広告朝日16号「企業を変える社会価値ブランディング」のCOVER PICK-UP ARTは田村吾郎氏の「WV Sphere 5.2」です。
今年3月にアメリカで開催された、世界最大のクリエイティブビジネスの祭典「SXSW2017」にも展示され、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使わない新しいVR体験装置として長蛇の列ができるほど注目を集めた「8K:VR Ride」。その基盤となる半球状スクリーン映像システム「WV Sphere 5.2」を開発したのが、オペラやコンサートの演出も手がけるアートディレクターの田村吾郎氏である。
「スクリーンを半球状にすることで視野全域をカバーし、私たちが普段自分の目で景色やモノを見る時と同じように、中心視野も周辺視野も使えるよう設計しました。その結果、人間の空間認知メカニズムに近い経験が得られるようになり、何かにすれ違うときの気配やスピード感がより身体的に感じられる、空間的な映像表現が可能になりました」
解体すればコンパクトに収まり、短時間で組み立てられる「WV Sphere 5.2」は、さまざまな場所でいろいろな人にVR体験を提供することができる、と田村氏。
「装着した瞬間に1人の世界に入るHMDに対し、隣に座る家族や恋人、仲間と一緒に『体験の共有』ができるのも魅力だと思います。テクノロジーの進化で映像はどんどん高解像度化し、ウエアラブルなものが増えていますが、本来人間が欲しているのはどんな体験なのか─。そういう視点に立ち返ってこれからの映像表現を考えることが、技術者ではなく表現者である僕の役割だと思っています」
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クリエーターインタビュー
表現者として追究したい、これからの映像体験 アートディレクター・RamAir.LLC代表・田村吾郎氏