マーケティングに不可欠「デジタル広告」とは? 基本からショート動画や音声広告 リテールメディアまで解説

デジタル広告とは、インターネットやデジタルメディアを活用し、商品やサービスを宣伝する広告手法です。効果測定や高度なターゲティングが大きな特徴で、企業はリアルタイムなデータ分析やユーザー行動の追跡により、効果的なマーケティングが実現できます。近年は、機械学習やAI、リテールメディアの普及により、デジタル広告のトレンドも変化しています。この記事では、デジタル広告の基本から、最新のトレンドや効果的な活用方法までを紹介します。
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Getty Images

 デジタル広告は、デジタルチャネルを活用し、ターゲットに合わせて効果的に情報を届けられる広告手法として注目されています。
 ここでは、デジタル広告について解説します。

 デジタル広告とは、Webサイトやアプリ、動画サイト、SNSなどのオンラインチャネルを通じて配信される広告の総称です。
 フォーマットには、テキスト・画像・動画・音声などがあり、ユーザーの属性や行動履歴に基づくターゲティングができます。
 また、配信後も広告内容やターゲットの調整がしやすい特徴があり、リアルタイムでの効果測定や最適化が可能です。

電通の「日本の広告費」によると、2024年の日本のインターネット広告費は36,517憶円(前年比109.6%)で、総広告費に占める割合は5割に迫ります。

 デジタル広告は、技術革新や規制強化の両面から大きな変化を迎えています.
 主なトレンドは以下のとおりです。

  • AI活用の拡大
  • Cookieレス時代への対応
  • 動画広告、SNS広告の成長
  • ユーザーごとに最適化された広告配信

 最近では、広告の自動生成や配信最適化、効果測定にAIが導入され、広告運用の効率化や表現の幅が広がっています。

 また、主要ブラウザではサードパーティCookieの廃止が本格化し、ユーザープライバシー保護の観点からデータ収集やターゲティング手法が変化している現状です。

 なお、近年はCookie規制によってファーストパーティデータが注目されています。以下の記事もあわせてご覧ください。

▶記事はこちら▶Cookie規制時代の広告戦略とは?ファーストパーティデータの可能性を探る

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 以下の表は、デジタル広告を活用するメリットとデメリットです。

メリット デメリット
  • 少額から始められる
  • ターゲティング精度が高い
  • 効果測定や改善がしやすい
  • フォーマットの種類が多い
  • 短時間で効果が得られる
  • 配信後も内容を変更できる
  • 専門知識やノウハウが必要になる
  • 競合が多い
  • クリエイティブ制作にコストや時間がかかる
  • ブランド毀損のリスクがある
  • 広告疲れからユーザーが広告を避けることがある

 デジタル広告を活用する場合は、メリットとデメリットをそれぞれ理解し、自社の目的やリソースに合わせた最適な活用方法を検討する必要があります。また、変化の激しい市場環境に対応するためにも、最新の情報やトレンドを把握することも大切です。

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 インターネット広告には、バナー広告、リスティング広告、ネイティブ広告、ディスプレイ広告など多様な種類があります。
 ここでは、それぞれの広告の種類と特徴、活用法を解説します。

 バナー広告は、Webサイトやアプリの広告枠に画像やアニメーションで表示され、視覚的なインパクトでブランド認知や商品訴求に効果的です。ターゲット属性や配信面の最適化、訴求力の高いクリエーティブ制作が成功のポイントとなります。
 また、クリックやインプレッション課金など柔軟な課金形式が選択できるため、予算に合わせた運用がしやすいのも特徴です。

 リスティング広告は、検索エンジンの検索結果ページにテキストで表示され、ユーザーの検索意図に合わせた広告配信が可能です。顕在層へのアプローチができ、商品やサービスの購買や申し込みにつながりやすいメリットがあります。
 クリック型課金が主流となっており、キーワード選定や広告文の最適化などが成果を高めるポイントです。

