社名変更20周年を記念し500色の色えんぴつを販売

 「500」の文字と、紙面いっぱいに広がるビビッドな色彩。その色数は圧巻の「500」色。ひときわ目を引くカラフルな広告が、4月11日の朝日新聞全15段(東京・大阪本社版)を飾った。総合通信販売大手のフェリシモが、社名変更20周年を記念して復刻発売した「500色の色えんぴつ」の広告だ。

異例の単品訴求も、商品に対する自信ゆえ

野村義浩氏 野村義浩氏

 実はこの商品、1992年に一度発売された実績がある。限定生産だったため手に入れられた人は多くなく、復刻を求める声も寄せられていた。「昨年末から今年1月にかけて、まずは既存会員様に復刻のご案内をしたところ、1万件以上の予約購入という反響がありました。これは広く一般にも告知すべきだということで、今回の出稿に至りました」と、同社販売企画チームの主席主任・野村義浩氏は出稿の経緯を振り返る。

 幅広いアイテムを扱う総合通販会社という性質上、今回のような単品のみを訴求する広告手法は例を見ない。しかしこの商品に関しては「単品でも訴求できる『強さ』があり、十分注文が取れると判断して出稿しました」と野村氏。5月下旬の時点で約4万件の受注があり、まずはもくろみ通りの成果といえる。「この商品のように、生活に絶対必要なものではないが、もし手元にあればとても幸せな気分になれるといったものが今、求められているのかもしれません」と分析する。

 500色の壮観さはもちろん、細部も秀逸だ。「初恋のミルクチョコレート」「端午の節句の菖蒲湯」「バイカル湖のラピスラズリ」など、単なる「○○色」ではなく、色から連想されるイメージによるオリジナルのネーミングを500色すべてに施している。1992年当時の担当者が、夜を徹して考案したものだ。さらに色彩学の権威が全色にストーリーを付与し、情報カードや一冊の本としてもまとめられている徹底ぶりだ。「オリジナルで商品を企画開発しているため、ほぼすべての商品に担当者の思いとストーリー、つまり『こんな工夫と思いを込めて作りました』という、使っていただく方にプラスとなる情報があります」と胸を張る。

「しあわせになるしあわせ」を具現化したキャンペーン

 同社の特徴の一つに「コレクション」的販売手法がある。同じ商品を、月ごとにデザイン・色などを変えて届けるパターンは「月々少しずつそろっていく楽しみが味わえる」と広い支持を得ている。

2009年 4/11 朝刊

2009年4月11日付 朝刊

 500色の色えんぴつも同様に、20カ月という長期間にわたって、毎月25色を20回届ける手法をとっている。「例えば1万円の商品を1回買っていただくより、1,000円の商品を10回買っていただきたい。同金額のお買い物でも、1回で関係が終わるより10回にわたるお客様とのキャッチボールを通じて、より強い関係を育んでいけるからです。500色の色えんぴつも、月1セットが1,800円とお買い求めやすい金額で、色がそろうプロセスも楽しめます。20カ月を通じ、我々のコアファンになっていただけるようなコミュニケーションが生まれれば」と野村氏。

 メーンコピーには「誰といっしょに買いますか?」のメッセージ。2人で購入すれば2人とも、ひと月1,000円になる「ともにしあわせになるしあわせ割りキャンペーン!」を展開している。「『ともにしあわせになるしあわせ』は当社のスローガン。企業活動を通じ、自分だけでなく他人、家族、ひいては社会全体を幸せにしたいという思いを、このキャンペーンにも凝縮しています。もともと当社のお客様はクチコミで広まっていることもあり、インパクトの強いこの商品なら、『一緒に買わない?』と誘い合いやすいのではと思いました」

 広告出稿直後はレスポンスがあまり芳しくなかったという。しかし、それが1~2週間後になって「津波のような」発注が届き、現在の好評ぶりに至る。

 「よくよく考えると、『誰といっしょに買いますか?』というメッセージを投げかけたため、出稿後、誰かと相談するやりとりが受け手の中で生まれていたのでしょう。出足の遅れはそのタイムラグだったのではと思います。お客様の中で、コミュニケーションが生まれる仕掛けだと実感しました」

 有名ソーシャル・ネットワーキング・サービス内の、同社ファンによるコミュニティーには「一緒に買う人募集」の呼びかけもされるなど、このキャンペーンは好評だ。「ビジネスは、客数と購買頻度と単価の掛け算。客数を今後どう拡大していくかを考える上で、一緒に買っていただける仕組み作りは重要です」と語る。

 今後の広告展開について「今回のように、新聞広告の向こう側にいる読者が、アクションを起こせるような仕掛けを考えていきたい。受け手の記憶にとどめることが広告の第一義かもしれませんが、通販という商売柄、我々が求めるのはその一歩先=『購入』までです。記憶にもとどめることができ、そこからさらに注文につなげるためのメディアとして活用していきたいですね」と野村氏は結んだ。