INSIGHT BOY

 強烈なインパクトがあるわけではないのに、見た人の記憶に確実に残るNoritake氏のモノクロドローイング。サインペンと筆ペンだけで描かれたシンプルなイラストが、なぜ人々を魅了するのだろうか。

『INSIGHT BOY』(2015)
初出:菅俊一『まなざし』(ボイジャー刊)より

 「仕事では人物を描くことが多いですね。自分の仕事を見返すと“日本人”を描いているなと感じます。無表情に見えて実はちょっといい人、みたいなものを描きたいし、そういう人が魅力的だと感じるので」

 一見単純な構図に見えても、線の太さや余白の取り方には明確な意図が秘められている。

 「モノクロの線だけでも幅広い表現は可能だと気づきました。東京で描いていることも大きいですね。なんでも“多い”東京にいるからこそ、自分が落ち着く気持ちになれる絵を描いているのだろうと思います。東京じゃない場所で描いていたら、複雑な線や色で描いていたかもしれません」

 街で“気になるもの”を見つけると、スマホで写真を撮るというNoritake氏。

『コップ』(2015)
初出:ZUCCaとの企画展示『横になる』より

 「偶然道に落ちていたものとか、自然にあるもので変わったものとか、たまたま出くわした光景とか。一見分かりづらい写真が多いかな。後から友人に送り、それが何で面白いのか、本質は何かなんて、真面目に話し合ったりしています」

 マンガを描いたり、漫才やコントをやったり、子どもの頃から周りが喜ぶことをするのが好きだったとか。

 「それが今では仕事で見る人を笑わせたり、喜ばせたりできているのだから、贅沢(ぜいたく)ですよね」

Noritake(のりたけ)

イラストレーター

広告や書籍・雑誌の挿画、壁画制作など国内外で活躍。ミュージシャンやアパレルブランドとのコラボレーションも多い。また、自身のイラストを用いた文具や雑貨などのプロダクト制作も手がける。イラストを手がけた著書に『SELFDEFENSE「逃げるが勝ち」が身を守る』『えいごのもと』などがある。
http://www.noritake.org/