買い分け派攻略がナショナル・プライベートブランド選択のカギ

 朝日新聞社では、首都圏の一般生活者2万人を対象に、ナショナルブランド(以下、NB)およびプライベートブランド(以下、PB)の利用状況に関する調査を実施した。PB利用者の利用状況や意識を探るとともに、新聞および朝日新聞読者の消費行動や意識の特徴を明らかにすることを目的とした。調査結果からは、NBかPBかを固定的に決めていない層である「買い分け派」の攻略がカギとなっている様子がうかがえた。

 まず、PB利用率を商品ジャンルごとに見てみると、それぞれスコアは5~10%の幅におさまっており、商品ジャンルによる違いは小さい(図1)。その一方で、「どちらかというとPB」あるいは「どちらかというとNB」と答えた人を「買い分け派」とすると、買い分け派は3人に2人を占めるボリュームゾーンとなっており、ブランド選択において無視できない存在になっている。

図1 NB派(NBを選ぶ)、買い分け派(どちらかというとNB/PB)、PB派(PBを選ぶ)の割合(n=4,498)

 次に、ボリュームゾーンである買い分け派が、どのような価格意識を持っているのかに着目した。NB価格がPBと同等の場合、9割近くの買い分け派がNBを選択すると答えたのに対し、NBが高くなるとPBを選択する人が半数を超える(図2)。価格がPB選択の大きな要因になっており、しかもスイッチが容易に起こる可能性を示唆している。

図2 価格条件によるNB、PB選択率(買い分けをする人・n=1,645)

 では、重要なターゲットである買い分け派は、NBをどのように評価しているのだろうか。NBのPBに対する競争優位を探るため、9種類の商品ジャンルについて尋ねた購買志向(NB派、買い分け派、PB派、非購入派)と、NBに対する18のイメージ項目の関係について、コレスポンデンス分析を行った(図3)。それぞれの購買志向の近くに布置されたイメージは、その購買志向を持つ人がNBに期待する評価であり優位性と解釈できる。買い分け層の近くに布置されているNBの評価項目を見ると、広告でのなじみ、独自性、生産者の顔が見えること、高級さなどが並んでいる。すなわち、NBが買い分け層に選択されるためには、こうした商品の独自性、高級さ、透明性というNBが持っていると考えられる競争優位を、広告などの手段を通じて訴えることが重要であるとも読み取れるだろう。

図3 購買志向とNBイメージの関係(n=4,498)

 最後に、こうしたメッセージを伝える広告媒体として、新聞はどう評価されているのだろうか。食の情報での新聞とテレビの評価について、複数回答で尋ねた結果を購読新聞別に示した(図4)。企業情報や安全性を発信する媒体として、新聞広告はテレビCMより高く評価されており、とりわけ朝日新聞購読者の評価が高い。NBのブランディング媒体として、食の意識が高く、食の情報源として新聞広告をより活用している朝日新聞での広告展開が効果的だといえるだろう。

図4 食の情報に関する新聞広告とテレビCMの評価(複数回答)

■「2010年NB、PB利用調査」調査概要
  調査地域:首都圏(1都3県)/調査対象者:調査対象地域に居住する15~69歳の男女個人/抽出方法:インターネットを利用したモニターパネル。平成17年国勢調査の人口構成比に基づき、性・年代で配信時に割り付け/調査方法:インターネット調査/標本サイズ:20,000/回収数(率):4,498(22.5%)/調査期間:2010年3月10~16日/調査企画・設計:朝日新聞社広告局/実査機関・レターヘッド:Ipsos日本統計調査