健康ニーズに応える商品 新しくなったおいしさを伝えたかった
コレステロールを気にする人向けに2002年に発売した「キユーピー ゼロ ノンコレステロール」。健康面のニーズに応えつつ、マヨネーズらしい味わいやコク、おいしさを両立した商品で、発売以来リピーターも多いという。今回リニューアルを実施した背景について、キユーピーの広告・宣伝業務を担う株式会社トウ・アドキユーピー 広告宣伝部の岩佐はづき氏は、次のように話す。
「あらためて市場を調べたところ、コレステロールを気にしている人は一定数いらっしゃり、そういった方々がコレステロールと同様に気にしているのが、カロリーだとわかりました。そこで行ったのが、従来品で50%カット(キユーピー マヨネーズ比)だったカロリーを、さらに下げて70%カットしつつも、卵感をアップさせるというリニューアルです。新しくなった商品の魅力を伝えるためにも、これを機に商品認知を高めていこうと考えました」
「キユーピー ゼロ ノンコレステロール」の広告キャンペーンで広告媒体として新聞を選んだ理由のひとつは、「商品のメインターゲットが、50代、60代であるから」と岩佐氏。新聞を購読している人が多い年代であり、商品を丁寧に伝えるには新聞広告が有効だと考えた。
「卵を使っているのにコレステロールが0mgなことや、カロリー70%カットなのにマヨネーズらしいコクを感じられる理由を伝えるためにも、信頼性のある新聞を活用しようと思いました。今回はウェブ用のCM動画も制作し、新聞では商品をより詳しく知っていただき、ウェブでは認知・拡散と、役割をわけて戦略を立てました」
コミュニケーションにおける課題は、「おいしさ」の伝え方だったという。味わいには自信がある。だが、コレステロールが0mgでカロリー70%カットといった商品の機能面が高まるほど、「味わいが物足りないのではないか、と思われる方も少なくないはず。だからといって、メーカーがおいしいと発信しても伝わりにくい。おいしいかどうかを判断するのは、あくまでもお客様だからです」と岩佐氏は話す。
そこで、ターゲットに近い人たちに試食をしてもらい、その感想を広告に掲載するという企画案が生まれ、実現したのがボンマルシェの全5段広告だった。
読者コミュニティーとダイレクトにつながる「ボンマルシェ」を活用
ボンマルシェは2010年に創刊し、朝日新聞朝刊に毎月1回掲載しているロングラン広告特集だ。女性の推定読者は約558万人。約3000人の熱量のあるファン読者「ボンマルシェアンバサダー」によるコミュニティーも運営している。アンバサダーが体験モニターやアンケート、座談会など、コンテンツ制作に協力した事例も多い。
ボンマルシェを選んだ理由について、岩佐氏も読者のコミュニティーがあることを挙げた。「それに加え、ボンマルシェは年齢層を限定せず、生活をより良くしたいと考える全ての生活者に向けた媒体であることも魅力だと思いました。紙面もポップで雑誌のようなデザインで、若々しい印象があります。ボンマルシェ読者のリアルな声を通じて、読む人それぞれに、自分の生活にフィットする商品だと思ってもらえる可能性があるところも、いいなと思いました」
広告では商品パッケージの画像を囲むように、試食したボンマルシェアンバサダーの声を紹介。また、アンバサダーのアンケート結果をもとに「普段の食事でコレステロールが気になる人の割合は86%」という、コレステロールへの関心の高さを円グラフで示し、グラフとコメントで商品の魅力をしっかりと伝える紙面となった。
調査に協力したボンマルシェアンバサダーは960人以上。おいしさや機能面を評価する声が数多く集まった。「『ノンコレステロールマヨの固定観念がくつがえされた』『糖尿病で食事に気をつかっている家族に満足してもらえた』『マヨネーズを控えていたけれどこれからは安心して食べられる』といった感想がありました。この商品でお客様の食生活を豊かにできているという声を聞けたのは、メーカーとして喜ばしいことでした」
キユーピーで実施するユーザー調査では、今回のように個別商品のおいしさや味わいについて聞く機会は少ないという。「多くの人の声を集めたことについて、とても参考になったと営業担当者からも好評でした」
プレゼントキャンペーンへの反響で、商品特性が読者に伝わった手応え
全5段の広告内では、アンバサダーの声だけでなく、「おいしさはそのままに、コレステロール0mg、カロリー70%カット」を実現したキユーピーの二つの独自製法についても解説した。「わかりやすいように図も使いながら、要点を伝えることができたと満足しています。約30秒の動画広告では伝えきれなかったおいしさや機能面について、新聞広告にはしっかり掲載できました」
今回の広告で「商品の特徴を知ってもらえたという手応えがあった」と岩佐氏は言う。「キユーピー ゼロ ノンコレステロール」を30人にプレゼントするキャンペーンのQRコードを紙面に掲載したところ、応募数は想定を上回る2000件超。「応募時に寄せられたコメントには、『健康とおいしさを実現できる商品であることがわかった』といった内容も多かったんです。この商品にまだまだ可能性があることも実感できました」と語る。
「新聞広告は商品情報を伝えるには広告媒体として有効と思いました。使い方次第で、認知を高めるだけでなく、ブランドイメージを浸透させる効果も期待できる媒体だと思います。継続的に発信し、商品の価値やブランドを発展させていきたいと考えています」