解説
2026.02.09

ファーストパーティデータとは?Cookie規制を乗り越える戦略を解説

ファーストパーティデータとは?Cookie規制を乗り越える戦略を解説

ファーストパーティデータとは、企業が自社で収集した顧客データのことです。本記事では、Cookie規制により重要性が増すファーストパーティデータの基本から、セカンド・サードパーティデータとの違い、具体的な収集・活用方法までを解説します。データに基づいたマーケティング戦略を立てるためのヒントを紹介します。

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近年、デジタルマーケティングの世界で「ファーストパーティデータ」の重要性が急速に高まっています。Cookie規制の強化やプライバシー保護への関心の高まりを受け、多くの企業がデータ戦略の見直しを迫られています。これまでの手法が通用しなくなる中で、顧客と直接繋がって得られるファーストパーティデータは、今後のビジネス成長の鍵を握るといっても過言ではありません。この記事では、ファーストパーティデータの基礎知識から、具体的な収集・活用方法、そして成功に導くためのポイントまでを分かりやすく解説します。

ファーストパーティデータは、企業がマーケティング活動を行う上で土台となる、非常に価値の高い情報資産です。まずはその定義と、他のデータとの違いについて正確に理解しましょう。

【関連記事】Cookie規制時代の広告戦略とは?ファーストパーティデータの可能性を探る

ファーストパーティデータとは、企業が自社のサービスや活動を通じて、顧客から直接収集したデータのことです。オンライン、オフラインを問わず、企業と顧客の接点で生まれるあらゆる情報がこれに該当します。例えば、ウェブサイトの会員登録情報、アプリの利用履歴、商品の購入履歴、店舗でのアンケート回答、コールセンターへの問い合わせ履歴などが挙げられます。第三者を介さずに直接収集するため、情報の出所が明確であり、非常に信頼性が高いことが最大の特徴です。

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ファーストパーティデータ以外のデータとして、「セカンドパーティデータ」と「サードパーティデータ」が存在します。これらの違いを理解することは、自社のデータ戦略を考える上で不可欠です。

データ種別 収集元 特徴 具体例
ファーストパーティデータ 自社 顧客から直接収集。信頼性と関連性が非常に高い。 会員情報、購入履歴、サイト行動履歴
セカンドパーティデータ 他社 パートナー企業などが収集したファーストパーティデータ。特定の目的で共有・購入する。 提携メディアの読者データ、イベント共催企業の参加者リスト
サードパーティデータ データ収集を専門とする第三者機関 複数のウェブサイトを横断して収集された匿名データ。リーチ拡大に利用されるが、信頼性の確認が必要。 興味関心データ、年代・性別などのデモグラフィックデータ

セカンドパーティデータは他社のファーストパーティデータであり、特定の企業間での連携に有効です。一方、サードパーティデータは、自社と直接の接点がない広範なユーザーデータですが、Cookie規制の影響を最も大きく受けるのがこのデータです。

これまでも重要とされてきたファーストパーティデータですが、ここ数年でその戦略的価値は飛躍的に高まっています。その背景には、インターネット利用環境の大きな変化があります。

最大の理由は、プライバシー保護の観点からの「Cookie規制」の強化です。特に、複数のサイトを横断してユーザーを追跡する「サードパーティCookie」は、Apple社のSafariブラウザでは既にブロックされています。これにより、サードパーティデータを活用したリターゲティング広告や興味関心ターゲティングといった、従来のデジタル広告手法が困難になりました。外部データに依存したマーケティングからの脱却が急務となり、その代替手段として、自社で確実に収集・管理できるファーストパーティデータに注目が集まっているのです。

日本国内においても、20224月に施行された改正個人情報保護法など、個人のデータをより厳格に管理する法整備が進んでいます。企業には、データの取得・利用目的を明確に伝え、本人の同意を得ることが強く求められるようになりました。ユーザー側も自身のデータがどのように扱われるかについて敏感になっています。ファーストパーティデータは、顧客の同意に基づき、透明性の高いコミュニケーションの中で収集されるため、こうした法規制やユーザーの意識にも対応しやすいという利点があります。

