AIや高画質動画配信サービスなどの普及に対応するため、近年、データセンターなどの新しいデジタル基盤の整備が各地で進んでいる。一方で、施設での膨大な電力消費や排熱など、環境への影響を懸念する声も上がっている。
朝日新聞社は社会課題に対する生活者のとらえ方を可視化する「ソーシャルイシューインサイト調査」を行っている。今回は「社会インフラ」をテーマに実施した調査結果から、新しい社会インフラといえるデジタル基盤に関する意識を調査。施設の受容の条件や信頼される情報源を読み解く。
ソーシャルイシューインサイト調査 資料
「デジタル基盤」地域での受け入れに世代差
データセンターなどの「新しいデジタル基盤」について、「社会を支えるインフラの一部」と思うか尋ねたところ、全年代で9割前後が賛同していた。
また、こうしたデジタル基盤への投資を「日本全体として必要か」と聞いたところ、「非常にそう思う」と「ややそう思う」を合計した割合は90.4%に達した(n=3,072)。
デジタル基盤を社会インフラの一つとしてとらえ、整備の必要性についても広く社会に浸透している状況がうかがえる。
一方、自身が住む地域でデジタル基盤の整備が進む場合について、どのように思うかを尋ねたところ、年齢層によって受容度に違いがみられた。
20代は過半数が条件をつけずに「受け入れられる」と回答したが、年齢層が上がるにつれてその割合は減少し、70代は21.2%まで低下。かわりに「条件付きで受け入れられる」が過半数となった。
受け入れを円滑にする「条件」 世代を問わずに挙がったもの
デジタル基盤整備の受け入れやすさにつながる条件とはどのようなものか。最も重要だと考える条件について尋ねた設問で、世代を問わず挙がったのは「地域経済へのメリットや還元策の提示」「運用コストの見える化」だった。経済的なメリット、デメリットの見える化を求める声が多かった。
しかし年代別にみると、60代以上は「自治体との運用ルールの明確化」が最多となったほか、70代では「災害時対応計画の開示」も選ばれており、社会インフラとしての責任も重視する姿勢が垣間見える。
信頼できる情報源は「独立した専門家」など第三者の意見
デジタル基盤の整備を考えるために信頼できる情報源を、どのように考えているかについても質問した。全体では「独立した専門家」「大学や研究機関の研究者」など、第三者的な立場の専門家からの意見を重視していた。
この設問について、「受け入れやすさにつながる条件」ごとに回答状況を分析したところ、条件によって選択する情報源に濃淡があった。例えば条件として「環境負荷への開示」「第三者による監査」を挙げた層は、情報源として「独立した専門家・有識者」を挙げるケースが突出して高かった。
一方で、「新聞やテレビなどの報道機関」を挙げる人は、どの条件でも30%前後いた。第三者である専門家の意見を、同じく第三者の立場である報道機関が広く伝えることで、信頼される情報として流通しうると言えそうだ。
「見えないことへの不安」にどう応えるか
調査では最後に任意回答として「従来の社会インフラや新しいデジタル基盤の整備・維持について、あなたが不安に感じること、または知りたいことを自由にお書きください」と質問し、全回答者の半数にあたる1,623件のコメントが寄せられた。
【情報不足への指摘】
何らかの理由で機能しなくなった場合の社会への影響とか、維持に膨大なエネルギーを消費するらしいなどよくわからないが、依存することに不安を感じます(南関東地方/70代女性)
実際に役に立っているのか、たっていないのか、コスト面でどれくらいかかっているのか、実績はどの程度なのか、といった情報が見えてこない。(南関東地方・40代男性)
【見えないことへの不安】
新しいデジタル基盤と言っても具体的にどのようなものなのか深く理解できていない不安と、自分の目に見えないところで、自分が理解不能な何かが起こりつつ有るのではないかと言う不安はある。(四国地方/70代男性)
わたしは社会インフラ整備・維持に関心を持っているし全面的に肯定しているけれど、現在の段階では「新しいデジタル基盤」の不確実さと不透明さにたいして恐れの気持ちがぬぐえないでいる。(近畿地方/40代女性)
回答では、電力消費や立地地域の環境への影響を不安視する声があったほか、そもそも検討するための情報の不足や不透明さを訴えるコメントも複数あった。
また、デジタル基盤が支えているAIなどのデジタルサービス全般について、使える人と使えない人の格差に対する指摘や、災害時などでのシステム障害、サイバー攻撃などへの不安も寄せられた。さらに、デジタル技術が生活・社会の様々なところに普及する中で、仕組みや自身への影響が見えないことから、漠然とした不安を訴える声も多かった。
見えないものへの不安をいかに取り除き、社会として議論を深めていくか。市民それぞれの状況に合わせた情報を、適切なチャネルで届けることが求められる。
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