「親愛なる安室ちゃんへ」楽曲タイトルちりばめたメッセージに感謝を込めて

 ダイドードリンコは、炭酸飲料「mistio(ミスティオ)」の発売当時に広告キャラクターを務め、2018年9月に引退した歌手、安室奈美恵さんへ感謝を伝える全面広告を9月4日の朝日新聞朝刊(全国版)に掲載。安室さんと同時代を生きてきたブランド「mistio」として、これまでの感謝と、これからを応援する気持ちを、安室さんの楽曲タイトルをつなぎ合わせたメッセージに込めた。

飛躍の商品となったロングセラー炭酸飲料「mistio」

2018年9月4日付 朝刊0.5MB

 ダイドードリンコは、炭酸飲料「mistio」発売の1996年から2年間、若者世代を中心に絶大な人気を誇っていた安室さんを広告キャラクターとしてCMやポスターに起用。ヒット曲「Don't wanna cry」をバックに安室さんが踊る、さわやかで躍動感あふれるCM映像と「飲んでミスティオ」のキャッチフレーズは瞬く間にお茶の間に浸透し、商品は大ヒット。その後、22年にわたりロングセラーを続けている。

 「安室さんの力もあり、『mistio』は弊社にとって大きな飛躍の商品となりました。社会現象を巻き起こした彼女の影響力はすさまじく、おかげさまで多くのお客様に商品を知っていただくことができました。そんな安室さんが、9月16日をもって歌手を引退されると知り、感謝の気持ちを伝えたいと思ったことがこの広告の発端です。当時、『mistio』を飲んで下さっていたであろう世代の方々と、安室さんへの思いを共有したいと考えました」とダイドードリンコマーケティング部コミュニケーショングループの浄弘(じょうぐ)博子氏は話す。

 9月4日の朝刊に掲載された全面広告では、上部に「# We Dont Wanna Cry」とハッシュタグが書かれ、「Dear NAMIE AMURO(親愛なる安室ちゃんへ)」と続く。

 中央には当時の広告に登場した安室さんの笑顔の写真を配置。周囲にはオリジナルで編み出した英文のメッセージがずらりと続く。「“Don't wanna cry?”... We don't wanna cry, either. So baby, don't cry, no more tears, smile again. You are our sunshine, and hero all together……」

 日本語に訳すと「“泣きたくない?”... 私たちもそう。だからお願い、泣かないで。涙を拭いて、笑おう。あなたは私たちの太陽であり、ヒーローでもあるんだから……」。よく見ると英文の中には「Don't wanna cry」「no more tears」「You're my sunshine」「Hero」など、安室さんが世に送り出し、今も愛され続ける代表曲のタイトルを見つけることができる。その数は50曲以上。浄弘氏は「曲名を追いながら当時を懐かしく思い出し、さらにメッセ―ジの内容を知って胸が熱くなったという反響がたくさん寄せられました。驚きと感動とともに、読者に気持ちをお伝えできて満足しています」と振り返る。

「安室さんへの手紙」というテーマ貫くために

浄弘博子氏

 立ち上げ時からプロジェクトの中心として携わった浄弘氏は、クリエーティブ面では頭を悩ませたと語る。「曲名を入れながらメッセージ性のあるコピーを作りあげることが大変だったのは言わずもがなですが、他にも、メッセージの中に曲名が隠れていることに気づいてもらえるだろうか、私たちの伝えたい思いが誤解なく届くだろうか、という不安がありました」

 制作過程では、文中の曲名が目立つよう文字色を変えるといったことも考えたが、最終的に、安室さんへ感謝の気持ちを伝えたいという原点に立ち返り、特別な装飾を施すのはやめた。さらに、純粋な『感謝の手紙』だということがより伝わるよう、自社の商品紹介や会社情報は必要最低限にした。日本語ではなく英語のメッセージを採用した理由は、ワクワク感を読む人に味わってもらいたかったからと明かす。

 「ここを見て!とこちらから強調するよりも、結果的に共感性の高い紙面になったのではないかと感じています。私たちの狙いは、安室さんの『いちファン』として、これまでの感謝とこれからを応援する気持ちを皆さんと共有したいということ。その思いが読者にきちんと伝わり、安心しました」

幅広い世代のファンと思いを「共有」できた実感

 媒体として新聞を選んだのは、メッセージがまっすぐ届く「信頼できるメディア」だと感じているからだという。朝日新聞を見た読者からはお客様相談室宛てに直接、電話でお礼の声が届くなど、これまでにない反響を実感。「紙面を手元に置いておけるのでうれしい」という意見も多く、紙媒体の良さの再発見にもなった。

 紙面発行日以降、各種メディアからの問い合わせが増え、TwitterやInstagramなどSNS上でも大きな話題を呼んだ。中でも予想外だったのは、安室さんが広告に出演していた当時の「mistio」を知る世代よりもさらに若い世代からの反応が多数あったことだ。掲載から1カ月経過後もじわじわと反響は続いており、社内の評価も非常に高く、実施して良かったと感じる結果になったという。

※PDFは紙面全体を表示します

2018年9月5日付 朝刊 小型広告1MB

2018年9月6日付 朝刊 小型広告0.9MB

2018年9月7日付 朝刊 小型広告0.9MB

 「1996年の『mistio』発売時、同じ空気を吸っていた方々から大きな反響をいただけたということが何よりの成果でした。商品を売ろうとしてつくった紙面ではないので、皆さんに喜んでもらえたことが本当にうれしかった」(浄弘氏)

 創業以来、「人と、社会と、共に喜び、共に栄える。」をモットーに、飲料市場でダイナミックなチャレンジを続けてきたダイドードリンコ。多くの読者の共感を呼んだ今回のコミュニケーション活動は、「共に喜び、共に栄える」という社の姿勢を改めて感じさせるものとなった。