「学生成長力No.1」の強みを社会に広くアピール

 今年4月には、生命科学部と薬学部を開設し、新たな分野に挑戦する。立命館大学のブランド戦略を、広報課長の細野由紀子氏にうかがった。

読者の共感につながるコミュニケーション

細野由紀子氏 細野由紀子氏

── 大学を取り巻く今の状況は。

 全入時代を迎えた今、大学には「改革すること」以上に、「改革して研究や教育環境はどう充実し、卒業生はどんな活躍をしているか」という成果が問われています。この見方は企業や保護者だけでなく、受験生にも浸透しています。みなさん、大学案内やサイトを読みこみ、大学のことをよく知っていますから。

 このように、ステークホルダーにますます吟味され、大学が中身で選ばれる時代に、立命館大学の個性を今まで以上に際立たせる必要がありました。これが、今回ブランディングに取り組んだ出発点です。

── そのブランディング手法は。

 教育改革に真摯(しんし)に取り組んできた立命館大学の姿を端的に表現し、浸透させることを第一義としました。議論の結果、立命館大学ならではの強みは、本物の教育を通したキャンパスライフで、学生がたくましく育つ「学生成長力ナンバーワン」であるという結論になりました。学生一人ひとりの人生に「立命館で学ぶ」という付加価値をプラスし、彼らこそが未来を生み出す主人公になる、という社会への約束を、コミュニケーションマークと、「+R 未来を生みだす人になる」のタグラインに込めました。

 プロモーションの一つとして活用したのが東京でのエリア広告。「京都で学ぶ本物感」にこだわり、大学近くの名刹・等持院を舞台に、脚本家の井上由美子さんら、各分野で活躍されている卒業生に登場してもらいました。立命館大学の特徴の一つに、地元・関西地方5割、それ以外5割という在学生の出身地比率があります。各地から様々な才能を持つ人が集まり、刺激しあえる「全国性」を大事にする意味でも「東京発・全国型」のメッセージを発信し共感を生み出すことは重要だと考えます。

 ブランディングのメッセージは独りよがりではなく、社会に受け入れられるものであるべきです。社会性の高い新聞広告は、ブランド戦略に適したメディアです。今回の広告は新たなコミュニケーション活動のスタートに過ぎません。5~10年という長期スパンで、多くの「立命館ファン」を作っていきたいです。

2007年 10/28 エリア広告 
パノラマ6(フロント面)
1/10 朝刊 大阪本社版 二連版 14段1/10 朝刊 大阪本社版 二連版 14段