2010年7月11日に投開票が行われた参院選の投票先の決定時期や投票先検討の際の参考情報源などについて、7月28日から8月9日にかけて調査を実施し、全国の20歳から79歳までの個人1,125人から回答を得た。調査結果の中から投票行動や投票意識に関する内容を報告する。なお、選挙期間中に東京30km圏内の15~69歳の朝日新聞購読者のモニターパネルを対象に実施した調査の結果の一部も合わせて紹介する。
参院選の投票先をいつ頃決めたのか
まず、今回の調査結果で参院選の投票状況を見ると、全体(n=1,125)の60.5%が投票日に投票し、13.1%が期日前投票をしている(グラフ1)。性別では、女性よりも男性の方が投票した人の割合は高い。年代別では、若年層で投票しなかった人の割合は高く、年代が高くなるほど投票した人の割合も高いという傾向が見られる。
参院選で投票した人(n=828)に投票先の決定時期を尋ねたが、参院選の比例区の場合、全体の約3割が公示前に投票先の政党を決定し、約6割が6月24日の公示以降に決めている(グラフ2)。投票先を投票日当日に決めたという人は全体の約2割である。性別では、男性の方が決定時期の早い人が多い。年代別では、若年層ほど決定時期の遅い人が多く、20代では約4割が投票日当日に決定している。
普段支持している政党がない層は、選挙広告などの対象としても特に重要だと考えられるが、「支持政党がない」(『あったりなかったり』+『常にない』)人(n=506)の73.3%が選挙公示後に投票先を決定している。
投票先の検討は公示後の早い段階から
グラフ2で見たように、投票先を公示後に決定している人は多いが、いつ頃から投票についての検討を始めているのだろうか。
グラフ3は、朝日新聞購読者のモニターパネルを対象とした調査で参院選の投票についての意識を6月27日と7月4日に尋ねた結果である。公示直後の6月27日の調査(n=210)と投票日の1週間前の7月4日の調査(n=212)とも、比例区については約40%の人が、選挙区については約50%の人が、参院選の投票先について「現在検討している」と回答しており、約半数が公示後の早い段階から検討を始めている。
また、表1は6月27日の調査で、「投票はしないつもり」と回答した人を除いた人(n=206)に「投票先を検討する上でこの2~3日間に参考にした情報源」を尋ねた結果である。比例区あるいは選挙区の投票について「現在検討している」人では、各情報を参考にしているという回答の水準が高くなっており、選挙に関する情報の収集に積極的になっている様子が分かる。投票の意思決定のあり方を把握するためには、投票先の「決定時期」に加えて、「検討している期間」という観点も重要であるようだ。
なお、結果報告(2)では、投票先検討の際の参考情報源に関する調査結果を紹介する。
■調査概要
・「2010年7月参院選に関する調査」
調査地域:全国/調査対象者:20~79歳の個人/抽出方法:住宅地図データベースから世帯を抽出し、個人を割り当て/調査方法:訪問留置法/回収数:1,125/調査期間:2010年7月28日~8月9日/調査企画:朝日新聞東京本社広告局/実査機関・レターヘッド:(株)日本リサーチセンター
・「参院選に関する調査」(朝日新聞購読者対象)
調査地域:東京30km圏内/調査対象者:20~69歳の朝日新聞購読者/抽出方法:エリアサンプリング/調査方法:インターネット調査/調査実施日:2010年6月27日・回収数210、2010年7月4日・回収数212/調査企画・設計:朝日新聞東京本社広告局/実査機関・レターヘッド:(株)マーケティングセンター