「狙ったターゲットに、無駄なく、確実に届けたい」という広告主の願いに応えるのが、朝日新聞社の共通ID基盤「朝日ID」だ。
顧客データをフルに活用し、高精度なターゲティングとコンバージョン最大化を実現している。なぜコンバージョン数が劇的に増えるのか? 朝日IDの強みとは?
クライアントサイドの『広告出稿・宣伝部門』、顧客提案を行う広告の『プランニング部門』、そして現在の『データ管理・分析部門』という、異なる3つのキャリアを経験したマーケティング推進室の藤井翔太氏に、朝日新聞社のデータ戦略を聞いた。
「朝日ID」概要と会員プロフィール
広告メニュー「朝日IDメール広告」
会員数は約650万人。高精度なターゲティングや分析に活用
──まず「朝日ID」とはどのようなものでしょうか。
朝日IDは朝日新聞グループの共通IDサービスで、現在の会員数は約650万人(2025年3月末時点で約635万人)にのぼります。
新聞購読者やデジタル会員、イベント申込者などで構成されており、会員は朝日IDを通じてメディア閲覧、イベント申込・決済など、朝日新聞グループのさまざまなサービスをシームレスに利用できます。
朝日IDは、
・『属性データ』(性別、年代、世帯年収など)
・『行動データ』(WEBメディアでの記事閲読など)
・『回答データ』(イベントやキャンペーン応募時など)
をグループ横断で収集・管理しており、これらをかけ合わせて高精度なターゲティングや分析に活用できることが大きな特徴です。
朝日新聞グループのさまざまなサービスを利用するための共通IDであると同時に、広告主のマーケティング活動を支援するためのデータ基盤でもあるのです。
属性データの強み3つ。4人に1人が世帯年収1,000万円以上というハイエンドな読者層
──蓄積されている各種データの「特徴」について、詳しく教えてください。
まず朝日IDの『属性データ』には、クライアント様にとって魅力的な3つの特徴があります。
1つ目は、『資産情報(世帯年収・金融資産)の充実』です。
アンケート回答者のうち、およそ半数が世帯年収700万円以上、4人に1人が世帯年収1,000万円以上というハイエンドな層が厚いのが特長です。
これは不動産投資や資産形成、相続、寄付セミナーなどの集客において、ターゲットを正確に抽出できる強みとなっています。
世帯年収
意思決定層が充実。部長クラス以上の役職者が20%
2つ目は、『意思決定層(管理職)の充実』です。
職業は『お勤め』『自営・自由業』を合わせた有職者が約6割を占め、そのうち半数以上が役職を保有しています。
特に50代では部長クラス以上の役職者が20%を超えており、企業のDX戦略や人材投資、ITツール導入など、組織の重要決定を担うキーマンへ直接アプローチが可能です。
役職
教育感度の高さ。子育て世代のID数は45万以上
3つ目は、『教育感度の高さ』です。
長年『大学入試出題数ナンバーワン』の実績を誇り、『教育の朝日』というブランドが定着しているため、学校の教職員や大学教授といった教育関係者が多数登録されています。
また、私たちが展開する育児・教育関連の事業チャネルを通じて、教育熱心な子育て世代にも多数IDを登録いただいており、その総数は45万以上にのぼります。
受験、習い事、教育サービスなど、未就学児から大学生の保護者に対して、子供の学年別に精緻なターゲティングを実現できます。
教育以外の事業も多数抱えるなか、子育て世代、かつ教育感度の高い層のIDをこれだけ保有している企業は、そう多くはないのではないでしょうか。
月間約1億PVのメディアを基盤にした『行動データ』
──「属性データ」以外に強みとするのはどんなところですか?
まず、メディア企業ならではの『行動データ』です。
朝日新聞社は多数のメディアを抱えるコンテンツメーカーであり、なかでも毎月およそ1億PVを数える『朝日新聞デジタル』が行動データの源泉です。
ユーザーが『今、どのようなカテゴリの記事コンテンツを熱心に読んでいるか』というリアルタイムの興味・関心を捉え、広告配信に活かすことが可能です。
不動産、スポーツ、教育、EC(通販)など、多角的な事業による『回答データ』
そしてイベントやキャンペーンの『回答データ』です。
朝日新聞社はメディア事業以外にも、不動産、スポーツ、教育、イベント、EC(通販)など、多角的な事業によるタッチポイントを持っています。
単なる『興味がある』という自己申告だけでなく、『実際にセミナーに応募した』『プレゼントキャンペーンに応募した』という、具体アクションに紐づいた情報が一元管理されているため、データの熱量が違います。
「朝日ID」概要と会員プロフィール
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WEB広告・メールで、コンバージョンを数倍へ導く「機械学習」
──そのデータを、実際の広告施策でどう活かすのですか?
