メディアを横断的に活用 モエ アンペリアル誕生150周年のストーリーを多角的に伝える

 モエ・エ・シャンドンは、世界中で愛されるシャンパーニュ地方のブランドだ。「モエ アンペリアル」は、モエ・エ・シャンドンを代表するシャンパンで、2019年に誕生から150年を迎えた。アニバーサリーイヤーを記念して、11月24日付朝日新聞朝刊に全30段の広告特集を掲載。同日、BS朝日ではモエ アンペリアルの150年の歴史をひもとく番組を放送し、朝日新聞デジタルには特設サイトをアップした。新聞広告を軸に、朝日新聞グループのメディアを多角的に活用し、幅広い層にリーチするキャンペーンとなった。

2019年11月24日付 朝刊

2019年11月24日付 朝刊600KB

目指したのは気付きや発見のある広告

 モエ アンペリアルの誕生150年のアニバーサリーイヤーを盛り上げる施策として、新聞広告を軸にキャンペーンを展開した。その理由について、MHD モエ ヘネシー ディアジオのモエ・エ・シャンドン PR&コミュニケーション マネジャーの吉田知音(さとね)氏は、次のように話す。

吉田知音氏

 「150年という記念の年に、多くの人に愛されているモエ アンペリアルのストーリーをあらためてお伝えしたいという思いがありました。新聞広告を活用しようと考えたのは、2018年の年末にドン ペリニヨンの広告を朝日新聞に掲載したところ、お客様からの反応が非常に多かったからなんです。ファッション誌やライフスタイル誌など、雑誌にも広告を掲載していますが、それよりも新聞広告の方が反応があり、幅広い層にリーチできるという手応えがありました。そこで、今回も新聞広告で何かインパクトのある仕掛けができないか、朝日新聞の担当の方に相談しました」

 150年のストーリーを伝えるというキャンペーンの狙いは、ブランドの認知をより向上させること。近年、モエ・エ・シャンドンをはじめ、ワインやシャンパンを愛飲する人が増えており、百貨店やスーパーでも気軽に購入できる。以前よりも身近な存在になってきてはいるが「シャンパンといえばモエ・エ・シャンドンと想起してくれる人を、もっと増やしたいと思っています。愛飲してくださっている方にも、気付きや発見のある広告を目指そうと考えました」と吉田氏。

 課題は、150年間に紡がれたストーリーを掘り下げながらも、いかに分かりやすく伝えるか。150年という長いスパンなので、テーマを絞り込む必要もあった。読者層が広い新聞というメディアの特性から、基本的な二つの切り口でストーリーを伝えていこうと考えたという。それが、皇帝ナポレオンにまつわるストーリーと、モエ・エ・シャンドンのワイン醸造所がどんな場所にあり、どんなシャンパンづくりを行っているかといった内容だ。

 「モエ アンペリアルは、メゾンの3代目当主、ジャン・レミー・モエと親交が深かった皇帝ナポレオンの生誕100年を記念してつくられました。アンペリアルという商品名も『皇帝』という意味で、ナポレオンとのエピソードは、私たちが大切にしているストーリーの一つ。その歴史をひもときながら、モエ・エ・シャンドンのワイナリーとしての魅力を紹介していくという2本柱で展開することになりました」(吉田氏)

 具体的には、モエ・エ・シャンドンの醸造最高責任者、ブノワ・ゴエズ氏が語る、ブドウを収穫してから、モエ アンペリアルができるまでのストーリーや楽しみ方についてのインタビューと、フランス・シャンパーニュ地方にあるモエ・エ・シャンドンのブドウ畑や迎賓館、ワインセラーなどを巡る、という内容に決まった。

ちょっといいことがあった、そんな日にも選んでもらえるブランドに

 今回のキャンペーンの特徴は、新聞広告だけでなく、BS朝日と連携してテレビ番組も制作したことだ。テレビCMも検討したが、商品の背景をより深く伝えるためには、テレビ番組の方が適していると判断したという。さらに、朝日新聞デジタル内に特設ページを設け、新聞広告に掲載した記事をロングバージョンで掲載した。

 広告の表現にもこだわった。モエ・エ・シャンドンは、シャンパーニュ地方で最も大きなブランドで、世界中の人たちに愛されているシャンパンだ。畑の広さも生産量も一番多く、その壮大さをリアリティーのある言葉で伝えたいと考えた。そこで、映像制作の取材に新聞広告の制作を手掛けるライターやカメラマンも同行してもらうことにしたという。「実際に現地に行って醸造所やブドウ畑を見てもらうのと、写真を見ながら話を聞いて書くのでは、言葉の選び方やフレーズも変わるはずです。実際、完成した紙面は、とても分かりやすく、なおかつ壮大さも伝わる内容でした。広報資料やプレゼン資料をつくるときにも、参考にしたいと思っています」

 新聞広告は、テレビ番組が放送される11月24日付の朝刊に掲載。紙面で番組の告知も行った。新聞とテレビ番組、ウェブと朝日新聞グループのメディアを活用したことで、より幅広い層にリーチさせることができたという。

 「新聞広告を見た人からは、購入できる店を教えてほしいという問い合わせが何件も寄せられ、ウェブの記事を見たという連絡が、知人や友人からもありました。いまは何でも検索する時代ですよね。モエ アンペリアルが誕生150年だと新聞広告やテレビ番組で知った人がネットで検索したとき、それにまつわる記事にすぐヒットすれば、より興味を持ってもらえるはず。拡散してもらえる可能性もある。最近は、ウェブの記事の発信元がどこか、チェックする人は増えています。今回は、朝日新聞デジタルから情報を発信したことも、信頼性という観点からも大きかったと思っています」(吉田氏)

 今回のキャンペーンは、社内でも評判がよかったという。あらためて自分たちの会社の歴史や商品のストーリーを思い返す機会となり、インナーコミュニケーションにも役立ったとのこと。最後に吉田氏は、モエ アンペリアルの楽しみ方についてこう語った。「結婚式のようなハレの日はもちろん、今日はちょっといいことがあったという日にも選んでもらえる、そんなブランドを目指していきたい。モエ アンペリアルを飲むと、さまざまな場面に合わせて、それにまつわる自分だけのストーリーや小さなエピソードができあがっていくはずです。モエ アンペリアルを飲む人たちのストーリーも、同時に紡がれていくことが、ブランドの継続にもつながっていくと思います」