ソフトクリームを持った男の子と女の子のキャラクターで知られる日世株式会社。ソフトクリームをはじめコーンやフリーザーなども提供する、ソフトクリームの総合メーカーだ。同社は創業から70年以上が経つ2024年12月2日に初めて、朝日新聞朝刊に企業メッセージを伝える15段広告を掲載。さらに2025年11月17日にも同様の新聞広告を展開した。2年連続で新聞広告を出稿した目的や新聞広告の位置づけ、広告施策などについて、同社執行役員の岡本明氏に伺った。
「笑顔のみなもと」とキャラクターのリンクを狙う
新聞広告を出稿した背景について、岡本氏は「NISSEIの経営理念【事業を通して『笑顔あふれる幸せづくり』に貢献していく】を新設したことから始まります」と話す。同社はこれまで企業理念だけがあり、会社のロゴもあったがほとんど露出していなかったという。岡本氏は4年前に入社。食品事業や新規事業のために国内外会社設立等に長く従事してきた経験から、企業理念の再構築を提案した。
「社員、パートを含むステークホルダーにコミットメントするために、経営理念を新設しました。この経営理念を表す言葉が、コーポレートメッセージ『笑顔のみなもと』です。キャラクターのニックンとセイチャン(双子の兄妹)は関西の人たちになじみがありますが、名前が知られていません。名前を知らないということは、ブランドとして成立していないといえます。そこで、『笑顔のみなもと』とニックン、セイチャンをリンクさせることを目的に大々的に企業広告を出すことにしたのです」と岡本氏は話す。
岡本明 氏
コーポレートメッセージは、社員が考えた。「笑顔という言葉を使いたい」という社員に当初、岡本氏は反対した。というのも、食品のブランドは「笑顔」を使うところが多いからだ。しかし「どうしても使わせて欲しい」という熱意から、その思いを受け止めて採用したという。
2025年11月17日の新聞広告は、ソフトクリームを作る笑顔の女性店員の側に、ニックンとセイチャンの姿がある写真を大きく掲載。「今日も、笑顔をつくるお手伝い ニックンとセイチャンです」というコピーと、社名のNISSEIの上に表現されたコーポレートメッセージ「笑顔のみなもと」という言葉が印象的だ。
「笑顔をつくるお手伝い」の言葉には、ソフトクリームで人々を笑顔にしているのは私たち企業ではなく、NISSEIの製品を使って消費者においしいを届けているNISSEIの顧客自身という思いから。それには次のような実体験がある。
岡本氏はNISSEIのソフトクリームを提供しているある牧場で、赤ちゃんを連れた姉妹と思われる女性たちに出会った。ソフトクリームを赤ちゃんに食べさせると赤ちゃんはニコッと笑い、その顔を見た姉妹も笑顔に。さらにそれ以上の笑顔を見せたのが、ソフトクリームを作ったアルバイトの女性。ソフトクリームを介して笑顔が連鎖していく様子を見た岡本氏は、「自分たちは陰ながら、笑顔をつくるお手伝いをしている」と実感し、広告の絵コンテが浮かんだという。
メッセージを伝える新聞広告の効果を最大にする全面広告
2024年12月2日 朝日新聞大阪本社版朝刊 全15段
2025年11月17日 朝日新聞大阪本社版朝刊 全15段
2024年12月2日の新聞広告は、NISSEIが創業から77年目にして初めて出稿した15段の新聞広告という。この時は、ニックンとセイチャン、コーポレートメッセージ「笑顔のみなもと」とともに、「ぼくたちのこと、知っていますか?」「実は、70年前からいました。」というコピーで表現した。
「企業広告の鉄則は、まずシニアや知識層に伝えるという考えで、四大メディアから広告を出しました。中でも新聞広告はとても大切です。ラジオやテレビは一瞬のうちに消えていきますが、新聞は静画で残すことができ、中には大事に保存しておく人もいます」と話す。また、「OOHなどを除けば新聞は表面積が大きく、一面全部を使うことで広告の最大効果を発揮できると考えています」と新聞広告のメリットを挙げた。
新聞広告の掲載後には高齢の女性から「子どもの時を思い出しました」「広告を見るたびに涙が出ます」などの手紙が届いたという。「ソフトクリームを食べた時の幸せが、思い出になっているのでしょう。昔を懐かしんでもらってよかったと思っています」と岡本氏は反響を話す。
4-5年計画で新聞広告を出稿し、SNSプロモーションも展開
2024、25年と2年連続で新聞広告を出したわけだが、その理由は何だろうか。岡本氏は「実は、トータル4-5年での広告出稿を計画しています。この後の2-3年間も当社の広告が新聞紙面を飾ると思いますし、読者のシニア層にはノスタルジーを感じていただきたいです。コーポレートメッセージ『笑顔のみなもと』とニックン、セイチャンのリンケージ、さらに生活者へ日世株式会社という社名認知100%を目指します」と話す。2026年以降は、日世株式会社の「ニッセイ」という名前を取り込んだ音楽等を使って、社名の認知向上につなげるという。
2025年12月17日からは主に若い世代に向け、短い動画をシェアできるSNSでプロモーションを展開。ニックンとセイチャンのダンス動画を流し、そのダンスを踊る中・高校生らに動画を投稿してもらう。
「このSNSに出てくるのはニックンとセイチャンだけで、社名は出しません。Z世代以下の若い人たちは、SNSで共感が生まれることを重視するので、自分が広告に使われていると思った瞬間に参加しなくなるからです。『この子たち、可愛い!』と一緒に踊って投稿し、『ところでこの子たちは誰?』と調べてくれた人にニックンとセイチャンを認知してもらえればと思っています」と岡本氏。
また、大阪市内にある直営店を「オウンドメディア」と位置づけ、「ソフトサーブアイスクリームの聖地」として外国人に魅力を発信する予定。「ソフトサーブアイスクリーム」とはソフトクリームの正式名で、日系2世だったNISSEI創業者が日本で分かりやすい名称にするために「ソフトクリーム」と短くして広めたのだ。
「今後は、直営店を中心にソフトクリームの文化を発信しながら、国内外でソフトクリーム事業の地域展開を加速させ、ソフトクリームの市場を拡大していきます」と岡本氏は力を込めた。
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