下町ロケット2 ガウディ計画

 朝日新聞朝刊連載中の『下町ロケット2 ガウディ計画』。作家・池井戸潤さんの物語を彩るのは、龍神貴之氏の繊細で温もりのある挿絵だ。

下町ロケット2・新聞連載共通イメージ

 「夢を追いかける人々の話なので、真っ直ぐ上っていくイメージと希望を感じさせる明るい色を意識して描きました。『下町ロケット』は、池井戸さんの小説の中でも僕の一番好きな作品。挫折しながらも立ち直り、もう一度夢を追いかける主人公の熱さに惹かれます。新聞連載では物語の進行に合わせて挿絵も変わっていくので、その点も合わせて楽しんでもらえたら」

 池井戸作品をはじめ、これまで多くの小説のイラストレーションを手がけてきた。単行本『下町ロケット2』の装画も龍神氏の手によるもの。表紙を飾る装画は、いわば本の“顔”。書店を訪れた人に本を手にとってもらうためのトリガーなだけに気合が入るという。

下町ロケット2・新聞連載第1回、第2回挿絵

 「作家さんが作品を通して伝えたいことを、いかに一枚のイラストレーションに込められるか、毎回真剣勝負です」

 作家、編集者、イラストレーターと立場の異なる人々が意見をすり合わせながら、アイデアを詰めていく作業は大変だが面白い。

 「作家さんに出来上がりを見せ『想像以上にいいね』と言ってもらえたときが、僕にとっては一番うれしい瞬間です。実はイラストレーターとして駆け出しの頃に思い描いていた夢が、小説のイラストレーションでした。夢が叶った今は目の前の仕事をただ頑張るのみ、ですね」

龍神貴之(りゅうじん・たかゆき)

イラストレーター

1979年、和歌山県生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、イラストレーターとして活動。2010年イラストレーターズ通信第2回コンペ大賞受賞。雑誌や広告のほか小説のイラストレーションを数多く手がける。池井戸作品は、『ルーズヴェルト・ゲーム』『銀翼のイカロス』に続き今作で3作目。『下町ロケット2ガウディ計画』では、朝日新聞での連載小説の挿絵と、連動して出版される単行本の装画を担当。
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