地銀との連携、金融プラットフォームの提供など、独自のビジネスモデルで「第3の極」を目指す

 東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、日本のものづくりの中心地である中部地区に確かな営業基盤を持つ総合金融グループ。中核子会社である東海東京証券の活動を軸に、独自のビジネスモデルを構築している。代表取締役社長 最高経営責任者の石田建昭氏に聞いた。

──地方銀行との提携事業を推進しています。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス 代表取締役社長最高経営責任者 石田建昭氏 石田建昭氏

 高齢化、都市への人口流出、メガバンクの地方進出など、地方銀行を取り巻く環境は厳しさを増しています。巨額の投資が必要なフィンテックへの対応も地方銀行を悩ませています。一方当社は、東海東京証券を始めとする東海東京フィナンシャル・グループの営業基盤の拡大に取り組んでいます。提携先の地方銀行の地盤と当グループの商品や金融インフラが補完し合うことで、マーケットの開拓を図っていきたいと考えています。

 具体的には、2007年に山口フィナンシャルグループと提携合弁証券のワイエム証券を設立以来、横浜銀行、西日本フィナンシャルホールディングス、池田泉州ホールディングス、ほくほくフィナンシャルグループ、栃木銀行と合弁証券会社を設立。預かり資産は6社合計で約1兆5,000億円(2018年9月末現在)と、中堅証券1社に匹敵する規模に成長しています。2019年6月には、岐阜の十六銀行との合弁証券が7社目として開業予定です。

 さらに、地方銀行との合弁事業で培ったノウハウを活用し、種々の金融商品やシステム、社員教育などのサービスをプラットフォームとして同業証券会社へ提供するビジネスを本格化。提供先の証券会社は現在60社近くにのぼります。

──富裕層向けブランド「Orque d’or(オルクドール)」を展開しています。

 資産形成に対する考え方は、世代やライフスタイルによって千差万別です。「Orque d’or(オルクドール)」は富裕層向けブランドとして、2015年11月に名古屋にてスタート。2018年4月より東京においてもサービスを開始し、今年春には日本橋髙島屋三井ビルディングの最上階に「オルクドール・サロン東京(仮称)」をオープンする予定です。会員になっていただいたお客様には、それぞれに合った資産運用、相続、事業承継、不動産などについてのコンサルティングを提供しています。医療や教育に関するお手伝いや、音楽、絵画、グルメなど、金融サービス以外のサービスも提供しています。「MONEQUE(マニーク)」は20代から40代の資産形成層向けブランドで、このコンセプト店舗では、ライフステージに応じた保険・住宅ローン・証券投資のご相談に、ワンストップでお応えしています。

──今後注目の商品や、最近のニーズは。

 東海東京証券で、若手女性社員が中心になって運営する「乙女のお財布」という、働く女性の応援プロジェクトを展開したときに、見えてきた女性のお客様のニーズとして、保険商品がありました。そこで、医療保険、がん保険、介護保険など、多岐にわたる商品について知見を深めています。もちろん保険に限らず、資産形成や相続、住宅ローンなど、セグメントごとに先端の商品、金融サービスをそろえ、きめ細かい情報とともに提供しています。

──ダイバーシティーの推進に積極的です。

 当社グループは、ダイバーシティーの推進を重要な経営戦略の一つと位置づけ、様々な取り組みを実施してきました。育児支援や、育休後スマートにキャリアラインに復帰するための「スマートリターン・プログラム」といった女性の活躍推進に加え、介護支援や、経験豊富なシニア社員の採用など、あらゆる人財が活躍できるような施策を推進しています。

──今後の課題は。

 証券ビジネスのネットワークをより強化すべく、フィンテックを含めてプラットフォームビジネスのレベルを上げていくというのが最大の課題です。また、投資商品の販売だけでなく、自由度の高い資産運用の提案などを通して、お客様の幅広いニーズにお応えしていきたい。そのために市場部門の人的、システム的な拡充も進めています。

──リーダーに必要な資質は。

 リーダーは信頼に足る人格でなければなりません。私が心がけているのは、自分の金に執着しない。頼まれたら断らない。すると自然に人のネットワークが広がり、運が向いてくる。そしてもちろん実績。人格、人のネットワーク、運、実績。この4点が必要ではないかと思います。

──愛読書は。

 前職の銀行員時代に駐在先のイギリスで読んだ、『この国のかたち』と『第二次世界大戦』は何度も読み返しています。いずれも歴史をつづった本ながら、今の日本や世界が抱える問題に照らして思索を深めることができる。読むたびに発見があります。

石田建昭(いしだ・たてあき)

東海東京フィナンシャル・ホールディングス 代表取締役社長 最高経営責任者

1946年北海道生まれ。68年小樽商科大卒。同年東海銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。欧州東海銀行頭取、東海銀行常務取締役などを歴任。98年東海投信投資顧問(現・三菱UFJ国際投信)社長。2001年欧州東海銀行会長。02年UFJインターナショナル会長。04年東海東京証券(現東海東京フィナンシャル・ホールディングス)入社。05年社長。06年からCEO兼任。09年から東海東京証券代表取締役会長 最高経営責任者CEO兼任。

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(全国版掲載。各本社版で、日付が異なる場合があります)

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