新商品に込めたメッセージ「軽やかに、わたしを生きよう」、説得力のある新聞広告とファーストサマーウイカさんの本音の言葉で共感広がる

 ワコールは、「ウイング」から新発売した「エアリーソフトブラ」のモデルに女優・タレントのファーストサマーウイカさんを起用。2020年8月4日、朝日新聞で全国5エリア別にビジュアルを切り替えたインパクトある全面広告を展開した。同時にミレニアル女性向けWEBサイト「telling,」で本人のインタビュー記事を配信し、ターゲットである20~30代女性のブランド認知を獲得した。広告はツイッターや芸能ニュースを中心にSNSでも話題になり、自然な拡散を見せた。商品開発の背景やキャンペーンの詳細について、ワコール総合企画室でウイングブランドの販売促進を担当する酒田侑季さんに聞いた。

ファーストサマーウイカさんのありのままの姿を伝えた5パターンの全面広告

 「エアリーソフトブラの開発の背景として、働く女性の増加と、快適市場の広がりが挙げられます。下着にはもともと『苦しい』『窮屈』『きれいに見せなきゃ』というイメージがあり、『頑張り過ぎたくない』『自分らしくいたい』というニーズを持つ女性たちにノンワイヤーブラが広がっています。ただ、造形性やホールド感は頼りないという方もいる、そこでワイヤーブラで造形性をかなえながらも、苦しくなく、自分らしくラクに暮らせる商品を作りたいと考えました」

酒田侑季氏

 そうして開発されたのが「軽がる、メイク。」をコンセプトに採用したワイヤー入りのエアリーソフトブラだ。商品の魅力を伝えるためにファーストサマーウイカさんを起用した理由は「ウイカさんの生き方」だという。

 「グループ活動を引退された後も様々な分野に活動を広げ、自分らしさを大事にしながら活躍されていて、今回の商品に込めた『軽やかに過ごす』を体現されていると感じたのが一番の理由です。広告のビジュアルでも普段と印象の違う、ナチュラルでやわらかな雰囲気を出してもらうことで、より一層「軽やかに過ごす」が伝わったのではないかと思っています。特に「telling,」のインタビュー記事では、『締め付けるものと思っていた下着観が変わり、ブラを着けることで前向きになれる』と、商品に向き合うマインドまでとても上手に伝えていただいたので、社内でも『私たちでもこんなにうまく伝えられない』と話題になりました」

 全面広告に採用された5パターンのビジュアルは、いずれも商品であるブラジャーを着用せず、しなやかな背中と腕のラインと自然な表情が印象的だ。下着を前面に出さず、本人の内面が感じられるさわやかなクリエーティブは男女問わず支持された。

2020年8月4日朝刊 西部本社版451KB

2020年8月4日朝刊 大阪本社版387KB

 「着け心地の軽さをインパクトを持って伝えるために、あえて下着を着用しないビジュアルに振り切りました。着け心地の軽さは、着けた瞬間だけでなく、一日過ごしてわかることもあります。コロナ禍だけれど、下着を変えることであなたの一日がすごく軽やかなものになりますよというメッセージもクリエーティブで伝えたかった。写真を選ぶ際も『この表情はすごく自分がありそう』『意志が感じられる』と下着によって軽くなっている気持ちが伝わることを基準にしました。いつものウイカさんとはちがうイメージなので、手書きメッセージとお名前を入れていただくことで説得力を出しました」

 撮影は6月上旬。感染予防に配慮して立ち会いも極力減らした。「現場では言葉数も減らしてという撮影でした。ウイカさんの誕生日の前日で20代最後の節目の仕事。私はリモートでの参加のため事前に十分会話できたとは言えない状況でしたが、ご自身のインスタグラムでも『本日、楽しみにしている撮影です』と投稿されていたので、並々ならぬ思いで撮影に臨んでいただいたのかなと思いました」

説得力のある新聞広告と本人の言葉を伝えた「telling,」の記事でメッセージが届いた

 「新聞を選んだ理由として、メッセージをきちんと伝えたいという思いがありました。個人発信も含め多くの媒体がある中で、説得力のある媒体は改めてすごく重要だと認識しています。新聞は全国での掲載が可能です。地域によって出し分けができることも重要で、たくさんのクリエーティブで届けられます。社内ではターゲット母数が多い媒体は他にもあるとの意見もありましたが、掲載にあわせてQRコードを記載したりご本人のSNSでも発信いただくなど、拡散方法をうまく組み合わせることで説得力を持たせながら広められると新聞を選びました。ウイカさんに始まるサイト誘導はきちんと商品まで届くよう、できるだけ離脱されない構成を意識しました」

2020年8月4日朝刊 北海道本社版408KB

2020年8月4日朝刊 名古屋本社版413KB

 企業としてメッセージを発信するとき、受け手にとってどういうふうに映っているかが毎回心配という。企業色が強いメッセージは敬遠されがちだからだ。

 「日々できるだけお客様の視点に立って、どういう言葉で伝えられると響くだろうと思いながら仕事をしていますが、今回は「telling,」に掲載していただいたウイカさんご本人の言葉が大きかった。私たちが伝えたかったことを、1ユーザーとしてお話ししてくださいました。『今の女性たちにこういうふうに生きてほしい、もっと自分のことを好きになってほしい』と、商品のことを応援しながらご自身の言葉で伝えてもらえたのが多くの方に響いたのだと思います。」

ワコールから女性へのメッセージ

 1975年から続く「ウイング」ブランドは「あなたのいちばんそばに」が全体のコンセプトだ。

 「お客様一人ひとりに寄り添い、女性の体と長年向き合って商品を開発してきたことは当社として自信のあるポイントです。本当に体に合う下着を着けていただくとラクに過ごせて、体形の変化もサポートできます。ジャストサイズは店頭で確認するのが一番いいのですが、サイズを測るのに抵抗がある、見られたくないというお客様もいらっしゃいます。そこで、セルフで行う『3Dスマート&トライ』というサービスをワコールの一部店舗で始めました。バストサイズ以外に腕の長さなど体の18カ所を非接触で測定した後、タブレットの接客AIでぴったり合うものをご提案します。ご自身のサイズを知る選択肢が少し広がっているいま、できるだけ若いうちからきちんと体に合った下着を着けて、自分らしく軽やかに生きていく女性が増えてほしいと思います」