環境コミュニケーションを成功に導いた「自分ごと」感

 2008年12月7日の日曜日。朝刊のセンターに46枚のオリジナル「エコかるた」をずらっと並べた紙面企画「『エコかるた』発表!」が掲載された。同年7月から9月にかけて募集した、毎日の暮らしの中でエコに関して心がけていることなどを表現した詠み句を選考し、公表した紙面企画だ。「かるた」というそれほど高額でないプレゼントに対して、読者から約1万8千通もの応募があったり、多くのブログで話題にされたりするなど、大きな反響を得られた。
 環境コミュニケーションに力を入れる企業が増えているなか、何が読者の心をとらえたのかを広告モニター調査の結果から探ってみた。

 ◆ 多くの読者の支持を得られた「エコかるた」企画

 広告評価では「内容がよくわかる」が91.3%、「印象に残る」が89.9%、「好感が持てる」が88.5%と高いスコアが目立った(図1)。特に、日ごろから環境に配慮している人では、それぞれ95.7%、94.0%、90.5%と非常に高い評価だった。調査で広告紙面を見てもらう前に、「『エコかるた』発表!」という広告を覚えているかを尋ねたところ、57.6%が「見たような気がする」と答えた。半分以上の読者が、紙面を見なくても広告を思い出せることから、強いインパクトを残すことができたといえる。
 また、「エコかるた」を通じて子供とどう接したかを見ると、16.4%の人が実際に子供と「エコかるた」の話題をしたり遊んだりしたと答えた。今後の意向として、子供と話題にしたいと答えた人は60.7%と全体の6割を超え、今回の企画は読者から高い支持を得られたといえる。

◆ 共感へとつながった「自分ごと」感 

 詠み句の内容については、93.6%の人が「共感した」と答えており、90.8%が「実践してみようと思った」と答えている。特に日ごろから環境に配慮している人にとっては、それぞれ98.3%と96.6%にまで達した(図2、3)。自由意見を見ても、「自分自身も『エコかるた』に書かれていることを実践しているか、一つひとつ確かめながら読みました」など、普段の自分の行動と対比させて企画紙面に接した読者が目立った。世の中の多くの人々がエコに取り組むなか、今回の広告内容を「自分ごと」としてとらえ、共感を抱いた読者が多かったことが分かる。
 また、新聞を通じて「詠み句」を募集し、応募された作品を掲載するという仕掛けについても、「一般から公募するのは面白い」など好意的な意見が寄せられた。中には「私も応募した。残念ながら入選できなかったが、入選作を読んで選りすぐりだと思った」のように実際に応募した人からの感想も届いた。

◆ ダスキンの企業イメージの向上にも結びつく

エコかるた エコかるた

 調査で掲載紙面を見てもらう前と見た後に、本企画の協賛社であるダスキンの企業イメージを尋ねた。調査前の広告接触の有無による影響を除くため、調査まで広告に接触していない読者に限ってみると、「環境問題に熱心である」が50.0%から83.0%、「好感が持てる」が75.0%から81.1%へとそれぞれスコアが上がった。自由意見でも「ダスキンの『身近なことから始めよう』という企業姿勢が伝わった」など好意的な意見が多く見られた。今回の企画はダスキンの企業イメージ向上にも寄与したようだ。

<広告モニター調査(大阪本社版)調査概要>

【調査地域】 大阪市と中心とした半径30キロ圏内と神戸市

【調査対象者】  調査対象地域に居住し、朝日新聞を購読する15~69歳の男女個人

【抽出方法】 確率比例2段抽出(エリアサンプリング)

【調査方法】 パソコンを利用したオンラインサーベイ(モニターパネル調査)

【標本サイズ】 調査ごとに約1,500人のモニターから朝日新聞読者の性・年齢比に応じて300人を抽出

【回収数(率)】 245(81.7%)

【調査実施日】 2008年12月8日

【調査企画・設計】 朝日新聞大阪本社広告局

【調査機関・レターヘッド】 ハイパーリサーチ(株)