インタビュー
2026.05.11

吉沢亮のひたむきな姿に吉田修一が贈ったエール 新聞広告から広がるみずほフィナンシャルグループ「青い挑戦」の真意

みずほフィナンシャルグループ
吉沢亮のひたむきな姿に吉田修一が贈ったエール 新聞広告から広がるみずほフィナンシャルグループ「青い挑戦」の真意

みずほフィナンシャルグループは2026年3月15日、朝日新聞朝刊に全15段のメッセージ広告を出稿した。ブランドアンバサダーを務める吉沢亮さんのビジュアルと、吉沢さんが出演した映画『国宝』の原作者である吉田修一氏のエッセイ「青き挑戦者 吉沢亮」とともに掲載され、SNSでも大きな反響を呼んだ。同グループコーポレートカルチャー室・室長の祖谷考克氏と同室・帯向恵理香氏に、「青き挑戦者」というメッセージに込めた思いや、新聞を起点としたメディア展開の狙い、反響について聞いた。

みずほを象徴するブランドカラーを再定義して発信

── 今回の施策の背景について教えてください。

祖谷氏 2025年10月から、吉沢さんにみずほフィナンシャルグループのブランドアンバサダーを務めていただいています。様々な役にひたむきに向き合う姿に、以前から感銘を受けていました。今回の企画は、吉沢さんが映画『国宝』で成し遂げられたことを、私たちが掲げている「青い挑戦」という姿勢を重ね合わせて発信したいと考えたのが始まりです。マーケティング的な施策というよりは、吉沢さんへの純粋なお祝いと、吉沢さんの役に対する姿勢に共感されている方たちと一緒にメッセージを送りたいという気持ちから始まったものでした。

画像1_事例紹介みずほFG

── 今回は「青い挑戦」という言葉がキーワードになっています。このコンセプトはどのように生まれたのでしょうか。

祖谷氏 私たちはパーパス(企業理念の一部)として「ともに挑む。ともに実る。」を掲げており、その思いを世の中の多くの方にみずほの思いとしてお伝えしたいと考えています。しかし、この理念をそのまま言葉だけで発信しても、皆さまに深くご認識いただくのは、なかなかハードルが高いという課題もありました。そこで、みずほを象徴するイメージカラーの「青」をフックにすることで、パーパスをより直感的に表現できると考えました。
 「青」には、“未熟さ”や“世間知らず”といったニュアンスがありますが、それを突き抜ければ、自分を信じて前に進む勇気や情熱ともつながると思います。そんな思いを込めて、 “ひたむきな情熱”を意味する言葉として、「青」を再定義し、発信していくことが大きなテーマになっています。

── 広告には吉田修一さんのエッセイが掲載されましたが、ご覧になった印象はいかがでしたか。

祖谷氏 心が震えました。『国宝』の原作者である吉田先生自らが、吉沢さんの演技に対して感じていらっしゃるものを言葉にしたためていただけたからこそ、進められた企画でした。特に印象的だったのは、挑戦者としての吉沢さんを描くだけではなく、読者に対しても「あなたの中に小さく灯る、その青い挑戦から」逃げずに向き合ってほしい、という力強いエールが含まれていることです。広告の枠を超えたメッセージを頂戴できたと感じ、本当に胸が動かされました。

最終版_みずほソロ写真1

新聞広告の即時性と広がりを生むメディアミックス

── 今回のキャンペーンにおいて、朝日新聞で展開する新聞広告にはどのような役割を期待されましたか。

祖谷氏 映画『国宝』の原作が連載されていた朝日新聞の紙面で、原作者である吉田修一先生が、映画の主演を務めた吉沢亮さんへメッセージを送る。そうした背景から、この企画は、朝日新聞で展開することに大きな意味がありました。特に、朝日新聞が持つ文化芸術に対するイメージや、一日をメモリアルにできる新聞ならではの即時性が、今回の企画にぴったりでした。
 また、実際の日本アカデミー賞受賞を伝える記事の隣ページに広告が配置され、より強いメッセージを生み出すことができたと思っています。映画をご覧になった方は記事を見て思い出しながらエッセイを噛み締めることができ、ご覧になっていない方も想像ができるような、あらゆる読者に読み応えのある紙面となりました。朝日新聞の皆さんに工夫していただいたことに、心から感謝しています。

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── 新聞広告以外にも、雑誌「AERA」の背表紙や見開きを飾り、またデジタルメディア、公式SNSなど様々な形で展開されていました。その狙いをお聞かせください。

祖谷氏 受賞の翌日に朝日新聞から号外も配布されていましたが、歴史的な快挙の熱量がタイムリーに世の中に伝わり、嬉しく思いました。私たちの施策としては、新聞広告をベースにしつつ、各媒体の特性を生かした役割分担を意識しました。たとえば雑誌『AERA』については、新聞と雑誌の印刷技術の違いが特徴です。雑誌では色鮮やかに表現できたので、新聞紙面をご覧になったときの気持ちを改めて思い出していただけるような展開になったと思います。

