集客確かな「江戸ノベルズ」 年2回の「恒例行事」に

 時代小説の魅力を、当時の文化・風俗・地理などとともに紹介する「江戸ノベルズ」。朝日新聞社広告局が企画・制作するこの広告特集と連動して、全国の書店で展開するフェアを取りまとめるのがトーハンだ。同社書籍部アシスタントマネジャーの東雄一氏と、同部一般書PBグループの高須悠治氏に、13回を数える「江戸ノベルズ」について聞いた。

書店の要望で誕生 記事とデザインが人気

――「江戸ノベルズ」が始まった経緯、概要を聞かせてください。

 「江戸ノベルズ」は2007年6月にスタートしましたが、実はその前に、朝日新聞の児童書や絵本を紹介する紙面「おはなしのくに」と連動したフェアを開催していました。07年は、ちょうど佐伯泰英さんの時代小説の人気に火がついた時期です。江戸時代の関連本がブームになったこともあり、当時の朝日新聞の企画担当者から江戸時代をテーマにした時代小説特集をやりたいとお話をいただき、その時に書店から、「紙面連動フェアのように、広告と合わせて商品を送ってほしい」という声が上がりました。

 そこで当社でブックフェアの実施を取りまとめることになりました。

 様々な切り口、読み応えのある文章、美しいクリエーティブで江戸の文化や風俗を紹介した紙面が好評で、現在も年2回掲載されています。13回目を迎えた今年6月は、全国181店舗の書店がフェアに参加しました。

 当社では、お店の規模に合わせて選べるブックフェア用の販促アイテムを用意しています。他にも、江戸ノベルズのオリジナルカレンダーやしおりを作成するなどして販促をサポートしています。

2013年6月28日付 朝刊 広告特集「江戸ノベルズ 第13号」

2013年6月28日付 朝刊 広告特集「江戸ノベルズ 第13号」 4面
2013年6月28日付 朝刊 広告特集「江戸ノベルズ 第13号」 2・3面
2013年6月28日付 朝刊 広告特集「江戸ノベルズ 第13号」 1面

――新聞広告とタイアップする効果、メリットは。

 江戸ノベルズは、「常連」の読者がつくほどの人気紙面企画です。書店でも恒例行事として捉える店舗が増えています。出版社もこの紙面の広告効果を実感しており、最近ではこの特集に合わせて新刊を発売する出版社もあります。新聞紙面があることで、ブックフェアがしっかりと認知され、定着し、効果を上げていると言えます。

 江戸ノベルズでは、当日紙面の別のページでフェアに参加している書店名を全5段広告で紹介しています。読者にとって便利な情報ですし、書店側には集客につながると好評です。朝日新聞の紙面に店名が載ることで、モチベーションの向上にもつながっているようです。

――今後の展望、課題を聞かせてください。

 出版物の売り上げが減少し、出版社も書店も、当然販売会社である当社も厳しい状況です。まずはお客さまに書店の店頭に足を運んでもらうことが重要で、集客のための店頭支援が欠かせません。「江戸ノベルズ」はその一策と言えます。

 今後はこの成功事例を生かし、ジャンルや作家など別の切り口でのブックフェアやタイアップ企画を展開できればと思います。新刊だけでなく、既刊本を掘り起こすのもブックフェアの一つの狙いなので、江戸ノベルズも含め、魅力ある特集を実施していきたいです。

 そもそも書籍は新聞広告と非常に親和性が高いので、朝日新聞とともに企画を練りながら、「トーハンと朝日新聞が本の世界を盛り上げている」という姿勢をアピールしつつ、出版業界に貢献していきます。