ウルトラマンとのコラボ商品が大ヒット 新聞広告で新たな顧客層を開拓

 ウルトラマンが初めてテレビに登場したのは1966年7月10日。TBS系テレビで翌週から始まる本放送を前に、ウルトラマンとレッドキング、バルタン星人など怪獣や宇宙人たちが登場する公開番組「ウルトラマン前夜祭」が放送された。以来、この日は「ウルトラマンの日」と呼ばれる。そしてこの人気作を生み出した円谷プロダクション(以下、円谷プロ)の創立50周年を迎えた今年、「ウルトラマンの日」を記念して、朝日新聞に二連版・全30段の広告特集が掲載された。この右面で目を引くのが、メガネとサングラスのブランド「JINS」による全5段広告だ。

スタイリッシュなデザインで 大人にアピール

川崎史穂氏 川崎史穂氏

 これは、JINSとウルトラマンシリーズによるコラボ商品の広告。「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」をモチーフにしたメガネとサングラスの新商品を限定発売した。
  「ウルトラマンシリーズは長い歴史があり、幅広い世代で非常に認知度が高いキャラクターです。現在、JINSのユーザー層は20~30代が中心なのですが、ウルトラマンは40~50代の男性にも根強い人気がある。円谷プロ創立50周年の記念イヤーを一緒に盛り上げることで、ウルトラマン世代という、JINSにとって新しい顧客層を開拓しようと考えました」

 そう話すのは、「JINS」ブランドを運営するジェイアイエヌのマーケティング室リーダーの川崎史穂氏。同社はこれまで、「ワンピース」や「ヱヴァンゲリヲン」など数々の人気作品とのコラボ商品も手掛け、ヒットさせてきた。今回は、そうした実績に注目した円谷プロから提案があり、話が進んだという。

 できあがった商品はメガネとサングラス、どちらもウルトラマンとウルトラセブンを意識した2種類のデザインがあり、それぞれ各3色展開、全12商品。メガネはフレームの部分にウルトラマン、ウルトラセブンの胸の部分の流線形のデザインをあしらい、トレードマークであるカラータイマー・ビームランプも表現されている。イメージカラーのシルバーと赤が基調だが、色味は抑えめでスタイリッシュな印象だ。
  「キャラクターをモチーフにしても、実際にメガネとしてかけにくいものだと意味がない。大人のユーザーが日常に使えるデザインに落とし込みました」(川崎氏)

 一方で、サングラスは、丸みのあるハーフリムのデザインをベースに七色に色が変わるレンズを使うモデルもあり、よりウルトラマンやセブンらしい遊び心とファッション性、そしてファン心理を満たしてくれるデザインだ。

 円谷プロとの商品開発の段階で、7月10日「ウルトラマンの日」に朝日新聞の広告特集があるとの情報をキャッチ。商品の発売日を同日にし、広告出稿も決めた。「メディアプランで重視するのは、ターゲットに合わせた媒体選定と訴求内容です。今回は、個数が限られた限定商品だけに“垂直的な”立ち上がりがほしかったので、全30段すべてが『ウルトラマンづくし』というインパクトある紙面は、ターゲットにしていた30代後半~40代にとって視認性も高く、インパクトがあるに違いないと判断しました」(川崎氏)

※画像は拡大します。

2013年7月10日付朝刊 ウルトラマン特集Vol.4 全30段

2013年7月10日付朝刊 ウルトラマン特集Vol.4 全30段

新聞広告で来店増 広い世代にJINSファンになってほしい

 そして発売へ。「商品への反応は上々でした」と川崎氏。当日、店舗に足を運んだところ、「新聞広告を見て来た」という、“JINS初体験”の来店者が少なくなかったという。今回の商品でターゲットにした30代後半~40代の男性はもちろん、『新聞を見て息子に買ってあげようと思った』という女性や、発売後しばらく経ってから「7月10日の新聞広告を見て、ずっと気になっていた」と来店する人も。「インパクトある紙面だったため、広告もしっかり記憶に残っていたようです」と川崎氏は話す。

 広告クリエーティブも大好評だった。
  「ウルトラマンの世界観は壊さずに、とはいえ、あまり昭和っぽい雰囲気にもしたくなかった。変身直後のおなじみのシーンも、JINSが手掛けるとこうなる、ということが表現したくて。結果的に、シンプルでわかりやすく、インパクトあるデザインを採用し、大人も使える商品だと伝えることができたと思います」(川崎氏)

 同社では、「JINS PC」などの商品でも新聞広告を活用している。川崎氏は、「新聞は宅配なので大部数に確実にリーチする。さらに、しっかりと読んでもらうことができる」と新聞広告を評価した上で、「商品特性を詳しく語る必要のある商品には新聞が最適。とはいえ、語り過ぎて情報が多いと散漫になってしまう。インパクトをもって注目を集めながら、シンプルでわかりやすいメッセージを発信していくことが重要」と語った。

 メガネは、一度購入して満足した店を繰り返し利用する人が多いという。「普段使いはもちろん、PC用、老眼鏡、ファッション用など、シチュエーションごとにメガネがほしいと思ったとき、JINSの店頭に足を運んでいただきたい。今回のウルトラマンシリーズのように、コラボレーションを通じて新しいお客さまを増やしていけたら」と川崎氏は期待を込めた。

<関連記事>

ジェイアイエヌへのインタビューはいかがでしたか?朝日新聞の「ウルトラマン特集」に企画段階からご協力いただいている円谷プロダクションにもインタビューしています。
 ■「ウルトラマンシリーズ」特集を掲載 新聞で幅広い層のファン獲得を狙う  円谷プロダクション

 また、ジェイアイエヌのように「ウルトラマン特集」に広告を掲載したバンダイのインタビューはこちらです。
 ■円谷プロ50周年企画に連続出稿 「ウルトラマン」を支える徹底したマーケット戦略 バンダイ