ペットと暮らすことによって生まれる消費

 朝日新聞東京本社広告局では、ペットを飼っていることが消費行動に与えている影響を探ることを目的として、2011年3月に「ペット飼育者調査」を実施した。前稿では、「住まい」と「クルマ」についての調査結果を紹介した。本稿では、「家電」と「家庭用品」についての調査結果を紹介する。

デジタルカメラなどへのニーズ

 「子供」や「ペット」はカメラの被写体になることも多い。ペットを飼っている人で、写真や映像でペットの姿を記録しておきたいという人はどれだけいるのであろうか。

 犬または猫を飼っている人の中で、「コンパクトデジタルカメラ」「デジタル一眼レフカメラ」「デジタルフォトフレーム」「デジタルビデオカメラ」「カラープリンター」の各デジタル機器の所有者に、それらの機器をペットの写真・ビデオ用に利用することがあるかどうかを尋ねた。

 コンパクトデジタルカメラ」(n=2,530)、「デジタル一眼レフカメラ」(n=699)所有者のそれぞれ約8割の人が「ペット用に利用することがある」(「よく」+「時々」)と回答。「デジタルフォトフレーム」(n=495)、「デジタルビデオカメラ」(n=904)所有者でもそれぞれ約6割に及んだ(図1)。

 各デジタル機器の所有者を犬飼育・猫飼育者別にみると、全般的に犬飼育者の方が猫飼育者よりペットの写真・ビデオで利用する割合が高くなっている。中でも「カラープリンター」は猫飼育者の47.1%に対し、犬飼育者は57.5%、「デジタルビデオカメラ」は猫飼育者が56.4%に対し、犬飼育者が61.8%と差が見られる。

図1 デジタル機器をペットに利用している

 また、各デジタル機器の購入意向者に、購入を予定・検討している機器を「ペットの写真・ビデオ用に利用したいかどうか」を尋ねたところ、「利用したい」(+「時々」)という回答者はそれぞれ約9割と多かった(図2)。ペットが家族の一員として被写体になることが多い様子がうかがえるだろう。

図2 デジタル機器をペットに利用したい

家電製品へのニーズ

 各家電製品・機器を3年以内に購入した人を対象に、それら製品の購入を検討した際に、「ペットと暮らすこと」を考慮したかどうかを尋ねた。「考慮した人」は、「脱臭機」 (n=124) 購入者で79.8%、「空気清浄機」(n=775)で71.2%と7割を超える。「全自動掃除機(ルンバなど)」(n=169)は55.6%、「掃除機」(n=1,111)では46.6%、「床暖房システム」(n=99)では46.5%の人が考慮したと回答している(図3)。

 犬飼育・猫飼育者別にみると、「全自動掃除機(ルンバなど)」の購入者のうち犬飼育者では53.7%、猫飼育者では61.9%がペットと暮らすことを考慮して製品を購入しており、床暖房システムや脱臭機でも猫飼育者の方が犬飼育者より高くなる傾向がみられる。

図3 ペットと家電製品・機器購入への影響

 また、各家電製品・機器の購入意向者に、今後購入を検討している家電製品・機器を選ぶ際に、ペットと暮らすことを考慮するかどうかを尋ねたところ、「考慮する」(+「やや」)と回答した人は、「脱臭機」の89.5%、「空気清浄機」の82.8%となっている(図4)。

図4 ペットと家電製品・機器購入への今後の影響

家庭用品へのニーズ

 掃除用粘着ローラーや掃除用ワイパーシートなどの家庭用品の利用者に、ペットと暮らすことで商品の利用が多くなっているかどうかを尋ねた。「そう思う」(+「やや」)と答えた人は掃除用粘着ローラー(n=2,164)で85.4%、掃除用ワイパーシート(n=1,652)で75.4%を占め、芳香剤(n=1,966)や除菌用ウエットティッシュ(n=1,749)では6割となっている(図5)。

 最近ではマンションなどの集合住宅でもペット飼育を認めるところが増え、飼育場所は家の中が主流になっている。今回の調査でも、「室内で飼育している」という人は犬で87.1%、猫では83.3%と多数を占める。ペットを家で飼う場合、より快適に過ごすために様々な家庭用品が重要な役割を果たしているといえそうだ。

図5 ペットと家庭用品利用への影響

 最後に、回答者全体に今後ペットと暮らす際に、家庭用品を今後も利用するかどうかを尋ねたところ、「利用すると思う」(「よく」+「時々」)という回答者の割合は、「掃除用粘着ローラー」と「住宅・衣類の消臭剤」で7割を超える結果となっている(図6)。

図6 今後の家庭用品利用へのペットの影響

 今回の調査では、「住まい」と「クルマ」「家電」「家庭用品」の4つのテーマからペット飼育者との関係を探った。いずれもペットを飼っていることが消費行動に影響を与えていることがうかがえる結果となった。今後、企業がペットを意識した商品開発や広告活動を行っていくことによって、ペット飼育者の消費需要に応えていくことができるのではないだろうか。

■調査概要
【調査地域】 東京23区、横浜市
【調査対象】 犬または猫を飼育している20~69歳の男女個人(マクロミル社のモニター)
【調査方法】 インターネット調査
【回収数】 3,000。予備調査で得られた犬・猫飼育者の性・年代構成を基に本調査で割付回収を行った
【調査期間】 2011年3月8~11日
【調査企画・設計】 朝日新聞東京本社広告局
【実査機関・レターヘッド】 マクロミル