主にWEB広告とメールでターゲティングが可能ですが、『属性データ』だけでなく、記事の閲読状況やイベント申し込みなどの『行動・回答データ』から関心層を抽出し、メッセージを届けることができます。
例えば、『過去に相続などのワードを含むイベントに申し込んだ』『Reライフを読んでいる』といったデータなどからターゲットを抽出し、さらにここに『機械学習』を掛け合わせることで、成果を劇的に高めています。
──「機械学習」を掛け合わせると、なぜ成果が上がるのでしょうか。
一言で言えば、『見込み顧客の類似度を、全IDの650万人の中から高精度にスコアリングできるから』です。
例えば、『特定のイベントに参加した人』を教師データ(基準)とします。
機械学習により、その参加者の特徴(性別、年代、世帯年収、普段読んでいる記事の傾向など)を多角的に学習し、『この人たちに類似している度合い』を1位から650万位までランク付けして弾き出すのです。
これにより、規模感に応じた無駄のない配信設計が可能になります。
さらに『配信プロセスを重ねることでPDCAを回せる』というメリットもあります。
1回目のメール配信で『コンバージョン(またはクリック)したユーザー』を教師データに更新して、2回目の配信対象を再抽出すれば、回を追うごとにターゲティングの精度は上がっていきます。
「属性データ」に加えて、「行動・回答データ」を掛け合わせることで可能にした、朝日新聞社ならではの強みと言えます。
成果を最大化する。劇的なコンバージョン改善事例
──なにか成果事例はありますか?
例えば、不動産に関するセミナーの集客事例があります。
最初は『エリア×年齢』の属性で絞り込んだ配信(約40万通)を行い、CV数は30件程度でした。
翌年、過去にメールをクリックしたユーザーを教師データとし、機械学習で『関心が高そうな類似会員』を拡張・抽出して配信(約20万通)したところ、クリック率は0.05%から0.40%へ向上し、CV数は300件弱(約8.6倍)に激増しました。
これは、『不要な広告配信費を削りながら、コンバージョンを最大化する』という理想的な成果であり、評価をいただいています。
外部環境に左右されない、自社データテクノロジー
──昨今のプライバシー保護(Cookie規制など)の影響に対し、どのような対策をとっていますか。
私たちは、外部環境に左右されない独立したデータ基盤の構築に早くから取り組んできました。
メール配信の機械学習においては、プライベートDMPである『Treasure AI』や、高精度な予測モデルを構築できる機械学習アルゴリズム『LightGBM』などを用い、自社ならではの体制を確立しています。
さらに、2023年からは顧客データ活用ツール『Piano』を導入し、プライバシーへの配慮とコンプライアンスを徹底しながら、自社内(1st Party)での強固なデータ収集・分析体制を整備しています。
外部のデータ環境が激変するなかでも、独自の体制を構築・維持し続けています。
朝日ID読者との関係性も強固に。長年築いてきた『信頼性』
──「朝日IDメール」の、読者側のリアクションはいかがですか。
読者の皆様のエンゲージメントは高く、メールの開封率は3〜4割を超えています。直近のメール内広告の平均クリック率も高い実績(HTMLで平均0.40%)を維持しています。
これは、朝日新聞が長年築いてきた『情報の信頼性』がベースにあるからこそ、好意的にリアクションしていただけているのだと思います。
また、読者への負担を減らすため、配信日は原則として毎週水曜・木曜に限定するなど、読者ファーストの設計も徹底しています。
加えて、コピーやビジュアルのA/Bテストを何度も実施し、ユーザーベネフィットがひと目で伝わるようなクリエイティブの改善も日々行っています。
「クライアント満足度100%」を体現する、伴走型のソリューション
──データ活用における、今後の展望をお聞かせください。
データを管理する技術的なインフラは整いました。今後はこれらを扱う私たちメンバーの『熟練度』をさらに高めていきたいと考えています。
単にデータを機械的に提供するだけでは、本当の成功は生み出せません。
クライアント様が抱えている本質的な課題に耳を傾け、プランニング視点とデータを融合させて、最も効果的な戦略を一緒に設計していく。
それこそが、私たちが目指す『クライアント満足度100%』の姿です。
ぜひ一度、私たちのデータソリューションの力をお試しください。
「朝日ID」概要と会員プロフィール
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記事でご紹介した朝日IDのサービス内容の詳細をご確認いただけます。
【プロフィール】
藤井 翔太(ふじい・しょうた)
朝日新聞社 マーケティング推進室 マーケティングインテリジェンスチーム
2017年、朝日新聞社の広告出稿・宣伝部門に入社。自社サービスの宣伝・プロモーション、ブランディング戦略、MAの構築を担当。2022年に広告プランニング部門へ配属され、法人向けデータソリューション「A-TANK」の立ち上げ等を推進。2025年より現職(データ管理・分析部門)