参考:令和2年 改正個人情報保護法について |個人情報保護委員会

ファーストパーティデータを重視する戦略は、単なる規制対応に留まらず、企業に多くの競争優位性をもたらします。

メリット 具体的な効果
高い精度と信頼性 施策の精度が向上し、コンバージョン率の改善に繋がる。
顧客理解の深化 顧客ニーズを的確に捉えた商品開発やサービス改善が可能になる。
費用対効果の改善 外部データ購入費や無駄な広告費を削減し、利益率を向上させる。

最大のメリットは、データの質の高さです。自社の顧客から直接得た情報であるため、誤りや古くなった情報が少なく、精度と信頼性が担保されています。また、自社の製品やサービスに実際に関心を持っているユーザーのデータであるため、マーケティング施策との関連性が極めて高く、無駄のないアプローチを実現できます。

ファーストパーティデータを分析することで、顧客が「どのような経緯で自社を知り」「何に興味を持ち」「どのような購買行動をとるのか」といった一連のカスタマージャーニーを深く理解できます。この顧客理解に基づいて、一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションを行うことで、顧客満足度やブランドへの信頼感が高まり、長期的な優良顧客(ロイヤルカスタマー)の育成に繋がります。

サードパーティデータなどを購入する場合、継続的にコストが発生します。一方で、ファーストパーティデータは自社の努力で収集・蓄積する資産です。初期投資としてデータ基盤の整備などは必要ですが、一度仕組みを構築すれば、低コストで質の高いデータを継続的に入手できます。これにより、広告費の最適化やマーケティング活動全体の費用対効果(ROI)の改善が期待できます。

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ファーストパーティデータは、顧客とのあらゆる接点で収集のチャンスがあります。オンラインとオフラインの両面から、戦略的にデータを収集する仕組みを設計することが重要です。

デジタル上での接点は、多様なデータを効率的に収集する上で中心的な役割を果たします。

  • ウェブサイト・アプリ:会員登録、資料請求、問い合わせフォーム、サイト内での行動履歴(閲覧ページ、クリック、滞在時間など)
  • メールマーケティング:メールマガジンの購読登録、開封・クリック履歴、アンケート回答
  • SNS:公式アカウントのフォロー、キャンペーンへの応募、ダイレクトメッセージでのやり取り
  • オンライン広告:広告経由でのコンバージョンデータ

オンラインだけでなく、実店舗やイベントなどのオフライン接点も貴重なデータソースです。

  • 店舗:POSデータ(購買履歴)、会員カードやポイントアプリの登録情報、スタッフとの会話内容
  • イベント・セミナー:参加申し込み情報、会場でのアンケート、名刺交換
  • コールセンター:問い合わせ内容、顧客からのフィードバック、サポート履歴

これらの多岐にわたるデータを収集・統合し、活用するためには専門的なツールの導入が効果的です。

ツール名 主な役割
CRM(顧客関係管理) 顧客の属性情報、購入履歴、問い合わせ履歴などを一元管理し、顧客との関係性を維持・向上させる。
MA(マーケティングオートメーション) 見込み顧客の情報を管理し、メール配信などのアプローチを自動化・効率化する。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム) オンライン・オフライン問わず散在する顧客データを収集・統合し、外部ツールと連携して活用するための基盤。

特にCDPは、様々なチャネルから得られるファーストパーティデータを統合し、顧客一人ひとりを深く理解するための「データの心臓部」ともいえる役割を担います。

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収集・統合したファーストパーティデータは、分析を通じてインサイトを導き出し、様々なマーケティング施策に活かすことで初めて価値を生み出します。

活用方法 目的
顧客セグメンテーション 顧客グループごとに最適なアプローチを行い、施策の効率を高める。
パーソナライズ 一人ひとりに合わせた体験を提供し、顧客満足度とLTVを向上させる。
広告配信の最適化 確度の高い見込み顧客にアプローチし、新規顧客獲得の効率を上げる。
商品・サービス改善 顧客の声をデータで捉え、提供価値の向上に繋げる。

