スポーツコンテンツを活用して得意先へのソリューションを提供

 スポーツコンテンツはマーケティングにどう活用されているのか。博報堂DYメディアパートナーズ・スポーツ事業局プロデュース推進部事業プロデューサーの岩佐克俊氏と、博報堂スポーツマーケティング代表取締役社長の加藤善彦氏に、スポーツマーケティングの動向などについてうかがった。

CSRや社名認知に効果を発揮

博報堂DYメディアパートナーズ 岩佐克俊氏 博報堂DYメディアパートナーズ 岩佐克俊氏

── それぞれの業務についてお聞かせください。

 スポーツ事業局は、広告会社のスポーツ部門担当として、スポーツコンテンツを活用し、得意先の課題を解決していくのが業務です。具体的に当社が扱っているコンテンツは、サッカーJリーグ、プロ野球、ゴルフ、陸上、柔道など多岐に渡ります。こうした様々な競技や団体、大会などに対し、企業の協賛事業をはじめとするマーケティングを担当しています。コンテンツホルダーであるスポーツ団体などから情報を集めて商品化するベースを作る、また、得意先の課題を集めてコンテンツとマッチングさせるという大きく二つの機能を果たしながら、最終的にはスポーツコンテンツを活用して得意先の課題解決を目指します。

 博報堂スポーツマーケティングは、スポーツコンテンツホルダーの価値をいかに高めていくかという視点で、マーケティング、コンサルティング、プロモーション、イベントプロデュース、そして商標や肖像権などの権利関係のマネジメントを行う会社です。国内外のスポーツ団体、スタジアムや個人アスリートといった得意先が抱える様々な課題── たとえば新しいリーグをどう作っていくか、事業をどう大きくしていくのか、社会貢献活動を進めたいといったことに対し、未来に向けた効果的なプランを立案していきます。

── スポーツマーケティングにおける最近の動向は。

 大会やトーナメントに冠企業として協賛するだけでなく、子どもを対象にしたスポーツ教室を開催したり、障害者スポーツに協力したりするなど、CSRや社会貢献の取り組みとしてスポーツコンテンツを活用する企業が増えています。また、企業が統合・合併する際に、そのインナー対策にスポーツコンテンツが活用されるケースも。スポーツは、企業風土の違う社員の間でも強い求心力になるからです。スポーツはメディアに取り上げられやすく、認知が高まるため、一般的に社名が認知されていないB to Bの企業が、リクルート対策として活用するのも最近の傾向といえます。

さわやかな印象ブランドに重ねる

博報堂スポーツマーケティング 加藤善彦氏 博報堂スポーツマーケティング 加藤善彦氏

── マーケティングの見地から見たスポーツコンテンツの魅力は。

 それぞれのスポーツ、アスリートには「ファン」がいます。観客動員数だけを見ても、野球は年間約2000万人、サッカーは860万人で、これだけのファンがスポーツを通じて共感を持っている、と見ることができます。このファンをひとつのマーケットとしてとらえた場合、共感を持っているため、とてもメッセージが伝わりやすいというメリットがあります。また、「さわやか」「活性感」「夢を追いかけて達成する」といったスポーツコンテンツならではのイメージと、企業や商品をだぶらせることで、ブランドに対してもいい印象を持ちやすくなる。実際、スポーツコンテンツに接触した後の調査では、認知や好意が上がっているという結果が出ています。

── メディアがスポーツコンテンツを活用するメリットは。

 新聞社が大きなスポーツコンテンツを活用するケースはこれまでにもありましたが、事業、広告、販売、編集と、より本格的な社内横断プロジェクトとして継続的に取り組まれることが増えてきたのではないでしょうか。社会的公器でもある新聞社の全社を挙げた取り組みとして一本筋が通っていれば、新しい読者層の開拓や新聞社としてのブランディングにいい結果をもたらすと思います。

 われわれスポーツマーケティングを仕掛けていく側としては、メディアが積極的にスポーツコンテンツとかかわることで、世の中に流れる情報量は圧倒的に増えます。そういう意味では、スポーツマーケティングにおいてメディアの存在は欠かせませんし、常に意識しています。

── 新聞広告に期待することがあればお聞かせください。

 昔よりも「マスメディアが効かない」と言われますが、新聞ならではの信頼性や説得性など絶対的な特性は変わっていないと思います。企業姿勢を提示したり、企業としてのメッセージを発信したりすることは、新聞でしかできないアプローチ。そうした特性や表現は、今後も自信を持って貫いてほしいと思います。同時に、新聞には、企業と生活者の接点としてもっと活用方法があるのでは、という期待があります。新聞社とともに、その可能性について模索していければと考えています。