二人のリーダーが語る。中山勇社長と佐々木則夫監督の対談企画が実現

 「挑戦を楽しもう。」というメッセージを背負い、未来を見据える二人の男性。一人は、この1月にファミリーマート社長に就任したばかりの中山勇氏、そして、サッカー日本女子代表監督の佐々木則夫氏。二人の対談が、3月19日付朝日新聞朝刊全国版に掲載された。

今後のグローバル戦略をなでしこジャパンの活躍に重ねる

神山知之氏 神山知之氏

 中山社長は1957年生まれ、佐々木監督は1958年生まれで、ほぼ同世代。対談は、両者の学生時代の思い出話から始まる。高校、大学、社会人と、15年にわたってアメリカンフットボールの選手だった中山社長。大学時代に合宿で使っていた千葉県の検見川グランドは、サッカーの大学選抜チームにいた佐々木監督も合宿で利用したことがあるという。

 「あの頃から30年以上経って、今は互いにチームを率いる立場としてお話しできるのは、とても感慨深い」と、中山社長。佐々木監督から向けられた「リーダーとして、ファミリーマートをどのような企業にしたいと考えていますか?」という質問に、「海外進出を今まで以上に加速させます。2020年度には、グローバルで4万店というのが目標です」と答えた。

 この広告を担当したのは、総合企画部マーケティング室コミュニケーション戦略グループの神山知之氏。サッカー日本代表のサポーティングカンパニーの権利を活用したプロモーション全般を手掛けている。
「海外展開をはじめとする当社の取り組みを、なでしこジャパンを率いる佐々木監督の世界戦略と重ねてアピールしたいと考えました」

 なでしこジャパンは、今ではその活躍がよく知られているが、世界一に輝いた2011年W杯以前はあまり注目されることがなかった。ファミリーマートは2001年からサッカー日本代表のサポーティングカンパニーに名を連ね、男子代表だけでなく女子代表も応援してきた。10年以上の関係性があればこそ、中山社長と佐々木監督とのツーショットには説得力があった。

 ちなみに同社は、11年のW杯の直後になでしこジャパンの選手を起用した、お惣菜「彩り famima DELI」のプロモーションを実施している。今回、佐々木監督の起用に至った経緯について神山氏は語る。
「コンビニの利用者は若者中心というイメージが長く定着してきましたが、近年は 50代以上の“おとな世代”の利用がとても増えています。当社は、“おとな”向けの商品やサービスの開発、イベントや社会活動、地域ネットワークの構築など、少子高齢化時代を見据えてあらゆる角度から新しいライフスタイルの提案を強化しています。そうした流れもあって、年齢層の重なる佐々木監督にご登場いただくことになりました」

リーダー論、組織論としても読みごたえのある内容に

2013年3月19日付 朝刊 ファミリーマート 2013年3月19日付 朝刊

 正味1時間に及ぶ対談は、味の素スタジアムで行われた。「海外で認められるためには、国内の基盤やクオリティーを高めることが重要」「組織を動かすのは命令ではなく情報」「長所をうまく引き出して強みにすれば、短所を補い世界に勝てる」「個の持ち味は誉(ほ)めて育てる」といった対談内容は、組織論やリーダー論としても参考にできる。

 「挑戦を楽しもう」というメッセージは、ファミリーマートが行動指針に掲げる「ファミマシップ」の一つ。佐々木監督は、このメッセージへの共感を、「成功の反対は失敗ではなくチャレンジしないこと。失敗してもいい。人は挑戦することで成長し、歓(よろこ)びを得られる」という言葉で表現した。
「クリエーティブで苦労したのは、『挑戦を楽しもう』というメッセージが印象的に伝わるようなビジュアルづくりです。スタジアムを背景にした写真も候補に挙がりましたが、最終的には前向きな姿勢を強調する写真を採用しました」

 広告出稿のタイミングは、男子日本代表×ヨルダン戦を一週間後に控えた3月19日。対談のより詳しい内容は、同社の専用サイトで読むことができる。こちらは6回にわたる連載で、順次更新していく。その他、テレビCMも展開した。
  新聞紙面では、掲載当日から4月1日にかけて展開する店頭キャンペーンも告知。ヨルダン戦を中継するテレビ朝日のサッカー応援キャッチコピー「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」を合言葉としたキャンペーンで、「パスつながれ!」という願いをかけた「ツナカレーおむすび」と、「点取れ!」と願いをかけた「とり天おむすび」を売り出した。

 「サポーターのみならず、幅広い層にリーチできるメディアとして新聞広告を活用しました。 広告には多くの好意的な反響がありました。フェイスブックに開設した当社アカウントに掲載情報をアップしたところ、『いいね!』をクリックしてくれる方もたくさんいました。

 最後に、今後の取り組みについて神山氏は語ってくれた。
「これまで様々なキャンペーンを通じてサッカーファンの声を代表監督や選手たちに届けてきました。現在もサポーターの皆さんから募った写真をファミリーマートの店頭ポスターや屋外広告に活用する応援活動“WE ARE SUPPORTERS プロジェクト”も展開中です。6月にはW杯アジア最終予選オーストラリア戦を控えており、これに合わせたキャンペーンも準備しています。楽しみにしていただきたいですね」