「パインアメ」と「じゃりン子チエ」 大阪発の人気者がコラボ、新聞広告に登場

 2021年8月7日(土)朝日新聞大阪本社版夕刊に「パインアメ」と「じゃりン子チエ」がコラボレーションした全15段広告が掲載された。大阪で長く愛される両者が手を繋いだきっかけとは、そして伝えたかったメッセージとは。パインアメの広報を担当するパイン株式会社の係長マッキー氏と、双葉社宣伝・プロモーション部 長瀬氏、販売部 谷藤氏に話を伺った。

輪が4つ並ぶ8月8日は「パインアメの日」

 チエちゃんにヒラメちゃん、テツといったおなじみのメンバーがパインアメを食べている漫画に、「ずぅ~っと、みんなで。」のキャッチコピー。パインアメと『じゃりン子チエ』という大阪が誇る2つの顔がコラボレーションした新聞広告は、多くの心に強いインパクトを与えた。

2021年8月7日付 大阪本社版夕刊 1.7MB

係長マッキー氏

 スペシャルコラボが掲載されたのは、8月8日「パインアメの日」を翌日に控えた8月7日(土)朝日新聞大阪本社版夕刊。この記念日は、より多くの方にパインアメの美味しさを知ってもらおうと、パインアメの製造・販売を行うパイン株式会社が2015年に制定したもの。8月8日である理由はもちろん、パインアメのような輪が4つ揃うためだ。今年は同社の70周年にもあたる。記念日を制定したきっかけについて、係長マッキー氏は次のように話す。
 「パインアメに対して”懐かしい”とか、”昔よく食べました”というような声が多く聞こえるようになり、“みんな今は食べてないんかい!?”と危機感を覚えたことがきっかけです。みなさんに食べていただく日を作ろうと2015年に記念日を制定しました」(係長マッキー氏)
 「パインアメの日」を制定して以降、同社は毎年、イベントやイラストコンテストなど、さまざまな企画を展開し、パインアメの認知拡大に尽力してきた。2021年度は期間限定のラジオ番組『はれ、のち、パインアメ◎』がスタート。今年も年に一度の記念日に向けて機運を高めていたところ、係長マッキー氏の元に舞い込んだのが今回のコラボ企画だった。
 「今年は先にラジオが決まっていたこともあり、正直なところ新聞広告は考えていませんでした。しかし『じゃりン子チエ』とコラボのご提案をいただき、これはぜひやってみたいと。大阪を舞台にした代表的な作品とご一緒できるなんて光栄なことだと思いました」(係長マッキー氏)

24年ぶりに動いた『チエちゃん』が新聞広告に登場

 『じゃりン子チエ』は、はるき悦巳氏による人情系コメディ漫画。1978年から1997年まで「漫画アクション」(双葉社)で連載された。舞台である関西地区では何度もテレビアニメ版が再放送されるほど根強い人気を誇っており、近年またジワジワとブームに火が付きつつあるタイミングだったという。

 「2019年に大阪の本屋と問屋が選ぶ『大阪ほんま本大賞』の特別賞を『じゃりン子チエ』がいただきました。これはいいきっかけをいただいたと新装版で文庫を発売したところ、好調な売れ行きを見せ、とくに大阪エリアでは“爆発的”と呼んでいいほどたくさんの方に手に取っていただきました」(谷藤氏)
 「エンタメ系のウェブメディアで第1話だけ試し読みができる形で配信したところ、驚くほどのPV数を獲得。SNSでは若い世代から“チエちゃんの原作ってこんなエモい話なんだ!”という声が多く聞かれました。チエちゃんのたくましさや周囲の人とのつながりはいまの時代にこそ必要だと感じ、改めて『じゃりン子チエ』を盛り上げたいと考えていました」(長瀬氏)
 「コラボレーションできるかも?」といった企画の段階から実現まで推し進める原動力となったのが、『じゃりン子チエ』の作者、はるき悦巳氏の瞬発力だ。はるき氏の事務所担当者とやり取りを重ねてきた長瀬氏は、「はるき氏は大阪をホームグラウンドとするもの同士、以前からパインアメに親しみを感じていたそう。今回このような機会に恵まれて、純粋に嬉しかったそうです」と話す。
 はるき氏はパインアメとの企画について打診されるとすぐに、パインアメをテーマとした漫画を構成もストーリーも完ぺきな形で描き下ろし。生原稿が届いたときは関係者一同、色めき立ったという。
 「連載終了後、イラストなどを新しく描いていただいたことはありましたが、ストーリーの中で動くチエちゃんを描いていただいたのは約24年ぶりのこと。これはすごい企画に立ち会ってしまったと思いました」(長瀬氏)
 係長マッキー氏もはるき氏の原稿を見たときには興奮が収まらなかったと話す。
「漫画を見た瞬間、頭の中でアニメ『じゃりン子チエ』の声で再現されましたね。テツが持っているのが業務用の1キロの「KGパインアメ」で、細かなデザインの違いもしっかりと描き分けてくださっていることに感動しました。さらに“ずっとみんなで食べていただきたい”というメッセージがまさにその通りだなと。ラフ原稿の段階でここまで完成度の高い作品が仕上がるのだと驚いたことを覚えています」(係長マッキー氏)

パインアメ×『じゃりン子チエ』の書店フェアを開催

 掲載日に向けて、係長マッキー氏はパインアメの公式Twitterアカウントで、漫画の一部だけをUPするカウントダウン企画をスタート。15万を超すフォロワーに向けて、「何か起きるのかも?」と期待感を醸成するメッセージを連日発信した。

 SNSでの発信が功を奏し、掲載日当日には多くの驚きと喜びの声がパインアメの公式アカウントに届いたと係長マッキー氏は話す。
 「新聞って実際に手に取ることができるメディアなので、ぜひ筆跡をじっくり見たり、壁に飾ったりして楽しんでもらえると嬉しいです。もちろん私も壁に貼っています。今回でコラボレーションのおもしろさを実感したので、“お互いが美味しくなる”機会があればまたぜひやってみたいです」

今回のために描き下ろされたキービジュアルじゃりン子チエⓒはるき悦巳 双葉社

 双葉社の長瀬氏も今回のコラボレーションが実現できて嬉しいと話す。
 「SNSでの話題化を考えると、いまや新聞広告は幅広い世代に届くメディア。今回の企画のように子どもから大人まですべての人にメッセージを届けたいときには、非常にいい媒体だなと感じました。パインアメも『じゃりン子チエ』も新聞も、それぞれ別の役割を持っていますが、老若男女問わず大切な「人とのつながり」をそれぞれ大切にしている点は同じ。一緒になることで相乗効果が生まれると思っています」(長瀬氏)
 また今回のコラボレーション企画は書店でもキャンペーンを展開する。8月8日(日・祝)から紀伊國屋書店の梅田本店を中心にパインアメ×『じゃりン子チエ』フェアを開催。『じゃりン子チエ』(双葉文庫)を購入すると新聞広告をリデザインした特製ブックカバーが付いてくる。

 夏の盛り、コロナ禍で外出もままならない今年。エアコンのきいた部屋でパインアメを食べながら『じゃりン子チエ』を読む、そんな夏の過ごし方もまた、おつなものではないだろうか。