井山七冠、羽生永世七冠 快挙に合わせ商品を訴求

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2018年2月13日に囲碁の井山裕太七冠、将棋の羽生善治永世七冠が国民栄養賞を受賞しました。翌日の朝日新聞朝刊には、二人の受賞をお祝いする全15段の広告特集が掲載されました。井山七冠は高反発マットレスの「マニフレックス」、羽生永世七冠は「ゾフ」のメガネと、厳しい勝負の世界で戦う二人を支えるアイテムを紹介。囲碁界と将棋界のW受賞という最高のタイミングで掲載された広告は、読者からも大きな注目を集めました。
フラグスポート ~マニフレックス

一流アスリート、文化人の眠りをサポートするマットレス

 イタリア製の高反発マットレス「マニフレックス」のアジア総代理店、フラグスポートは2018年2月14日付朝日新聞朝刊に井山裕太七冠の国民栄誉賞受賞のお祝い広告を掲載した。井山七冠は2017年10月、第42回囲碁名人戦で名人位を奪い返し、前人未到の七冠を二度にわたって達成。2018年2月13日に囲碁棋士としては初となる国民栄誉賞を受賞した。

2018年2月14日付 朝刊0.6MB

 現在、井山七冠は自宅でマニフレックスの最高峰モデル「ディアマンテ50」を愛用している。名人戦が行われた静岡県熱海市にある旅館「あたみ石亭」も、名人と挑戦者が泊まる離れの寝具にディアマンテ50を採用。フラグスポートは昨年より井山七冠の睡眠をサポートしており、祝賀広告の掲載に至ったという。背景について、フラグスポート代表取締役社長・山根崇裕氏は次のように話す。

 「人は体ではなく脳が眠ります。脳と眠りは切り離せない関係で、かねて脳のパフォーマンスに関心がありました。囲碁は、まさしくその一つ。囲碁で酷使した脳を眠らせるためにも、いい寝具でストレスなく体を休めることが重要です。井山七冠はもともと眠りを大切にしていて、ご縁があってマニフレックスをご自宅で利用してもらっています。囲碁を通じて脳が眠ることの大切さを伝えていけたらと考えています」

フラグスポート代表取締役社長・山根崇裕氏 フラグスポート 代表取締役社長
山根崇裕氏

 フラグスポートは、マニフレックスのマットレスを愛用する一流アスリートや文化人とアドバイザー契約を結び、サポートしている。「単に広告に出演するだけではなく、愛用者の立場で使い心地を自ら語ってもらうようにしています。改良してほしい点なども聞き、改善に役立てている」という。

 今回の広告でも、世界のトップ棋士たちと対局する井山七冠が、「眠りによって疲れをとり、いい状態で次の対局に臨むことは、棋士にとって永遠のテーマ」であることや、ディアマンテ50の使い心地などを語っている。メーカーが商品の魅力を直接語るより、井山七冠やトップアスリートなどが自分の言葉で伝えるほうが共感を得やすく、説得力があるという考えだ。

 同社はこれまで新聞広告を何度も活用してきた。その理由について山根氏は「機能性に優れた商品なので、説明はどうしても必要。新聞は信頼性が高いメディアなので、企業の誠実な姿勢も伝えることができる」と言う。

 広告掲載後の反響は、想定以上に大きかったという。「ショールームを訪れる人が増え、特に伸びたのは熟年層でした。熟年層にマニフレックスがもたらす良質な眠りを伝えることが課題の一つだったので、とても満足しています。ディアマンテ50をはじめ、良品を求める人が多かったのが印象的でしたね。朝日新聞の読者は、ハイレベルな知識層が多く、狙い通りのターゲットに情報を届けることができたのだと思います。今回の企画は、朝日新聞の協力によって実現することができました。囲碁と睡眠を組み合わせたことで読者の目を引き、新たな気づきをもたらすこともできたと評価しています」


インターメスティック ~Zoff

羽生永世七冠が愛用メガネの知られざるエピソードを語る

 メガネブランド「Zoff」を展開するインターメスティックでは、羽生善治永世七冠の国民栄誉賞受賞に合わせて、羽生さんを起用した15段の広告特集を朝日新聞に掲載した。

2018年2月14日付 朝刊0.5MB

「以前から羽生さんが当社のメガネをご愛用いただいていることは知っており、いつかお仕事でご一緒できないかと考えていました。そんな矢先、国民栄誉賞受賞という最高のタイミングで、朝日新聞から企画提案がありました。ご本人が受けてもらえるならぜひ、とお願いしました」とマーケティング戦略本部販売促進部部長の山下誠氏は語る。

 朝日杯も主催する朝日新聞から羽生さんに働きかけたところ、将棋の普及につながるならと快諾。不調だったとき、中原誠十六世名人から「メガネが合っていないのでは」とアドバイスがあり、ゾフのメガネに変えてから調子を取り戻した、というエピソードを記事体化。朝日新聞が所有していた、ゾフのメガネをかけて盤面に挑む羽生さんの数々の写真を使用し、インパクトある紙面ができあがった。

 「羽生さんのユーザーとしての生の声を紹介できたのが最も効果的だったと思います。メガネを将棋の勝負における集中力と結びつけて語ってもらい、視力矯正の大切さを普段とは異なる切り口で、説得力あるかたちで訴求できました」

社会の関心事に合わせ消費者に届く新聞広告を

インターメスティック マーケティング戦略本部 販売促進部 部長 山下誠氏 インターメスティック
マーケティング戦略本部 販売促進部
部長 山下誠氏

 この記事体広告はSNSでも話題となり、まとめページも立ちあがったという。また電話番号を載せていたカスタマーサポートへの問い合わせは、過去最大の数となった。

 「どこへ行けば買えるのか、といった店舗に関するもの、新規のお客様からの問い合わせが多かったのがうれしかったですね。社内でもたいへん好評で、社員全員が喜んでいます」 今回は、囲碁の井山裕太七冠とのダブル受賞であり、受賞を知らせる記事の隣に記事体広告を載せることができたことも、大きく注目度アップにつながった。

 「私どもの広告を世の中の関心事に合わせ、ニュース性を最大限に生かすかたちで展開できました。今は広告が消費者に届きにくい時代だけに、読んでもらうための工夫やタイミングが重要です。その時、盛り上がっている話題に合わせたり、文化事業やスポーツにからめたりすることは非常に有効で、お祝い広告もその一つだと思います」

 メガネには医療機器の側面もあり、信頼性が重要である。そのため、これまでも医師に医学的観点からメガネについて語ってもらう記事体広告など、新聞への出稿を重視してきた。

 「今回の企画で、新聞広告はタイミングと上手な仕掛けがあれば、消費者にしっかり読んでもらえ、深いメッセージを届けられることが再認識できました。これからもそのような広告を考えていきたいですね」