100年続いた感謝の思いを伝え 新たな関係づくりのスタートに

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2017年、創業100周年を迎えた森永乳業では、新しい経営理念体系・スローガンを策定し、同社が扱う160以上の商品を載せた新聞広告を出稿。参加者がギネス世界記録に挑戦する体験型イベントを企画し、その告知も新聞広告で行いました。周年を、これまでの歩みを振り返りつつ、お客様との新たな関係を築く契機ととらえたキャンペーンを展開しました。

100周年だからこそできた横断的なコミュニケーション

 森永乳業は2017年9月1日に創業100周年を迎えた。「かがやく“笑顔” のために」という新しいコーポレートスローガンを策定し、次の100年も笑顔をつくり続ける企業でありたいとの思いを込めた「100周年記念ロゴ」を作成。これまで行ってきた低出生体重児へのビフィズス菌の無償提供、インドネシアにおけるプレスクールの修繕活動への支援など、社会貢献活動にもますます力を入れていくことも決めた。

森永乳業株式会社 マーケティングコミュニケーション部長 寺田文明氏(向かって左) 同 広報部長 冨澤俊久氏(右)

 「100周年といってもそれはあくまで我々にとってのことで、お客様に直接関係のあることではありません。そこで今回は過去の歴史を振り返るだけでなく、これからの会社の活動を見直す良いきっかけにしたいと考えました。新しいコーポレートスローガンは、これからの100年に向けて、我々は世の中にどのような価値を提供していくべきなのか。どんな会社でありたいのかを、次代を担う若手社員も議論に加わって定めたものです。そして何よりも、100年もこのような仕事を続けて来ることができたことへの感謝を、お客様に伝えたいと思いました」と、広報部長の冨澤俊久氏は語る。

 そのような思いを込めて、2017年9月1日、同社が取り扱う160以上の商品の写真を並べ、「私たちは、こんな幸せな仕事を、100年も続けられてこられました。ありがとう。」とのコピーを載せた全15段の新聞広告を出稿した。

2017年9月1日付 朝刊585KB
2017年12月18日付 朝刊531KB

 幅広い世代を顧客とする同社らしい、親しみあるクリエーティブは、クリエーティブディレクターに仲畑貴志さん、アートディレクターに副田高行さんを起用したもの。15段の大きなスペースにずらりと商品が並ぶ紙面は圧巻であるとともに、眺めているだけでも楽しい。

 「自分が食べたことがある商品に赤ペンでチェックをされたお客様もいると聞いて、大変うれしく思いました。こうしたお客様の反応は、紙媒体ならではだと思います。当社の商品は、一般の方に商品としてはよく知られているものが多いのですが、それが当社のブランドだと認識されていない商品がけっこうあることも課題でした。広告掲載後の調査では、『森永乳業がこんな商品を出しているなんて知らなかった』『普段食べていた商品が森永乳業のものだと初めて知った』などといった声が多数あがり、大きな手応えを感じています。普段はどうしても商品ごとのマーケティング活動になってしまいがちですが、今回は周年ということで、全社横断的な展開をすることができました」と、マーケティングコミュニケーション部長の寺田文明氏は語る。

100周年記念イベント
3月28日に東京ビッグサイトで、約2,000人の参加者が同じケーキのデコレーションをするという、ギネス世界記録に挑戦する体験型イベントを実施予定

 同社では100周年を記念して、参加者がギネス世界記録に挑戦する体験型イベントも企画。日本を代表するパティシエの一人である横田秀夫シェフの指導のもと、約2,000人で同じケーキのデコレーションをするというものだ。17年12月に出稿した新聞広告では、その告知も行った。

 「お客様への感謝の気持ちをかたちにするために、一生の思い出に残るようなイベントを、との思いで企画したものです。新聞での告知後、おかげさまでたくさんの応募が集まっています」(冨澤氏)


「モノ」から「コト」への流れのなか 高まる新聞メディアへの期待

 消費者のニーズが「モノ」から「コト」へと変化するなか、森永乳業でも従来のマーケティングからの転換を試みている。

 「今は単に商品の良さをアピールするだけではものが売れない時代。森永乳業がどんな考えと思いで商品をお届けしているのか、社会的背景を含めてお客様に理解してもらい、共感していただくことがますます重要になっています。お客様から森永乳業という会社がどう見えるのか、という視点からマーケティングやコミュニケーション活動を見直す必要性も感じています。100周年の新聞広告は、まさにそのような試みの第一歩といえます」(寺田氏)

 企業の理念や思い、商品にまつわる社会的背景やストーリーを伝えるうえで、新聞メディアの重要性はますます高まっているという。

 「例えばヨーグルトであれば、我々が腸内環境のエキスパートであり、健康のためには腸が大事であること、我々の事業が高齢化社会の医療費削減につながることなどを理解していただくことも大切です。『食を通じて健康を届ける』そういった理念の発信に、報道メディアである新聞社と組んだ広告企画やイベントは、とても有効だと考えています」(寺田氏)

 新聞やテレビなどのマスメディアと、デジタルメディアをうまく連携させることで、これまでにないコミュニケーションも可能となる。

ホームページでは、100周年特設サイトのほか、キャンペーンや商品情報、CM動画など多彩なコンテンツを発信
「エムズクラブ」「Newの森」など4つのコミュニティサイトを運営。会員限定のキャンペーン情報やイベント特典、新商品モニターへの参加などができる、お得で楽しいサイト
森永乳業の多彩な商品をバックに、100年の感謝を込めたメッセージを発信するCMを制作・放映
100周年に関係した様々な活動を、
社内報や広報誌でも報告

 「デジタルメディアの良さは、お客様と直接密度の濃いコミュニケーションをとれること。弊社ではとくにコミュニティーサイトの運営に力を入れています。ここでつくりあげたお客様との関係を広げ、マスメディアによるコミュニケーションと結びつけることで、より良い循環をつくることも可能ではないかと考えています」(寺田氏)

 メディアが多様化し、マーケティング手法が複雑化すればするほど、お客様との信頼関係、企業としてのぶれない軸が重要になる。森永乳業がこれからの100年に向け、新たなコーポレートスローガンを定め、まず「新聞で感謝の思いを伝える」ことから始めたのも、そのためである。