疾病啓発は正しい情報を広く伝えることが重要

 医薬品メーカーのコミュニケーションが活発化する中、博報堂は2004年、ヘルスケアビジネス推進部を新設。医療コミュニケーションとメディア選択の現状について、部長の山本裕久氏と同部ビジネスディベロップメントディレクターの永田康氏にうかがった。

山本裕久氏 山本裕久氏

── 企業による医療コミュニケーションの現状について。

 医薬品の広告は、患者に疾病を正しく認識してもらうことが大きな目的です。きちんと知ることによって、医師との会話が円滑になります。

 また、「こういう症状の人はこういう病気ですよ」と発信することによって、一般生活者への早期発見・早期治療の啓発にもつながります。早期発見・早期治療は社会的にも必要なことです。例えば糖尿病のように、病状が進行するほど莫大(ばくだい)な医療費がかかり、結果的に国の財政を圧迫します。疾病を初期に見つけて治療することは、医療費を抑制するという点でも重要なのです。

 さらに、生活者が疾病と向き合い、早期発見・早期治療を自発的に行うには、その病が社会的に正しく理解され、患者の心理的障壁がなくなるよう努める必要があります。例えば、うつ病は5年くらい前まで、周囲に打ち明けづらい病だったと言っても過言ではありませんでしたが、社会的に広く認知された今では、以前と比べて病院に相談しやすくなっています。

永田 康氏 永田 康氏

── 新聞広告の位置づけは。

 医療用医薬品でも一般用医薬品でも共通する使命は、正しい情報を広く届けること。その意味では、やはり新聞広告は必要です。特に、全国紙は日本全国にリーチするので、ある地域だけ情報が行きわたらないということが避けられます。新聞は信頼性が高く、医療報道も継続的に行っている。また、読者層に多く含まれる医療従事者にも、患者にどんな情報提供をしているのかを知らせることができるのです。

 医師と患者の円滑なコミュニケーションのための情報提供、一般生活者への早期発見・早期治療の促進、疾病の社会的認知の向上の3点で効果が期待できる新聞は、はずせない媒体の1つとして位置づけています。