トップアスリートの「勝ち飯®」を一般家庭にも広めるために

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味の素は、フィギュアスケートの羽生結弦選手が平昌オリンピックで金メダルを獲得した翌日、「金メダルおめでとう!」の文字が躍る広告を朝刊5段見開きで展開。同社の「食と栄養」が羽生選手の活躍を支えたことを伝えました。

アスリート支援は企業活動の一環

2018年2月18日付 朝刊

2018年2月18日付 朝刊0.9MB

 羽生結弦選手の「金メダルおめでとう!」広告は、優勝を伝える記事と同じ紙面で展開された。その効果について、味の素 広告部長兼オリンピック・パラリンピック推進室長の片上崇氏は次のように語る。

 「記事面は、羽生選手の気迫のこもった表情が印象的でした。広告に使用した写真の1点は、羽生選手の食事中のリラックスした表情をとらえているので、その対比も楽しんでもらえたのではないかと思います」

 ちなみに、入賞か否かにかかわらず、羽生選手の健闘をたたえるメッセージを展開するつもりだったという。結果を見届けた上で、翌日に出した。

味の素 広告部長兼
オリンピック・パラリンピック推進室長
片上 崇氏

 「花火を一発打ち上げて終わりという種類の広告ではなく、アスリート支援が社会課題の解決に向けた企業活動の一環であることを伝えるための、いわば企業広告でした。当社のコミュニケーションは、いずれも最終的には『Eat Well, Live Well.』というスローガンに行き着きます。そもそも当社の歴史は、外国人に比べて不足している日本人の栄養を改善したいとの思いからスタートし、アミノ酸を原料としたうま味調味料『味の素®』を商品化しました。そして、創業以来一貫して事業を通じた社会課題の解決に取り組み、食とアミノ酸の知見を生かした「健康なこころとからだ」の実現への貢献を行っています。このような思いを象徴しているのがアスリートの皆さんであり、その活躍を伝えることは、コミュニケーションの重要な要素だと考えています」

 広告では、トップアスリートの強化支援事業「ビクトリープロジェクト®」について伝えている。同社は2003年より日本オリンピック委員会(以下JOC)のオフィシャルパートナーとして「ビクトリープロジェクト®」に取り組み、同社製品「アミノバイタル®」の提供や栄養サポート活動を行っている。2009年にはJOCのゴールドパートナーとなり、また「味の素ナショナルトレーニングセンター」のネーミングライツも取得。2015年には日本障がい者スポーツ協会(JPSA)とオフィシャルパートナーシップを結び、障がい者スポーツにも活動の幅を広げている。その一方で、独自の栄養サポートプログラム「勝ち飯®」を通じて、アスリートたちのカラダづくりを支える取り組みを2010年より開始。平昌オリンピックの期間中には、同社のサポートメンバーが選手たちの日々のコンディションをヒアリングしながら、競技スケジュールにあわせた食事や補食を提供するなど、「食と栄養」でサポート。広告では、その様子を報告した。

 「『勝ち飯®』についても紹介しています。特別変わった料理ではありませんが、必要な栄養成分がバランスよくとれる家庭料理です。『勝ち飯®』はトップアスリートが認めたエビデンスであり、これを一般家庭に広めることで『食と栄養』に貢献していくことを目指しています。新聞広告のみならず、レシピがわかる特設サイトやテレビCMなどでもアピールしています」

 力を入れている訴求先は、部活生やその家族。同社社員が学校に出向いて「勝ち飯®」出前授業を開く取り組みも始めた。

 「栄養素をただ並べるより、平昌オリンピックで羽生選手はこの『勝ち飯®』を食べたんですよ、と紹介した方がずっと伝わりやすい。『勝ち飯®』講座は現在東京が中心ですが、少しずつ全国に広げていけたらと考えています」

祝祭は節目であり通過点 大事なのは継続性

 アスリート支援においては、選手それぞれにカラダづくりや食に関する悩みを聞き、個々に合った「食と栄養」を提供している。また同社は、2016年リオオリンピックから、JOCとともに「Gロードステーション」の運営も行っている。オリンピック期間中に和軽食を選手らに提供する施設で、平昌オリンピックでも設置。集中したい選手のために「個食部屋」を用意するなど、タイトな競技日程の中でも安心して食事ができる環境を整えることで、コンディション維持の手助けにもなるよう、選手たちをサポートしている。さらに、アスリート支援をきっかけに生まれた商品もある。

2018年2月15日付 朝刊0.6MB

 「ロンドンオリンピックの前に、JOCから『激しいトレーニングをした翌日もスムーズにトレーニングをスタートできるような、疲労回復になる商品はないだろうか』という相談を受けたことが、『アミノバイタル® GOLD』の開発につながりました。開発に際しては、『味の素ナショナルトレーニングセンター』を利用するアスリートを対象に味や飲みやすさなどについてアンケートを実施し、完成した商品はロンドンオリンピックに向けて10万本を選手たちに提供しました」

 こうした様々な活動を広くコミュニケーションしていく中で、新聞メディアに期待する役割についても聞いた。

 「ニュース性と、活字の信頼性といった機能はもちろん、話題の拡散力も見逃せません。保存性があり、手元で堪能できる圧倒的なグラフィックも優れた特性だと思います」

 2020年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。同社は、水泳、バドミントン、空手、車いすバスケットボール、ブラインドサッカーなど、多くの競技団体をサポートしている。

 「『アスリート・ファースト』をモットーに、選手たちの活躍を応援していきます。とはいえ、祝祭はあくまでも通過点。社会課題の解決に向けた取り組みとコミュニケーションを地道に続けていくことが何より重要だと思っています」