企業の様々な経営課題に応えるパートナーとしての姿勢を表現

洗練や先進性とともに企業の親しみやすさをアピール

 富士ゼロックスというと、オフィスの複写機やプリンターを利用しているというビジネスパーソンも多いだろう。同社ではそうした事業を通じ、密接な関係にある得意先が抱える課題を解決すべく、自らの事業の大きな進化を目指している。富士ゼロックス広報宣伝部部長の坂田政一氏に、取り組みなどについて聞いた。

事業の進化を目指し13年ぶりにCI刷新

坂田政一氏 坂田政一氏

 富士ゼロックスでは、これまでどおり、「より早く、安く、きれい」に印刷できる複写機やプリンターを追求しながら、さらにこれらをネットワークでデータ系の基幹とつなげることで、顧客の生産性向上をサポートする取り組みを進めている。

 また、成長領域として力を入れているのが「インハウスパブリッシング」だ。同社では、企業内のマニュアルなどを高速印刷できる高性能な大型プリンターを提供しているが、今後はハードを提供するだけでなく、得意先のマーケティングコミュニケーションにも関与していくという。「具体的な取り組みとしては、お客様が自社で抱える顧客に効率的なDMを打つとき、顧客のデータベースを分析し、それぞれの属性や特性に合わせた効果的な印刷物の作成・配布をサポートするといったことを行っています」と坂田氏は説明する。

 昨年4月からは、蓄積されている「ドキュメント」(=文書、記録)という「資産」を得意先がより効率よく使っていけるよう、ドキュメントの作成、配布、保管といった「ドキュメントライフサイクル」のあらゆる領域において業務を代行する「グローバルサービス」という新サービスの提供を始めた。

 「進化させていく既存の事業と、これから展開させていく新たなサービスが、お客様にとって『なくてはならないパートナー』になることを目指しています」と坂田氏。そうした姿勢を高らかに宣言するため、同社では今年4月、13年ぶりにCIの刷新に着手した。

 以前、アルファベットの大文字だった社名ロゴは小文字になり、丸みを帯びている。「親しみやすさを感じていただきたいという思いを込めています」と坂田氏。顧客とのパートナーシップやグローバル性を表現する球体のシンボルマークも新たに作成した。ロゴの色には、斬新性、革新、チャレンジ精神がこめられた「ゼロックスレッド」が使われている。

得意先に欠かせないパートナーでいたい

 今年9月には4回にわたり、朝日新聞朝刊などに企業広告を出稿した。広告は、美しい写真と「Solution for you」のコピー、そして、新しい社名ロゴのみ、というシンプルな作り。写真は、ボクサーとトレーナー、ゴルファーとキャディーなど、「欠かせないパートナー」を表現しているという。

 「お客様によって経営課題は様々、求めるパートナーも変わってくるはずです。色々な『YOU&FUJI XEROX』を見せることで、幅広く、懐深く、お客様のニーズに対応していきたいという当社の姿勢を表現しました」と坂田氏は説明する。

 写真の美しさだけでなく、「リアリティー」にもこだわったという。

 「当社には『洗練されている』というイメージを持ってくれる人が多いのですが、その従来のイメージはともすると『冷たい』という印象にもつながります。もっとお客様に近い、親しみやすい企業でありたい、という思いで、リアリティーのある写真にしました。でも一方で、やはりいい意味でこれまでの企業イメージも大切にしていきたい。今回広告に掲載した写真は、洗練された美しさがありつつも、温かみもあるものとなっています。まさに私たちがこれから目指す企業イメージを表現しているのです」(坂田氏)

 広告を見た人からは「富士ゼロックスが顧客とどういう関係になりたいと考えているのかがよくわかった」といったポジティブな意見が多かった。さらに、「具体的にはどんなサービスを提供してくれるのか」という声とともに、次の広告に期待する意見も多く聞かれたという。

 「今回の広告を通じ、当社の思いや姿勢を伝えられただけでなく、今後目指していくことにも興味を喚起することができたと感じています」と坂田氏は手ごたえを語る。また、「社員一人ひとりが、会社が向かう方向を目指して変わっていかなければならない、ということを、広告を通じ改めて確認できたようです」とインナー効果についても言及した。

 新聞広告については「当社のコアな顧客層が見るという意味で、もっとも即効性があり、費用対効果も高い媒体ととらえています」と坂田氏は語る。「効果的な広告の形状や掲載場所などについて、さらに新しい可能性を、今後も新聞社には私たち広告主とともに探っていってもらいたい」と今後の課題についても語った。次はどういった広告を展開していくのだろうか。

 「当社がどういうパートナーとして、どういうソリューションを提供していくのかを、きちんとわかるよう示していきたいです。今後に期待してください」と坂田氏は力をこめた。

 2008年9月26日付 朝刊
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