企業広告コミュニケーションと新聞広告の効果

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性や国籍、嗜好(しこう)などの多様性、いわゆるダイバーシティーを考慮したマネジメントが、企業ブランディング上、重要な取り組みの一つとして注目を集めています。このような企業の取り組みを消費者に伝える企業広告コミュニケーションについて「全国新聞総合調査(J-READ)」データから探りました。

男性現役世代のニーズが高い「企業情報」

 今回は、企業の取り組みを発信する企業広告コミュニケーションにおいて、どのような広告メディアが情報源として活用されているのかJ-READデータを使って探った。また新聞広告の効果についても検証した。

 まずは、企業の情報を必要としている人はどの程度いるのか見てみよう。

 J-READでは様々なジャンルの「情報」について、その「情報」の「必要度」を尋ねている。例えば「新しい情報を知りたい」「自分にとってなくてはならない」「自分には必要ない」などである。

 そこで本稿では、「企業情報」を必要としている人の割合を、「自分には必要ない」と答えた人の割合を除いて算出し、性・年代別に集計した(表1)。全体の6割弱が「企業情報」を必要としており、女性より男性の方が高い。特に男性の20代から50代の現役世代の「企業情報」に対するニーズが高いことが分かる。

「企業情報」の情報源は新聞広告

 では、企業情報をどこから得ているのか。主要な広告媒体について、企業広告の情報入手媒体を集計した結果が図1である。トップは「新聞広告」で、「テレビCM」「インターネット(PC・タブレット型情報端末)」が続く。「新聞広告」を6割以上の人が情報源に挙げており、「新聞広告」が「企業情報」の情報源として重視されていることが分かる。

 さらに、新聞広告に対する意識や評価について見てみよう。

 図2は、新聞購読者・非購読者について「企業情報」を必要としているかどうかで、新聞広告に対する意識や評価に違いがあるかどうかを比較したグラフである。

 どのグラフも「購読者」が「非購読者」の上方にある。購読者の方が非購読者より、新聞広告への意識や評価が高くなるという、うなずける結果となった。

 では、「企業情報」を必要としているかどうかで比較するとどうなるだろう。

 グラフがすべて右肩上がりになっていることから、購読者・非購読者ともに「企業情報」を必要としている人の方が、新聞広告への意識や評価が高くなっていることが分かる。「企業情報」を必要としている人ほど、新聞広告への意識が高く、新聞広告を高く評価しているのだ。

「非購読者」にも届いている新聞広告

 ここで、図2の「非購読者」のスコアの動きに着目してみたい。

 具体的に見てみると、「企業の意見表明の新聞広告を読む」「新聞広告で企業等に改めて注目する」といった項目において、「企業情報」を必要としている人の方がスコアが高くなっている。つまり、購読していなくても「企業情報」を必要としている人は、積極的に新聞に接触しようとしていることがうかがえる。

 また「企業情報」を必要としている人の方が、「新聞広告は企業姿勢がよく伝わる」「新聞広告に出稿している企業は信頼がおける」といった新聞広告に対する評価も高くなっている。

 新聞広告が購読者だけでなく購読していない人たちにも必要な情報源として評価・活用され、新聞広告の情報が届いているのだ。

 新聞に掲載された情報が社会的な影響を持っている様子が垣間見えた。

(朝日新聞東京本社 メディアビジネス局 マーケティング・ディレクター 真板 誠)


◆特集「多様性が企業を強くする」はこちら

調査概要

■第16回全国新聞総合調査(J-READ2016)
調査地域: 全国47都道府県
調査対象: 満15~69歳の個人
抽出方法: RDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)で、調査対象者を抽出。
調査方法: 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効回収数: 28,805
規正標本サイズ: 88,168(推計人口に対応。単位:千人)
調査時期:2016年10月16日(日)~ 10月22日(土)
調査主体: :ビデオリサーチ
※ J-READ2016の標本サイズ(n数)はすべて規正標本サイズです


◆PDFでもご覧いただけます
icon_pdf冊子『広告朝日』14号掲載 Data&Analysis(624KB)