強みは独自の商品展開。認知向上を図り、さらなる成長を目指す

 ショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を展開する、ジュピターショップチャンネル。2016年度の売り上げ実績は1,549億円、創業以来20期連続の増収を達成した。好調を維持する同社の取り組みについて、田中惠次代表取締役社長に聞いた。

田中惠次氏

──好調の要因について聞かせてください。

 上質な品々を知る、お目が高いお客様にご支持いただいているおかげです。昨年は創立20周年を迎え、感謝の気持ちをお届けするべくプロジェクトチームを結成。人気商品や特別商品を紹介する「心おどる、大創業祭」、番組の司会進行役であるキャストたちがほれ込んだ商品を紹介する「キャストいちおしday」など、様々なイベントを開催しました。

 こうした取り組みは、当番組のファンの皆様に大変ご好評をいただき、また、これまで番組をご存じなかったお客様に注目される機会にもなりました。結果として、前年から大きく成長できました。これは当社にとって大きな成果であったと同時に、努力次第でまだまだ向上できることをお客様に教えていただく形となりました。

 当社は、「お客様に心躍る瞬間を提供し、感動と喜びに満ちた毎日をショップチャンネルと共に歩んでいただくこと。」という経営理念を掲げています。昨年の教訓を今後に生かし、理念の追求を続けていきます。

──ショップチャンネルの特徴とは。

 ショップチャンネルは、24時間365日生放送。扱う商品は、ジュエリーやファッション、美容・ダイエット、フィットネス、ホーム・インテリア、家電、食品など多岐にわたります。1週間のオンエアで紹介される商品は約500点。そのすべてを社内バイヤーが目利きし、国内外から買い付けています。先行販売や特別価格、有名メーカー様と協働で開発した商品など、他では買えない品ぞろえを強みとしています。

──有望な商品に着目し、それが売り上げに結びついています。

 当社では、ユニーク・レア・エピソード・バリュー・リミテッド・リーズナブル・ニッチの七つを商品の選定基準としています。例えば、日本の家庭になじみの薄かったロボット掃除機や、吸引力の強い掃除機にいち早く着目し、売り出しました。商品特性をご理解いただくのに時間はかかりましたが、伝え方の試行錯誤を重ねた結果、販売数が躍進しました。「一緒に商品の魅力を伝えたい」と言ってくださるメーカー様やベンダー様が多く、パートナーとして良好なコミュニケーションをとらせていただいています。

──コールセンターと連動した番組編成など、ショップチャンネルの工夫について聞かせてください。

 番組放送中は、コールセンターの状況を常時把握し、お客様からの問い合わせの多い内容に応じて、臨機応変に番組を構成しています。お客様が巷(ちまた)のお店で買う場合、商品を裏返したりひっくり返したりするのは、少しはばかられますよね。家具などは、外観では内部の構造までわかりません。番組では、そうした見えにくい細部まで示し、確かな品質をわかりやすくお伝えしています。

 コールセンターは、単なる受注窓口ではなく、お客様との大切なコミュニケーション窓口です。新商品の発売に際しては、商品企画担当者がコールセンターのスタッフに商品特性を説明し、そこで試着や試用も行います。そうすることで、例えばお客様から「今、番組で紹介しているカーディガンすてき。SサイズかMサイズか迷っているけれど……」という問い合わせがあれば、「私も試しましたが、このブランドはゆったりめなので、Sサイズでちょうど良かったです」などとお答えできる。「売らんかな」ではなく、「この商品は本当に良かったから、ぜひおすすめしたい。感動していただきたい」という気持ちで接することができるのです。お客様はとにかくお目が高いので、商品選び、番組編成、お客様対応、いずれも一切の妥協は許されないと、社員一同肝に銘じています。

──今後、取り組んでいきたい課題は。

 テレビ通販市場の年間の売り上げ規模は約5,400億円、当社の売り上げはその約3割を占め、業界トップです。ただ、小売市場全体の売り上げ規模は年間140兆円に上りますから、もっと成長の余地はあるはず。その足がかりとして、インターネットや新聞広告など新たなツールを活用し、認知の拡大を図っています。また、新しい商品や新しいブランドの投入も、随時行っていきたいと考えています。

──現在の顧客層と、新たに開拓していきたい顧客層は。

 私たちは、顧客ターゲットという意識を持ちません。好みやライフスタイルは人それぞれで、職業や年齢でカテゴライズできるものではないと考えるからです。しいて言うなら、「上質」を知るすべてのお客様ということになります。ただ、「この曜日の、この時間帯に、こういう商品を紹介すると喜んでいただける」ということは、データ分析によってある程度わかるので、お客さまが「見たい、知りたい」というタイミングをねらう工夫はしています。

──リーダーとしての信条は。

 ビジネスは信用・信頼がすべて。そのために果たすべきリーダーの役割は、大きく二つあると考えています。一つは、明確な進路を決めること。もう一つは、判断し、決断し、実行すること。経営理念を社員と共有し、さらなる飛躍を目指していきたいと思います。

──愛読書は。

 『竜馬がゆく』と『三国志』は何度も読み返しています。『竜馬がゆく』は、司馬遼太郎の幕末ものをいろいろと読むきっかけになりました。やがて260年以上に及んだ幕藩体制の原点にも興味が向き、山岡荘八の『徳川家康』を読了。子供の頃は読書が苦手でした。高校と大学では柔道部だったのですが、大学の柔道部に読書家がいて、彼のおすすめ本を通学電車に揺られる往復2時間の暇つぶしにと読み始めたら、これが面白かった。以後、いつの間にか読書好きになっていました。

田中惠次(たなか・けいじ)

ジュピターショップチャンネル 代表取締役社長

1961年大阪府生まれ。83年神戸大学経営学部卒。同年住友商事入社。イタリア住友商事繊維部長、住商テキスタイル社長、ライフスタイルリテイル事業本部長、執行役員メディア生活関連事業部門長補佐などを歴任。今年4月から現職。

※朝日新聞に連載している、企業・団体等のリーダーにおすすめの本を聞く広告特集「リーダーたちの本棚」に、田中惠次氏が登場しました。
(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.100(2017年8月26日付朝刊 東京本社版)2.4MB


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