動画サイトと電子新聞のクロスメディア効果を探る

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YouTubeなど動画サイトが広告媒体としても注目を集めています。動画サイトと電子新聞のコラボは有効でしょうか。新聞との親和性が高い電子新聞を組み合わせることで、新聞広告の広告効果を高められるのか、J-READデータを使って探りました。

動画サイトと電子新聞で現役世代に届ける

 図1は、「動画サイト閲覧」層と「動画サイト閲覧かつ電子新聞利用」層(以下、動画・電子新聞利用層)の性別・年代別構成比を比較したグラフである。

 ここで、動画サイト閲覧とは、「インターネットでふだん動画サイト(YouTubeなど)の閲覧をしている」また、電子新聞利用とは、「中央5紙のいずれかの電子新聞を最近1カ月間に利用した」ことを表している。

 動画サイト閲覧層、動画・電子新聞利用層ともに男性の比率が高くなっている。

 年代別では、動画サイト閲覧層は60・70代のシニア層の比率が下がり10代から40代の比率が高くなっている。動画・電子新聞利用層は、10代の若年層の比率が下がり40・50代の比率が高くなっている。

 20代から50代の現役世代(男性)が、動画・電子新聞利用層のボリュームゾーンである。

購買力のある良質なターゲットに届く

 図2-1・2より動画・電子新聞利用層は大学・大学院卒が多く、職業は「ホワイトカラー層(給料事務・研究職+経営・管理職+専門職・自由業)」が多いことが分かる。平均個人年収や平均世帯年収、平均金融資産額も高い。

 また、耐久消費財(92項目)の所有(個人もしくは世帯で所有しているもの)および購入意向(個人で欲しいもの)について見てみると、動画・電子新聞利用層は、動画サイト閲覧層より所有率や購入意向率が高い項目が多く、その平均を算出したところ図2-3のようになった。動画・電子新聞利用層の購買力の高さがうかがえる。

 動画・電子新聞利用層は、購買力があり消費者としてポテンシャルの高い層である。

新聞広告の効果が期待できる層に

 次に、動画サイトと電子新聞のクロスメディア効果を、新聞広告の広告効果の側面から探ってみる。

 「新聞広告を見ての行動(この1年間)」を、動画サイト閲覧層と動画・電子新聞利用層で比較し、統計的に有意なスコア差があったのが図3の9項目である(有意水準5%)。

 「新しい車種に関心を持った」といった商品に対する興味関心や「商品内容をインターネット等で調べた」などの情報検索、「本・雑誌を買いに行った」などの購買行動、「HP・ブログ・SNSに内容を書いた」(情報共有)など、一連の消費行動の各プロセスで、動画・電子新聞利用層が動画サイト閲覧層のスコアを上回っている。

 動画・電子新聞利用層が、新聞広告による態度変容が起こりやすく広告効果が期待できる層になっていることが分かる。

 動画サイトに電子新聞を組み合わせることで広告効果が高まる。電子新聞が新聞広告の効果を高める触媒になっていることが分かる。

電子新聞との組み合わせで効果アップ

 以上の結果より、動画・電子新聞利用層が、購買力があり、新聞広告の広告効果が高まる良質な層であることが分かった。

 動画サイトのように、一見、新聞との相性が悪そうなサイトでも、電子新聞と組み合わせることで、新聞広告の効果を発揮できる。

 様々なサイトとコラボする際は、電子新聞を加えてみてはいかがだろうか。

(朝日新聞東京本社 メディアビジネス局 マーケティング・ディレクター 真板 誠)


◆特集「動画コミュニケーションが加速する」はこちら

調査概要

■2018年度全国新聞総合調査(J-READ2018)
調査地域: 全国47都道府県主要エリア
調査対象: 満15~74歳の個人
抽出方法: 過去調査対象者から抽出。不足分を「地点・個人」の多段抽出
調査方法: 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効回収数: 12,242
規正標本サイズ: 80,178(推計人口に対応。単位:千人)
調査時期: 2018年10月21日(日)~10月27日(土)
調査主体: ビデオリサーチ
※標本サイズ(n数)はすべて規正標本サイズです


◆PDFでもご覧いただけます
icon_pdf冊子『広告朝日』28号掲載 Data&Analysis(186KB)