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施策の全体概要について詳しくはこちら

── これまでオウンドメディアの「みずほジャーナル」やTikTokのショートドラマで「青い挑戦」の発信を続けられてきたと思いますが、どのように使い分けているのでしょうか。

帯向氏 みずほジャーナルでは、主に社員にフォーカスし、パーパスを体現している社員の「青い挑戦」と呼ばれる取り組みを紹介しています。一方、TikTokのショートドラマは若年層向けです。ビジネス色だけでなく、部活や受験の葛藤など、すべての挑戦をみずほが応援していることを伝えるため、「青くていいんだ。」というタイトルで展開しています。青のネガティブなイメージをプラスの価値に変えて、若者たちに寄り添うことを意識しました。
 実際、このショートドラマは最大700万回以上再生されるなど大きく伸びています。ドラマの中で葛藤しながらもひたむきに挑戦する主人公の姿に、今の自分の状況を重ね合わせて前向きな気持ちや共感の声が多く投稿されています。そうしたコメントを拝見していると、私たちの発信を通じて若い世代の悩みが少しでも緩和され、次の一歩につながっているかもしれないと感じ、嬉しく思います。

SNSでの波及効果と、パーパス「ともに挑む。ともに実る。」の先へ

── 出稿後の反響はいかがでしたか。SNSでも話題になっていました。

帯向氏 吉田先生や朝日新聞の方々にもご協力いただき、土日にタイムリーに発信したことで大きく拡散され、たくさんのコメントが寄せられました。吉田先生への称賛はもちろんですが、みずほが伝えたかった「青い挑戦」という言葉に吉沢さんを重ねて表現しているのが素晴らしいといったコメントもあり、私たちの意図がしっかり伝わった手応えを感じました。また、若い世代と思われる方々からのコメントもいくつもあり、新聞広告を起点にSNSを通じて多くの方にメッセージが届いたと感じています。

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祖谷氏 SNSでは、吉沢さんの写真部分の「新聞の折り目の部分はどうやったら綺麗に伸ばせるかな」といった投稿もありました。そこまで思い至らず、次に生かしていきたいと思っています。ただ、それだけ皆さんが今回の紙面を大切に手元に残そうとしてくださったのだと感じ、とても嬉しかったです。
 さらに今回の企画は、私たちの他のコミュニケーションにも良い波及効果をもたらしてくれています。たとえば、大手町の地下で同じくブランドアンバサダーである出口夏希さんと吉沢亮さんお二人を起用した交通広告を展開しているのですが、おそらく、それをご覧になった方がSNSで「自分は新生活を迎える立場ではないけれど、これを見て何か挑戦したいと思った」と投稿されていました。これはきっと、今回の『青き挑戦者』のエッセイを読んでくださっていたからこそ出てきた言葉ではないかと思っています。

帯向氏 本当にそうですね。他にも、〈みずほ〉のサステナビリティの取り組みを伝えるビジネス向けの広告を展開したのですが、「あのエッセイの新聞広告で『挑戦』という姿勢を伝えた上で、具体的にこういうサステナの取り組みをやっていくんだな」と、背景を重ね合わせて理解してくださるようなコメントもありました。今回の新聞広告をそれだけ多くの方が見てくださり、私たちのコミュニケーション全体に素晴らしい相乗効果をもたらしてくれたと感じています。

── 社内からはどのような声がありましたか。

祖谷氏 社内からも非常に反響が大きかったですね。幅広い年代の社員に響いたのが特徴的でした。映画だけでなく、吉沢さんがかつて私たちの源流の創設者である渋沢栄一をNHK大河ドラマで演じていたご縁や、芸に対するひたむきさなどを知る社員が多かったのだと思います。そのため、この企画を見て“自分ごと”として感動し、「とても良い企画だね」と声をかけてもらえることが多かった印象があります。

── 最後に、今後の広告展開やコミュニケーションの展望についてお聞かせください。

祖谷氏 社内外からの大きな反響に背中を押され、5月には歌舞伎の聖地の一つである歌舞伎座で広告を出稿する準備を進めています。コミュニケーションの根底としては、変わりゆく環境の中で皆さまの幸福な生活と、サステナブルな社会・経済を目指して「挑み続ける」姿勢は変わりません。
 ゆくゆくは、パーパスの「実る」の部分について、経済的な成功だけでなく、心の豊かさなどの精神的な価値をどう描くかをテーマにしていきたいとも考えています。ただ、世界情勢が日々変わる中では、しばらくは社会とともに「挑み続ける」というメッセージを発信していく考えです。