~夕刊セクション折り「マシュマロ」読者アンケートから
私たちのライフスタイルや考え方の急激な変化や多様化の影響は、多くの分野に及んでいます。1日2回発行の「新聞」も同様です。発行のタイミングが商品の違いだった「朝刊」と「夕刊」も、それだけではない時代になってきています。例えば、朝刊閲読の開始時間が決まっている人は37.8%いたのに対して、夕刊は20.2%でした(「メディアのはなし」より)。同じ新聞であっても、生活者における朝刊と夕刊が異なる読まれ方をしているのは言うまでもないでしょう。
今回は朝日新聞大阪本社版夕刊のセクション折りとして発行されてきた広告特集「マシュマロ」の読者アンケート結果から、夕刊の中のコア読者層をあぶり出し、その夕刊読者が受け入れる情報の「ツボ」とは何かを探りたいと思います。
◆ 夕刊読者の顔を「マシュマロ」から探る
毎月1回金曜日に発行されてきたマシュマロの企画コンセプトは、30代女性が仕事帰りに自宅でホッとする時間を提供することです。セクション折りという「メディア イン メディア」を閲読しているマシュマロの読者は「夕刊コア読者」と言えるでしょう。
その読者像を08年10月に実施した読者アンケート結果から見ると「女性」が94.6%、年代別では「30代」が最も多く全体の約3割、職業別では、常勤から自営・パートアルバイトを含めた有職者が全体の約半数でした。想定したターゲットにマシュマロは届いていると言えます。この結果は1年前の読者アンケートとほぼ同じ結果であり、マシュマロがターゲット読者としっかりとつながっていることがわかります。
◆ ほっこり気分に共感する夕刊読者
マシュマロを読んでいるシーンを見てみますと、閲読の場所は、大多数が「自宅のリビング」です。リビングという家族の目に触れやすい場所に置いてあることからも、改めて、新聞は家族メディアであるということがわかります。自由回答によると、閲読のタイミングは、「配達されたらすぐ」もしくは「帰宅したらすぐ」読む人は少数派で、多くは「家事が終わって一段落したとき」や「食後ゆったりとした時間」、もしくは「おフロに入る前か後」で、1日のしめくくりの落ち着いた時間や、ホッとできるひとときに手に取っているようです。マシュマロを読んでいる時の気持ちとしては、「くつろいだ気分」や「のんびりした気分」、「ゆったりとした気持ち」が多くを占めました。
◆ 「オトク」が意味する夕刊読者のツボ
今回の調査結果から、マシュマロ読者は、雑誌やフリーペーパーなどの閲読程度も高い読者であることが分かりました。自分自身にとって、生活の役に立つ様々な情報を集めているようです。
マシュマロで紹介してほしい内容は、「プレゼント」(62.2%)「グルメ」(59.7%)「スイーツ」(57.4%)「ファッション」(50.9%)をはじめ、旅行、健康、映画・コンサートも40%台で、私たちを取り巻くさまざまな生活情報を求めていることが分かります。紙面への意見・感想からも、「少し楽しいことが増えるかなぁ」「生活のなかのちょっとした楽しみです」「お得な情報があればいいなと思いながら」という意見が見られました。「お得」と聞くと、懸賞プレゼントと発想しがちですが、ここで言う「お得」とは、プレゼントだけではなくファッション、グルメからエクササイズやエンタメまで、生活すべてに対する「オトク感」です。その情報によって、「自分の生活がどんなハッピーになるのか」を想像できることに共感するようです。実際、紹介して欲しい情報が、「プレゼント」よりも30代女性は「スイーツ」、40代女性では「グルメ」の割合の値が上回っています。そんな読者がマシュマロのリラックスした、のんびりした雰囲気を帯びた「オトク」情報に出合ったことで、ちょっとした気づきを与えられ、その押しつけがましくない印象によって、共感が得られたのではないでしょうか。