新聞広告共通調査プラットフォーム「J-MONITOR」に参加する16新聞は、「第49回 衆議院議員選挙に関する16紙共同調査」を実施、結果を公表しました。
今回は結果の中でも若年層に注目し、政治・社会意識について分析を行いました。分析の中で明らかとなった若年層の特徴や、他の世代との違いをJ-READなど他の調査データも援用し、今後社会や経済の中心を担っていくZ世代を含む29歳以下の意識を探りたいと思います。
●16紙の読者(29歳以下)の平均投票率は84.6%、朝日新聞読者(29歳以下)は89.6%
☞29歳以下の新聞読者の投票率は、総務省が公表した同年代の実際の投票率(37.6%)の2倍を上回り、新聞を読んでいる若者の政治への関与度の高さが分かる
●若年層が投票時に重視した政策について分析
☞29歳以下が最も重視した政策は「経済政策・景気対策」
☞若年層はLGBTQ・SOGIを重要視する割合が高く、社会課題への関与度の強さを推測できる
※SOGI:性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字をとった略称
●J-READの調査から、若い新聞読者(29歳以下)は環境配慮の意識をもつ
☞環境問題への配慮やエネルギー問題、SDGsへの関心が高い
日頃からエコバッグを使用するなど、意識的に行動している
☞朝日新聞読者では「夫婦別姓でかまわない」と回答した若者が4割を超える
第49回衆議院議員選挙
16紙全体で29歳以下の投票率は84.6%
新聞読者の投票率
第49回衆議院議員選挙に関する16紙共同調査(以下、共同調査)の結果では、新聞読者全体の投票率は90.3%(朝日新聞読者の投票率は93.0%)であった。総務省が公表した最終投票率55.9%を大幅に上回っており、新聞読者の投票率の高さを示す結果となった。
総務省公表・国政選挙の投票率データより
年代別投票率
年代別投票率を見ると、全年代で新聞読者の投票率の高さが分かる。16紙全体の29歳以下の投票率は84.6%で、他の年代と比べても大きな差は見られない。総務省が公表した結果では、年代が低いほど投票率は低下し、29歳以下の投票率は37.6%であった。若者の投票離れが言われている近年において、新聞読者の投票率の高さは際立っている。
朝日新聞読者の29歳以下の投票率は89.6%、16紙全体の平均より5.0ポイント高い結果であった。新聞読者の中でも高いスコアだった。
J-MONITOR「第49回 衆議院議員選挙に関する16紙共同調査」/
総務省公表・第49回衆議院議員総選挙年齢別投票者数調(抽出調査)より
若い新聞読者の約4割が「経済政策・景気対策」を重視
「LGBTQ・SOGI※」にも関心をもつ
※SOGI:性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字をとった略称
共同調査の結果より、新聞読者に加え朝日新聞読者の投票率の高さが示された。調査では、投票の際に重視した政策や課題についても聞いている。次に、朝日新聞読者の結果から、日ごろの社会課題への意識についても年代別に見てみたい。
投票する際に重視した政策や課題
29歳以下の朝日新聞読者が最も重視した政策は、「経済政策・景気対策」(40.2%)であった。60代(44.9%)に次ぐ高いスコアである。
さらに、29歳以下では「LGBTQ・SOGI」への関心が高いことがうかがえる。29歳以下と全体のスコアを比較し、29歳以下の方がスコアの高い項目を抽出すると、差が最も大きいのが「LGBTQ・SOGI」であり10.3ポイントの違いが見られた。「デジタル・IT推進政策」を重視したと回答した割合も15.2%で、全体のスコアを6.8ポイント上回っている。
これらの結果から、29歳以下の朝日新聞読者は経済や景気を重視しながらも、社会課題に関わるジェンダー問題やデジタル課題にも関心が高いことが分かる。
※全体と29歳以下のスコア差で全体より29歳以下が高かった項目のみ抽出
社会課題への関心が高い若い新聞読者
J-READでみる社会課題に関する意識
投票という社会参加への行動が高く、経済やジェンダー平等、デジタルへの課題意識を持っていることが確認できた若い新聞読者。同じく29歳以下を対象に、全体と新聞読者、朝日新聞読者を比較してJ-READにある社会課題に関連する項目を見ると、新聞読者は自然環境やエネルギー問題への関心が高いことが示された。
新聞読者のうち、「エコバッグやマイボトルを使用している」と回答した人は57.6%となり、6割近くが日頃から環境問題を意識した行動をしていると分かった。さらに、新聞読者は「自然エネルギーを積極活用するべき」「エネルギー問題について強い関心あり」と回答した人が全体と比べても多く、地球環境への関心の高さが読み取れる。
なお、朝日新聞を購読している若者の平均は同年代の新聞読者全体より全体的にスコアが高くなっている。特に投票の際に重視している点として「LGBTQ・SOGI]を挙げていたように、朝日新聞読者はジェンダー問題への意識の高さが分かる。「夫婦は別姓でかまわない」と回答した朝日新聞読者は41.7%で、新聞読者全体と10ポイント近くの差がみられた。共同調査に加え、J-READでも若い朝日新聞読者は社会問題に高い課題意識を持っていることが示された。
J-READ 2020より(29歳以下のスコア)
新聞は社会課題を意識し、行動に移す若者に届く
以上の結果から、29歳以下の若い新聞読者は社会参画に積極的で、行動に移すことが一つの特徴として明らかになった。CSR活動やESG投資、SDGsへの取り組みを進めている企業にとっては、その企業理念や活動への共感を醸成し、実際のアクションを期待できる点からも、魅力的なメッセージの受け手だと言うことができる。
さらに、若い新聞読者は経済やジェンダー問題、環境問題に高い意識を持っていることも確認できた。これらの具体的な課題意識から、企業のパーパスブランディングと若い新聞読者の親和性は高く、全体のコミュニケーションプランの中で新聞が果たせる役割があるように思う。
■「第49回 衆議院議員選挙に関する16紙共同調査」J-MONITOR
調査地域: 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、近畿圏(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)、中京圏(愛知・岐阜・三重)、北海道、宮城県、新潟県、長野県、静岡県、岡山県、広島県、福岡県
調査対象: 調査対象地域に居住し、当該新聞を購読している 15 歳~69 歳の男女個人
調査実施日: 2021年11月1日~11月7日
抽出方法:新聞広告及びインターネット調査モニターパネルからの公募。応募者を各紙ごとに全国新聞総合調査(J-READ)の当該地域・対象者の性×年齢・職業・家族人数等の属性に従い割付
調査方法 : パソコン・タブレット・スマートフォンを利用したウェブ調査
有効回答者数: 7,177 人
調査機関・レターヘッド:(株)ビデオリサーチ
■2020年度全国新聞総合調査(J-READ2020)
調査地域: 全国47都道府県主要エリア
調査対象: 満15~74歳の個人
抽出方法: 過去調査対象者から抽出。不足分を「地点・個人」の多段抽出
調査方法: 調査依頼への応諾者に後日郵送で調査票を送り、記入完了後、調査票を返送
有効標本数: 12,300
規正標本サイズ: 81,081
調査時期: 2020年10月18日~10月24日
調査主体: ビデオリサーチ
※標本サイズ(n数)はすべて規正標本サイズです
◆PDFでもご覧いただけます
投票へ足を運ぶ若者は8割以上 若い新聞読者のインサイトを探る(764KB)