 ネイティブ広告は、WebサイトやSNSコンテンツと一体化した形式で表示され、ユーザーに広告としての違和感を与えにくいのが特徴です。通常のコンテンツと同じ見た目や形式で配信されるため、自然に情報を届けられるメリットがあります。
 効果的に活用するためには、ターゲットユーザーの関心やニーズに合わせたコンテンツを制作し、自社のターゲット層が多く利用するプラットフォーム選びが重要です。

 ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリ上に画像や動画で表示され、視覚的な訴求力を生かしてブランド認知や商品サービスへの興味喚起に最適です。広告の目的を明確にし、ターゲットユーザーの属性や行動履歴をもとに細かくターゲティング設定を行うことが重要になります。
 リマーケティングを活用することで、過去に自社に訪れたユーザーへの再アプローチも可能です。

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 SNS広告は、SNSのプラットフォームを活用し、ユーザーの属性や趣味関心に合わせて情報を届けられる広告手法です。
 ここでは、SNS広告の代表的な種類と特徴、重要性などを解説します。

 Facebook広告は、幅広い年齢層やビジネスパーソンにリーチできる強みがあります。
年齢や性別、行動履歴など、詳細なターゲティングができ、ブランド認知からリード獲得、購入促進まで可能です。企業や団体の信頼性向上、BtoB用途にも有効です。

 Instagram広告は、若年層や女性ユーザーへのリーチに強みがあり、視覚的なクリエーティブでブランドイメージを訴求しやすいのが特徴です。
 ストーリーズ広告やリール広告、フィード広告など、多様なフォーマットがあり、動画や画像のインパクトを活かしたプロモーションができます。ショッピング機能との連携で、ECサイトへの誘導や購買促進も可能です。

 X広告は拡散力に優れており、リアルタイム性が高く、イベントやニュースと連動したプロモーションも可能です。
 テキスト中心のタイムラインに溶け込むインフィード広告やプロモトレンド、動画広告などがあり、話題化やバズを狙ったキャンペーンに適しています。
 フォロー&リポストキャンペーンなど、ユーザー参加型の施策で認知拡大やエンゲージメント向上が期待できます。
 SNSを活用したマーケティングについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

▶記事はこちら▶SNSマーケティングとは?成功に導く5つのポイントと事例を解説!

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 動画広告は多様な配信先とフォーマットがあり、ブランド認知や購買促進など幅広いマーケティングに対応しています。
 ここでは、動画広告の種類と特徴、効果などを解説します。

 動画広告の種類には、主に「インストリーム広告」と「アウトストリーム広告」があります。
 インストリーム広告は、動画再生中または前後に流れる広告です。ユーザーが動画視聴しているタイミングで表示されるため、違和感なく視聴されやすく、ブランド認知や販売促進、見込み顧客の獲得など幅広い目的に活用できます。
 アウトストリーム広告は、Webサイトやアプリのバナー広告など、動画コンテンツ外で配信される広告です。ページのコンテンツやアプリ内で自動再生されるケースが多く、ブランド認知やリーチ拡大に効果が期待できます。

 YouTube広告は、世界最大級の動画プラットフォームで配信され、インフィード広告やインストリーム広告、バンパー広告など多様なフォーマットが用意されています。
 幅広い年齢層にリーチでき、ターゲット設定やリマーケティングなども柔軟に行うことも可能です。
 最近では縦型ショート動画やAIによるクリエーティブ作成、商品連携型フォーマットなど新しい広告手法が登場しています。

 ショート動画広告は、YouTube ShortsやTikTokなどで配信される15〜60秒程度の短尺動画広告です。視覚的インパクトが強く、短時間でブランドや商品の印象を残しやすいメリットがあります。
 また、アルゴリズムによるおすすめ表示や、コメント・シェアなどの機能により、ブランド認知や購買促進につながりやすいメリットもあります。

 コネクテッドTV広告は、インターネット接続型テレビやストリーミングで配信される動画広告です。
 最大の特徴はテレビの大画面で高い視認性を確保しつつ、従来のテレビCMとは異なり、年齢や性別、視聴時間帯など細かなターゲティングが可能な点です。
 インプレッション課金制が主流であり、少額から始めやすく、ブランド認知や新商品の訴求に効果的な方法として注目されています。

