近年、インターネット上でのプライバシー保護への意識が高まり、欧米での規制強化を背景に、日本国内でもCookie (クッキー)や広告IDの取り扱いルールが厳格化されています。これによって、広告の配信精度の低下といった課題に直面する企業が増えています。こうした中、注目を集めているのが、企業が自社のWebサイトやアプリ、店舗などを通じて、ユーザーから直接取得したデータ である「ファーストパーティデータ」を活用した広告配信です。本記事では、Cookieや広告IDの仕組みとその変化、そしてファーストパーティデータの可能性についてご紹介します。

メディアグループのファーストパーティデータを活用する A-TANKとは?
CONTENTS
・広告出稿を支えるCookieや広告IDの仕組み
・日本国内におけるCookieや広告IDの規制強化
・ファーストパーティデータとは
・A-TANKとは
ターゲティング広告を支えてきたCookieと広告IDの仕組み
これまでWeb広告の配信精度は、Cookieや広告IDといった技術に大きく支えられてきました。これらは、ユーザーの行動履歴や興味関心を分析し、より関連性の高い広告を表示するための仕組みです。
- Cookie:Webサイトがユーザーのブラウザに一時保存する情報で、ログイン状態の維持や閲覧履歴に基づくレコメンド表示など、ユーザー体験と広告の個別最適化に貢献してきました。
- 広告ID:スマートフォンやPCなどの端末に割り当てられる識別子で、アプリなどを通じてデバイス上の利用履歴から収集された行動データを活用し、広告配信や効果測定が行われてきました。
こうした仕組みを通じて収集・提供される匿名データ、いわゆる「サードパーティデータ」は、長年にわたり多くの企業の広告配信を支えてきました。しかし近年、ユーザーの同意を得ずに情報を追跡しているのではないかという懸念が高まり、世界的にその運用が見直され始めています。


データ規制の強化が迫る 広告戦略の見直し
日本国内でも、2022年の改正個人情報保護法および2023年の改正電気通信事業法の施行により、サードパーティデータの活用に対する規制が強化されました。
主な影響は以下の通りです:
- リターゲティング広告の制限:トラッキング期間が短縮され、長期間のリターゲティングが困難に。
- ターゲティング精度の低下:サードパーティデータの取得が制限され、広告の到達範囲が縮小。
- データ連携の制限:提供・連携のルールが厳格化され、各社間でのデータ活用が困難に。
※リターゲティング:過去にWebサイトやアプリを訪問したユーザーに対して再度広告を配信する手法。
※ターゲティング精度:広告が狙った相手にどれだけ正確に届いているかを示す度合い。
このように、従来の広告手法に制約がかかる中、多くの企業が新たな施策への移行を迫られています。

ファーストパーティデータとは?変化に対応するこれからの広告資産
サードパーティデータを取り巻く環境が大きく変わる中で注目されているのが、「ファーストパーティデータ」です。これは、企業が自社のサービスや接点を通じて、ユーザーから直接取得する情報を指します。
例として以下が含まれます:
- Webサイト上の行動ログ
- 会員登録情報
- 購買履歴
- アンケート回答
- 実店舗でのPOSデータ
- 展示会やキャンペーンで取得した顧客情報 など
ファーストパーティデータは、自社で直接取得し管理するため、取得経緯やユーザーの同意が明確であり、プライバシー保護の観点でも安心して活用できるのが特徴です。現在では、多くの企業がこうしたデータの蓄積と利活用に力を入れ始めています。
また、ユーザーのメールアドレスやログイン情報を起点とすることで、メール配信やログイン状態のユーザーとのコミュニケーションによる接点の維持・継続も大きな強みとなっており、長期的にユーザーと信頼関係を築く基盤となります。

自社だけでは難しい?ファーストパーティデータを保有する企業サービスの活用
ファーストパーティデータは非常に有効ですが、自社だけで十分な量を集め、活かすにはシステム整備や人材が必要となり、ハードルが高くなっています。そこで今、注目されているのが「他社が持つファーストパーティデータ」です。これには、以下のようなメリットがあります。
- ユーザーの同意が取れているため法的リスクが低い。
- 登録情報やサービス利用履歴に基づくデータで広告配信の精度が高い。
- 関心度の高いユーザーに届くので、広告効果の向上が期待できる。
他社のファーストパーティデータを活用することで、自社単独では難しい高精度な広告運用が可能になります。広告戦略を強化する一手として、有力な選択肢です。
メディアのファーストパーティデータを広告に活かす「A-TANK」とは?
朝日新聞社グループでは、メディア企業である特長を生かし、会員情報(朝日ID)をはじめとする、記事閲覧履歴・イベント応募履歴・購買情報・サービス利用履歴など、さまざまな接点から得られるデータを統合・管理しています。これらを広告やマーケティングに活用できるプラットフォームとして開発されたのが「A-TANK」です。 A-TANKには以下の特徴があります。
- 商材やキャンペーンの目的に応じて、クライアントの要望に応じた配信設計が可能。(特定の記事カテゴリを閲覧しているセグメントや、イベントへの応募履歴を元にしたセグメントへのアプローチなど)
- 朝日新聞社媒体だけでなく、Google広告、ヤフー広告などの他社広告配信システムやX、MetaなどのSNS広告でのA-TANKセグメントの活用も可能。
- メディア内外問わず、サードパーティデータに依存しない広告配信を実現。
- 配信後、広告をクリックしたユーザーがどのような記事に興味をもっていたのか分析可能。
「自社では取得しづらいが、質の高いユーザーにリーチしたい」そんな企業の広告戦略をA-TANKが支援します。

ファーストパーティデータ活用を一歩先へ
Cookieや広告IDの仕組みとその変化、そしてファーストパーティデータ、A-TANKの活用方法をまとめた資料をご用意しています。ぜひご覧ください。