JA共済の理念「共に助け合う」ことの大切さ 3月11日に新聞広告で発信し続ける

 JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)は、東日本大震災が発生した翌年の2012年から毎年、3月11日前後に新聞広告を掲載しています。共に支え合い、つながりあうことの大切さを1年に1度、あらためて考えるきっかけになる、社会的に意義のある新聞広告です。70年以上前から共済事業を展開する、JA共済の理念を訴求する機会にもなっています。

2013年3月10日付 朝刊578KB

2014年3月11日付 朝刊1.7MB

毎年継続して新聞広告でメッセージを発信し続ける理由

 JA共済連は、共に助け合う「相互扶助」の理念のもと、「ひと・いえ・くるま」の総合保障を提供している。その始まりは1948年。自然災害での共済金の支払い実績は多く、甚大な被害をもたらした東日本大震災においては、建物保障の支払額が9,300億円を超えるなど、保障や地域貢献活動等を通して被災地の復旧・復興に貢献してきた。

 JA共済連では、東日本大震災が発生した翌年の2012年から毎年、3月11日前後に新聞広告を掲載し続けている。2019年3月11日付朝日新聞朝刊にも、15段の全面広告を掲載した。JA共済連 全国本部 調査広報部事業広報グループ 課長の佐々木賢治氏は、新聞広告を継続して掲載する目的について、次のように話す。「3月11日は助け合うことの大切さをあらためて実感し、誰かの役に立ちたいという思いが宿った日でもあると思います。そのことを忘れないためにも1年に1度、地域社会に向けてメッセージを発信し続けていくことは、70年以上前から共に助け合うという理念の基に活動しているJA共済の役目でもあると考えています」。

2015年3月11日付 朝刊1.0MB

2016年3月11日付 朝刊1.2MB

 新聞広告の内容は、徐々に変化している。掲載を開始した当初は、東日本大震災を直接的に想起させるメッセージを発信していた。だが、6年目の2017年3月11日付の広告では、東日本大震災を念頭に置きつつ、その他の自然災害に見舞われた人たちも意識した内容であることが分かる。それは、2016年4月14日に熊本地震が発生したことが影響している。同部広報グループの小野恭成氏は「自然災害は日本各地で起こる可能性があります。特にここ数年、そのことを痛感している方は多いはずです。そこで、6年目以降は東日本大震災のみに想いを馳せるのではなく、一人ひとりが支え合うことの大切さを訴えていくことが必要と考えました」と話す。

2017年3月11日付 朝刊1.0MB

新聞は読むことに集中できる ノイズが入らないメディア

 2018年3月11日付の新聞広告には、宮城県石巻市と愛知県名古屋市で農業を営む方々が登場している。宮城県石巻市の農家の方は、東日本大震災の被災者だ。2人の農家が語った言葉で、共済が誰かの支えになることを、支える側、支えられる側双方の視点から対比して伝えている。2019年3月11日付の新聞広告は、これまでで最も概念的な内容だった。「絆、という備え。」というキャッチコピーから始まり、「この国では、助け合うことで農業や暮らしが営まれてきました。」と続く。「2018年は、大阪北部地震や西日本豪雨、北海道胆振東部地震と、自然災害が特に多い年でした。一人ひとりのつながりから生まれる絆や、助け合う気持ちが、いざというときの心強さになることを、あらためて訴えていこうと考えました」(小野氏)。

2018年3月11日付 朝刊1.0MB

2019年3月11日付 朝刊696KB

 概念的なメッセージを少しでも多くの人に共感してもらうために、ボディコピーを中心にスタッフで議論を尽くしたという。「ただ、多くの人の意見を取り入れすぎると、伝えたいことがぼやけてしまいます。そこで、文章はできるだけシンプルにして、ボディーコピーも短めにまとめることにしました。また、使う言葉は慎重に選びました」(佐々木氏)。ビジュアルは、昔と今の農家の写真を使用している。平成から令和と時代が移り変わっても、助け合い、支え合う大切さは変わらない。そんな思いも込めて選んだという。

佐々木賢治氏

 この広告シリーズは、8年前から新聞を中心に展開している。その理由については、「誠実にメッセージを届けたいと考えたとき、真っ先に思いつくのは、やはり読み手にとって信頼性の高いメディアである新聞でした。広告が気になって新聞をめくる手を留めていただけた方は、『読むこと』に集中しているからこそ、共感してもらえればより深くメッセージが届く。そんなノイズの入らないメディアであることも魅力だと思っています」(小野氏)。

小野恭成氏

 JA共済連の姿勢を伝えるために、内容は「共に助け合う」ことの意義と、JA共済連の事業理念の訴求に特化している。そのため、これまでの共済金の支払い実績や共済への加入の流れなどは掲載していない。「私たちは相互扶助の理念を持つ協同組合ですから、最終的なゴールは利益ではなく、組合員や地域の方々がより幸せに暮らす地域社会づくりに貢献すること。理念を伝えた上で、結果として共済という仕組みに関心を持っていただければ幸いです」と小野氏。

 社会的に意義のあるメッセージを発信しているからこそ、「このような新聞広告は継続してほしい」という声が多いという。「自然災害はあってほしくないが、万が一の際、JAの共済が必ずお役に立てるはずです。島国で自然災害が多い国だからこそ、共済の重要性を伝え続けていく必要があると考えている」と佐々木氏は締めくくった。