 動画広告の効果測定では、複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが大切です。
 主な指標として以下が挙げられます。

  • インプレッション数:広告が画面上に表示された回数
  • 視聴回数:実際に広告が再生された回数
  • 視聴完了率:広告が最後まで見られた割合
  • コンバージョン率:広告経由で商品購入や資料請求など目的の行動が発生した割合

 これらのデータをもとに広告の強みや課題を分析し、PDCAを回しながら運用を改善することがポイントです。

 動画広告のクリエーティブ戦略では、冒頭の数秒で視聴者の興味を惹きつけられる構成が不可欠です。
 ショート動画ならインパクトやテンポを重視し、長尺の動画ならストーリー性やブランドメッセージの訴求など、動画の目的や尺に応じて最適な構成を選びましょう。
 また、動画広告のクリエーティブは定期的な検証と改善を重ねることも大切です。

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 デジタルサイネージ広告は、ディスプレイやプロジェクターなどの映像表示装置を使って広告を表示するシステムです。
 ここでは、デジタルサイネージの種類と特徴、最新トレンドを紹介します。

 デジタルサイネージには主に以下の種類があります。

種類 特徴
LEDビジョン LEDを搭載したディスプレイで、屋外や大型施設向け。
液晶ディスプレイ 高精度な映像表示が可能で、案内や広告、POPなど幅広い用途に対応可能。
スタンドアロン型 ネットワークに接続せず、USBSDカードで個別にコンテンツを更新。
ネットワーク型 複数拠点を一括管理し、遠隔からコンテンツの更新が可能。
インタラクティブ型 タッチパネルなどを利用者が操作できる。

 設置場所や目的、運用体制に合わせて最適なものを選ぶことが、デジタルサイネージ広告の効果を高めるポイントです。

 リテールメディアは、小売店舗が自社の売り場やデジタルサイネージを活用し、メーカーやブランドに広告枠を提供するメディアです。
 店舗内のデジタルサイネージを使用した広告配信では、購買直前の消費者に直接アプローチできるメリットがあります。
 また、リテールメディアは、購買データと来店データを連動したターゲティング広告も可能です。

 以下の表は、デジタルサイネージのメリットとデメリットです。

メリット デメリット
  • コンテンツの即時更新が可能
  • 視認性と訴求力が高い
  • 多様なコンテンツが配信できる
  • ターゲティングや効果測定がしやすい
  • ブランドイメージの強化につながる


  • 導入コストが高い
  • 運用や保守に手間がかかる
  • 設置場所に制約がある
  • 故障やトラブルのリスクがある


 デジタルサイネージは多くのメリットがある一方、導入や費用に関してはコストやリスクを考慮することが大切です。

 デジタルサイネージを使った広告は、AIによるパーソナライズやスマートフォンとの連携、タッチレス操作など最新技術がトレンドです。
 ビッグデータを活用したユーザー属性や行動に応じた最適なコンテンツ配信が進化し、クラウド管理や5G通信によるリアルタイム配信が普及しています。
 また、省電力やエコ対応のディスプレイも増えるなど、環境に配慮した導入も拡大しています。

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 音声広告は、スマートフォンやストリーミングサービスの普及を背景に急成長しています。
 ここでは、音声広告について詳しく解説します。

 音声広告は、ラジオや音楽配信サービスなどの音声メディアを通じて配信される音声を主軸とした広告です。
 スマートフォン、ワイヤレスイヤホン、スマートスピーカーの普及により利用が拡大しています。
 視覚を妨げることなく聴取できるため、スキップされにくく、記憶に残りやすいという高い訴求力が特徴です。

 インタラクティブ広告は、AI技術を活用し、ユーザーの声や反応に応じて広告内容が変化する双方向型の音声広告です。
 従来の一方通行型広告と異なり、リスナーの興味や行動に合わせ、最適な情報提供ができる特徴があります。
 例えば、音声で「詳しく知りたい」と返答したユーザーに対し、追加情報を提供するなど、個々の関心に合わせた提案が可能です。

