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「グリーンウォッシング」

ADKマーケティング・ソリューションズ SCHEMA プロジェクト マネジャー 寺西藍子氏
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1992年のリオサミット直前に、グリーンピースが「The Greenpeace book of greenwash」を出版し、世間に広がったこの言葉。「グリーン=環境に配慮した」と「ホワイトウォッシング=うわべだけで取り繕う」を掛け合わせた造語で企業活動やコミュニケーションに対して、うわべだけ環境保護に熱心なように見せることとして使われてきた。

 なぜ20世紀後半から使われた言葉を今になって取り上げたか。それはグローバル目線で見たとき、各企業の環境問題に対する注目度合いが圧倒的に高まっているためである。

 現在、世界はもとより、日本でもSDGsの17項目に関して、社会的責任として目標に掲げる企業が増えている。中でも、特に欧州ではサステナビリティと環境問題に関しての注目が非常に高いと感じる。2019年11月にリスボンで行われた「ギークのためのダボス会議」と呼ばれるイベントWeb Summitでは、各企業のマーケティング担当者がこぞって環境問題に取り組んでいることが報告された。

 特に興味深かったのは、ファッションや化粧品などのブランドの取り組みだ。例えばH&Mは、被服業界が二酸化炭素排出の10%を占めているという状況に対して、2030年までにオーガニックやリサイクルコットンを使用してデニムを作ることを目標に掲げ、店舗、オフィスや倉庫の電気を再生可能エネルギーから調達することを宣言。またセカンドハンドファッションのブランド”Sellpy”を立ち上げたことなどを発表した。同社はファストファッションのイメージが強いかもしれないが、だからこそ、ブランド自体をサステナブルにするために様々なことを実践している。その上で、H&Mだけで努力してもCO2排出の削減が2%しかできないため、競合ブランドと協力してCO2削減をしていく、またスタートアップとの連携によってもそれを可能にしていきたいと述べた。

 他業種でもグーグルは、気候変動の問題に携わるスタートアップに向けてのアクセラレーターを2020年より始動することを表明し、イケアは顧客中心だけではなく人間中心主義を貫くとして、2025年までに使用するエネルギーを全て再生可能なものにし、2030年には商品自体も全てリサイクル商材か、再生可能素材で作ることを宣言した。

 ここで興味深いのが、各社が実際にこれから行っていくことや既に行っていることを述べていることである。企業として「環境に優しい」イメージを売り込んでいるのではなく、実際に「環境に優しい会社」になるために行っている事象を述べているのである。

 マーケティング目線で見ると、昨今では企業が「何をいうか」から「何をするか」をPRしていくことが非常に重要になってきている。各企業に向き合っている広告会社も企業の「何をするか」の実現をサポートすることが必要になるため、なおさら環境に優しい「イメージづくり」から脱却する必要があるだろう。広告会社にいると、ついクライアント企業のイメージアップやブランディングにフォーカスしがちであるが、だからこそグリーンウォッシングに注意すべきである。

 グリーンウォッシングと企業がいわれないように、Futerra Sustainability Communicationsが2009年にまとめた書面において「グリーンウォッシュを見分ける10のサイン」の日本語訳を記載したい。

(参考: Futerra Sustainability Communications (2009)「Understanding and Preventing Greenwash: A Business Guide」)

 上記を確認することで、ひとまずのグリーンウォッシュ対策はできるため、マーケティング担当として、環境周りで企業を支援する場合に確認するといいだろう。

 イタリアの公立学校では、来年から世界で初めて気候変動問題と持続可能性の授業を年間33時間義務化することが決まった。COP25も今まさに行われている。今後は企業や自治体が、環境問題に対して実際何を行うかということを体現・実践していくフェーズが増えていくことだろう。私もマーケティングの一端を担う人間として、人々との信頼を醸成し、グリーンウォッシングを防ぎ、企業の根本的なブランディングに寄与していく目線を持ち続けたいと思う。

【 参考文献 】
寺西藍子(てらにし・あいこ)
寺西藍子氏

ADKマーケティング・ソリューションズ SCHEMA プロジェクト マネジャー

日本、グローバル企業の国内外のマーケティング活動を担当。ラグジュアリーブランド8年、ロボティックスプロジェクトにも携わり、2017年より新規事業開発に従事。日本のスタートアップと大企業のエコシステムを成長させるべく、ブランディング×テクノロジーの目線で事業開発を担う。
講師:亜細亜大学経営学部、理化学研究所、ADFEST Young Lotus

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