とりあたま(文鳥/白文鳥)

 緻密(ちみつ)な線画で描かれたネコと文鳥。ユーモラスな構図と愛らしい表情の中にもほんの少しにじむ毒が、ヒグチユウコさんらしい作品だ。

 美大では油画を専攻。卒業後は個展で作品を発表しながら絵を売る画家として生活してきた。ネコをモチーフにした作品を多く手がけるようになったのは、12~13年前に愛猫ボリスと出会ってから。育休中にネット上に自分の作品を発表するようになったことで一気に知名度が上がり、今では自身のブランドを立ち上げたり、絵本を出版したり、と活躍の場をどんどん広げている。

 「年頃の女の子が手にするものや小さな子どもが目にする本に載ると、私の絵にいろんな人との関わりが生まれる。それがとても不思議だし面白いなと感じています。そういう不特定多数の人との関わりはギャラリーで絵を展示しているだけではあり得ないことですから」

 絵を描くのは子どもの頃から好きだったという。

 「特に昆虫や植物など、細部が緻密な小さきものをよく描いていました。楳図かずおさんや諸星大二郎さん、伊藤潤二さんのホラー漫画も大好きで、かなり影響を受けています。いつか自分でもホラー作品を描いてみたいですね」

ヒグチユウコ

画家・絵本作家

東京都在住。多摩美術大学油画科卒業。個展にて作品を発表することを軸に、ファッションブランドや画材メーカー等、様々な企業とのコラボを展開。2015年1月に自身のオリジナルブランド『Gustave(ギュスターヴ)』を立ち上げる。著書は『ふたりのねこ』『せかいいちのねこ』など多数。9月に『ヒグチユウコ 100POSTCARDS Animals』『ボリス絵日記』『ギュスターヴくん』『すきになったら』の4冊を出版。長野県岡谷市のイルフ童画館にて「石黒亜矢子・ヒグチユウコ 2人展」(9/9~11/14)を、東京都中央区のPOLAアネックスにて個展(10/7~11/20)を開催予定。