 Spotifyは、楽曲やプレイリスト曲間に最大30秒の音声広告を配信できるストリーミングサービスです。
 広告はスキップできない仕様となっているため、聴取率が高いメリットがあります。
 また、ターゲティングは年齢や性別、地域、音楽ジャンルなど多様な条件で細かく設定できるのもメリットです。

 Podcastは、ニュースやエンタメなど多様なジャンルの音声番組を配信するメディアで、番組内や冒頭・途中に音声広告が挿入できます。
 パーソナリティによるネイティブ広告やターゲティング広告に強みがあり、リスナーの興味や関心に合わせた配信が可能です。
 リスナーとの親和性が高く、ブランド認知や購買行動の促進に効果が期待できます。

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 デジタル広告の効果測定と分析は、戦略の最適化や費用対効果の向上に不可欠です。
 ここでは、デジタル広告の効果測定と分析について解説します。

 デジタル広告の効果測定は、インプレッション数やクリック率、コンバージョン率などの指標を用いて評価するのが一般的です。
 これらの指標をもとに、広告がどれだけ多くのユーザーに届き、どれだけの関心や行動を生み出したかを数値で把握します。
 効果測定の結果をもとに、問題点の特定や改善策の立案なども行います。

 デジタル広告の効果測定ツールには、Google AnalyticsやGoogle広告などがあります。
 これらのツールは効果測定に必要な指標を一元管理し、費用対効果やユーザーの行動分析に役立ちます。
 また、ヒートマップツールの併用により、ページ上でのユーザーの注目箇所や行動を可視化することも可能です。

 データドリブンな広告戦略は、蓄積されたデータや分析結果を、広告配信やクリエーティブ制作に役立てることです。
 AIや機械学習の進化により、ユーザー行動や広告効果のデータをリアルタイムで収集・分析し、ターゲティングや入札、配信チャネル選定などを最適化できます。
 これにより、費用対効果の高い広告運用や継続的な改善が可能となり、競争力強化にもつながります。

 A/Bテストは、複数の広告パターンを同時に配信し、どちらが高い成果を生み出すか比較検証する手法です。
 AI
や自動化ツールを活用することにより、テスト設計から結果分析まで効率よく進めることができます。
 効果測定の指標をもとに、効果的なクリエーティブや配信設定を選択し、広告効果の最大化とムダの削減を実現します。

 

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 これからのデジタル広告は、AIやデータ分析の高度化、Cookieレス時代への対応が重要になります。
 ここでは、デジタル広告の最新動向と未来について解説します。

 生成AIや機械学習は、広告クリエーティブの生成や、ユーザー行動の予測精度向上に活用されています。
 今後はAIによる自動意思決定がさらに普及し、配信チャネルやメッセージ内容の最適化が進むと予想されます。
 これにより、パーソナライズされた広告体験や、より高い広告効果が期待できるでしょう。

 デジタル広告は、テレビ・ラジオ・紙媒体など他のメディアと組み合わせたメディアミックス戦略でも重要な役割を担っています。
 例えば、動画広告においては、デジタルとテレビの連携により、高いリーチとエンゲージメントを実現しています。

 また動画やSNSなど各メディア広告に新聞広告を加えた際、どれだけのリフトが期待できるのか、以下記事で解説しています。

▶記事はこちら▶なぜ新聞広告は「伝わる」のか? 信頼性・効果・クロスメディア戦略で考える新聞広告の価値| 広告朝日|朝日新聞社メディア事業本部

 デジタル広告は、AIやデータ活用の高度化、Cookieレス時代への対応など大きな変革期を迎えています。
 生成AIや機械学習を活用した広告の自動最適化、A/Bテストによる継続的な改善、他媒体とのメディアミックス戦略が今後の成功に欠かせません。
 データドリブンなアプローチで費用効果の高い広告運用と持続的な成長を目指すためのサービスもあります。

こちらも合わせてご参照ください。

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