巨神兵東京に現る』で VFX-JAPANアワード2013のCM、博展映像部門を受賞する。16年には庵野秀明氏と共に手がける映画『ゴジラ』が公開予定。映画『進撃の巨人』は、前後編2部作が8月、9月に連続公開される。