東京・名古屋・大阪、三大都市圏を中心に、マンション・オフィスビル・商業施設・工場・病院などの企画・設計・施工を行い、これまでに4,600棟を超える実績を持つ髙松建設。今年4月に社長に就任した髙松孝年氏に抱負などを聞いた。
──今年4月に社長に就任されました。決意したことは。
当社は昨年100周年を迎え、次の新たなる100年の第一歩を踏み出すタイミングで社長という大役を任されました。私の役割は、社の実績を維持するのはむろんのこと、建築市場の好況を追い風に5代目前社長のもとで大きく伸びた業績と成長路線を引き継ぐこと。好況の背景には2020年東京オリンピック・パラリンピックがありますが、開催後の市場環境は不透明で、技術革新などのめまぐるしい変化も起こり得ます。好業績にあぐらをかかず、危機意識を持って経営にあたっていきたいと思います。
──「新たなる100年の第一歩」に向けての取り組みについて。
「検証」「改善」「改革」というスリーステップを設けて具体的な取り組みを始めています。当社は賃貸マンションの提案の草分けですが、今では競合がひしめく市場に変わっており、時代に沿った提案ができているか、制度疲労はないかなどを検証しています。検証して見えてきた課題は、これ以上改善できないだろうという限界まで突き詰めていくつもりです。その上で改革の必要性があれば、適宜対処していきたいと考えています。
──企業理念に掲げている「C&Cカンパニー」に込められた意味とは。
C&Cというのは、コンサルタント(Consultant)とコンストラクト(Construct)の略で、ソフトとハードの両面で強みを持つことを意味しています。
──コンサルタントの強みとは。
リサーチ力やノウハウを駆使して建築プランニングや事業計画作成などのアドバイスやサポートを行っています。業界の中で、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)などの融資制度をいち早く紹介したのも当社です。また、早くから都心回帰戦略を取り、賃貸事業が成立する駅から徒歩15分以内の物件を中心に扱ってきました。駅から距離のある物件を手がける場合は、高齢者施設や物流倉庫など、「駅近」の必然性がない物件に限っています。
賃貸マンション市場は一時期、効率よく利益を得るために安普請のワンルームマンションが乱立しましたが、供給過剰による空室の増加、家賃の下落、近隣大学の移転といった理由から、マンション経営の行き詰まりや地域の空き家問題を引き起こしています。当社はこうした動きとは無縁。扱うのは、シングル世帯、ディンクス世帯、ファミリー世帯など幅広い世帯にご利用いただける間取りを中心とする高寿命の中高層物件です。
また昨今は、住宅、店舗、事務所、ホテル、医院、保育園などが一緒になった複合型建築に対するニーズが増えていますが、当社は早くからそのノウハウを有し、土地の特性にあった提案を行っています。しかも土地の選定から現地調査、建物の設計・施工、アフターメンテナンスに至るまで、ワンストップで対応できる体制が整っており、これが大きな強みとなっています。
──コンストラクトの強みとは。
地震、津波、集中豪雨、竜巻などの自然災害からいかに人命や財産を守るか。これは日本の建築会社の使命です。当社の建物は阪神・淡路大震災でも倒壊・半壊を1棟も出さなかった強い耐震性を誇ります。建築基準法で定める数値を上回るその厳格な基準は日々改善し、また、建物の素材や構造を強化し耐久性の優れた建物の提供と適切なメンテナンスにも自信を持っています。都心部では、老朽化した建物や、旧耐震基準で建てられたまま補強されていない建物が多くあり、その建て直しや補強においても貢献しています。
──首都圏におけるシェアが伸びています。
創業の地である大阪を中心に、関西エリアではおかげさまで高い知名度とシェアを有しています。近年は首都圏の受注が大幅に伸び、関西と関東の売上高が逆転しました。首都圏の市場規模は関西のおよそ3倍にのぼると見ており、インバウンド需要に伴うホテルニーズなどまだまだ伸び代がある。ビジネスチャンスを的確にとらえていきたいと考えています。今年4月に子会社化したミブコーポレーションは、東京の城南エリアをベースに不動産売買、仲介、賃貸、管理などを行っており、シナジーを発揮していきたいと考えています。
──今後の抱負は。
私も副社長も40代。この世代の経営者は上場ゼネコンではめずらしい。保守的な業界体質にとらわれず変化に柔軟に対応し、次の100年の礎を築いていけたらと思います。
──愛読書は。
隆慶一郎の作品です。中でもいちばんのお気に入りは『吉原御免状』。自らに流れる血の宿命を受け入れて才能を開花させていく主人公に共感し、その強さや優しさに憧れました。
髙松建設 代表取締役社長
1970年大阪府生まれ。94年関西学院大学商学部卒。同年大手ハウスメーカー入社。98年髙松建設入社。グループ会社JPホーム東京本店長、副社長、社長を歴任。2013年髙松建設取締役。副社長を経て18年4月から現職。
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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)
広告特集「リーダーたちの本棚」Vol.111(2018年9月4日付朝刊 東京本社版)1.5MB
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