収集したデータを基に、顧客を共通の属性や行動パターンでグループ分け(セグメンテーション)します。例えば、「初回購入から1ヶ月以内の顧客」「特定の商品カテゴリーをよく閲覧する顧客」「半年間購入がない休眠顧客」といったセグメントを作成し、それぞれのグループに最適なメッセージや特典を提供することで、施策の反応率を高めることができます。

セグメンテーションをさらに進め、個々の顧客の興味関心や購買履歴に合わせてコンテンツや推薦商品を変える「パーソナライズ」は、ファーストパーティデータ活用の代表例です。ECサイトで「あなたへのおすすめ」を表示したり、誕生日月に特別なクーポンを送ったりすることで、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、エンゲージメントが向上します。

CRMに蓄積された顧客リストを活用し、SNS広告や検索広告で既存顧客に類似した特徴を持つユーザーに広告を配信する「類似オーディエンス(Lookalike)」を作成できます。これにより、自社の商品やサービスに関心を持つ可能性が高い新規顧客層へ効率的にアプローチでき、広告の費用対効果を改善することが可能です。

顧客の購買データやウェブサイトでの行動、アンケートの回答などを分析することで、新たなニーズや既存商品の課題を発見できます。例えば、「特定の商品Aと一緒に商品Bがよく購入されている」というデータからセット商品を開発したり、「サイトのFAQページで特定の質問が多く閲覧されている」ことから、その内容をサービス本体に反映させたりするなど、データに基づいた改善活動に繋げられます。

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ファーストパーティデータの活用は、単にツールを導入するだけでは成功しません。戦略的な視点と組織的な取り組みが求められます。

まず、「何のためにデータを活用するのか」という目的を明確にすることが最も重要です。「LTV10%向上させる」「新規顧客の獲得単価を20%削減する」など、具体的なビジネス目標を設定しましょう。目的が明確になることで、収集すべきデータの種類や優先順位、必要な分析手法、評価すべき指標(KPI)が定まります。

データが社内の各部署に分散している状態では、顧客を統合的に理解することはできません。前述したCDPCRMといったツールを活用し、様々なデータソースから情報を一元的に収集・統合するデータ基盤を整備することが成功の前提となります。これにより、部署を横断したデータ活用が可能になります。

データを収集・分析し、施策に繋げるためには専門的なスキルを持つ人材が必要です。データサイエンティストやデータアナリストといった専門職の採用だけでなく、既存のマーケティング担当者が基本的なデータ分析スキルを身につけるための研修や教育も重要になります。ツールを使いこなし、データから意味のある洞察を引き出せる組織能力を高めていくことが求められます。

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ファーストパーティデータは強力な武器ですが、その取り扱いには細心の注意が必要です。

データの信頼性が高くても、分析対象となるデータ量が少なすぎると、統計的に有意な結果が得られず、施策の判断を誤る可能性があります。特に、事業を始めたばかりの企業や、顧客接点が少ないビジネスモデルの場合は、データ量を確保するまでに時間がかかることを念頭に置く必要があります。まずは着実にデータを蓄積するための仕組みづくりに注力しましょう。

ファーストパーティデータは、顧客の信頼の上に成り立っています。データを収集する際には、必ずプライバシーポリシーを明示し、「どのようなデータを」「何のために利用するのか」を分かりやすく伝え、顧客から明確な同意を得る必要があります。一度失った信頼を取り戻すことは非常に困難です。データの適切な管理と、透明性の高いコミュニケーションを徹底することが、持続的なデータ活用の基盤となります。

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Cookie規制という大きな変化を背景に、ファーストパーティデータの重要性は今後ますます高まっていきます。自社で直接収集した信頼性の高いデータを活用することは、顧客一人ひとりを深く理解し、長期的な関係を築くための王道のアプローチです。本記事で紹介したポイントを参考に、自社のデータ戦略を見直し、来るべき時代に備えたマーケティング基盤の構築を始めてみてはいかがでしょうか。