ESG経営が求められる今、新聞広告のメリットとは

 新聞広告共通調査プラットフォーム「J-MONITOR」に参加する16新聞は、「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み」を紹介する新聞広告を読者がどう読んでいるのかを共同で調査し、2022年3月、結果を公表しました。
 近年SDGsや企業のCSR活動への注目が集まる中で、新聞広告はどのような読者に情報を伝えることができるのかを探ります。

summary

●新聞読者の76%がエネルギー問題に最も関心をもつ
●30代は「ダイバーシティ」に注目
●企業・団体のSDGsへの取り組みは、メディアを通じたアピールが必要
 ☞印象・購入意向に影響を与えることができる

新聞読者はどのような社会課題に関心をもっているのか

関心や問題意識を感じる項目

 16紙共同調査では、社会課題について関心や問題意識を感じる項目を調査した(図1)。「エネルギー問題」や「安心・安全」、「少子高齢化」に関する課題は新聞読者の70%以上が関心を持っていることが分かった。これらの項目はSDGsの17の目標に該当するものであり、新聞読者はSDGsや社会課題への取り組みが理解されやすい層であると考えられる。

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図1 J-MONITOR「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」より

 さらに、年代別にみると「ダイバーシティに関する課題」については、若年層も課題意識を持っていることが確認できる(図2)。30代は最も関心が高く、他の項目ではトップを示す60代では最も低い結果となる。ジェンダー平等や属性にとらわれない就業機会、働き方の多様性など、新しい価値観が浸透していると考えられ、若年層にはダイバーシティに関するテーマを掲げることで、より深いアプローチが可能になるかもしれない。

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図2 J-MONITOR「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」より

日常生活で感じる課題意識

 エネルギー問題や国内の問題など、日ごろの生活に関連する社会的な課題15項目についても関心度を調査した。図3は各年代で設問項目に対して、「あてはまる」と回答した上位5項目をまとめた結果である。10代~60代の全年代で「新型コロナウイルス感染症対策の取り組み」、「環境保護のための心掛け」、「少子高齢化への不安感」の3つが上位に上った。特に、環境保護のために省エネやリサイクル、マイバックを持参していると各年代で40%以上の人が回答していることは特徴的である。新聞読者は日常生活で、環境に配慮した行動をしているようだ。
 一方で、各年代で違いが生じる項目もある。30代以下の年代は、「社会格差への不安」や「少子高齢化への不安」を持っていて、40代~50代では「個人情報の管理」に不安を感じていた。60代では「地球規模の環境問題やエネルギー問題に関心がある」と半数近くの人が回答。地球規模の環境課題に関心を高めていると分かる。これらの結果を活用し、各年代の関心領域を抽出することでターゲット層へのアプローチテーマが導き出されるかもしれない。

図3 J-MONITOR「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」より
※クリックすると拡大されます。

課題解決のためにメディアや企業に求められること

「メディアを通じた発信が必要」と92.9%が回答

 ここまで、新聞を通して課題解決に高い意識を持つ人々に情報を提供できる可能性が示された。では、課題解決のためにメディアや企業、法令、教育などはどのような役割を果たすべきか。
 以下結果から、課題解決にはメディアが大きく関与すべきことが分かる(図4)。新聞記事やテレビ番組、インターネット記事などで課題をテーマとして取り上げ、周知し、解決のための方法を伝達することが求められている。加えて、企業や個人もメディアを通じて成果を伝えるべき、というスコアも高い。

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図4 J-MONITOR「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」より

 企業や団体の社会課題への取り組みについて、どのように感じるかを聞いた結果が図5である。新聞読者の9割が肯定的にとらえている。取り組み自体を良いものと感じているだけでなく、課題解決に取り組む企業のイメージ、共感、商品やサービスへの関心など、態度変容や購買行動にも影響を与えている。
 企業や団体はメディアを通じた情報発信が重要であり、社会課題やSDGsの解決のための取り組みは企業イメージや販売促進にもつながると期待できる。

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図5 J-MONITOR「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」より

朝日新聞読者の社会課題意識

 新聞読者は社会課題・SDGsへの関心の高い層が多く存在し、メディアを活用した企業の情報発信がポジティブに受容されていることからも、新聞を活用した展開は効果的だと考えられる。最後に、朝日新聞読者の社会課題意識についてまとめる。
 J-READ調査を用い、社会課題意識について朝日新聞読者と新聞購読者、全体との比較を行った。朝日新聞読者は、少子高齢化や介護問題などの身近な社会課題や、エネルギー問題に関心を持っている。また、「夫婦は別姓でかまわない」と半数近くの人が感じており、ダイバーシティへの感度の高さも特徴的である。企業や団体が身近な社会課題、環境問題への取り組みや成果を示す際は、新聞を中心としたメディア活用により関心の高いターゲット層に届けることが可能だが、ジェンダーを含むダイバーシティに関しては朝日新聞読者を通じた情報発信が効果的と言えるだろう。

202205_jmonitor_sdgs06_07 図6、7 J-READ2021より ※クリックすると拡大されます。

企業や団体はSDGsの活動・取り組みのアピールを

 16新聞の共同調査より、「SDGs、個人や企業の社会的な課題への取り組み」を紹介する新聞を読者がどう読んでいるのかを読み解いた。新聞読者はもともと社会課題、SDGsに関心の高い層を多く含み、企業や団体の取り組みを肯定的に感じていることがわかった。さらに、メディアを通じた発信にも注目している。企業の社会的役割が求められる昨今では、ますます世の中への発信が必要となるだろう。SDGsに理解のある人を多く含有する新聞媒体を活用することもプランに入れてみてはどうか。


調査概要

■「16紙共同 SDGsに関する調査、個人や企業の社会的な課題への取り組み調査」J-MONITOR
調査地域:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、近畿圏(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)、中京圏(愛知・岐阜・三重)、北海道、宮城県、新潟県、長野県、静岡県、岡山県、広島県、福岡県
調査対象:調査対象地域に居住し、当該新聞を購読している15歳~69歳の男女個人
調査実施日:2022年1月1日~1月7日
抽出方法:新聞広告及びインターネット調査モニターパネルからの公募。応募者を各紙ごとに全国新聞総合調査(J-READ)の当該地域・対象者の性×年齢・職業・家族人数等の属性に従い割付
調査方法:パソコン・タブレット・スマートフォンを利用したウェブ調査
有効回答者数:8,077人
調査機関・レターヘッド:(株)ビデオリサーチ

■2021年度全国新聞総合調査(J-READ2021)
調査地域:全国47都道府県主要エリア
調査対象:満15~74歳の個人
抽出方法:①ビデオリサーチ社の過去調査対象者リストから抽出 ②目標有効標本数に満たなかった人数を多段抽出し、訪問による説得
調査方法:調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効標本数:12,574
規正標本サイズ:80,763
調査時期:2021年10月24日~10月30日
調査主体:ビデオリサーチ
※満15歳~74歳の人口構成比に合わせてウエートをかけ、都道府県ごとの抽出率の違いを規正している