朝日新聞社のデータソリューション・プラットフォーム「A-TANK」の現在地と未来

 日進月歩のデジタルマーケティングサービス。最前線の広告ソリューションを実現するべく、2022年11月に朝日新聞社からローンチされたのが、Asahi Data Solution SYNC TANK「A-TANK(エータンク)」です。「A-TANK(エータンク)」の現在地と今後の展望を、朝日新聞社メディア事業本部プランニング1部の坂上正人と、藤井翔太に伺いました。

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朝日新聞社が運営する大規模DMP

──自己紹介をお願いします

坂上 メディア事業本部 プランニング1部というデジタル広告を扱う部署で勤務をしています。同じ部署内にNxTチームというものがあり、デジタル広告の新しいメニュー、商品の開発に取り組んでいます。なかでも大きなテーマは「朝日新聞社の1stパーティデータを広告領域にどう活用していくか」。データを活用した幅広いソリューションを思索しています。

藤井 私もプランニング1部で主にデジタル広告のセールスを担当しています。「A-TANK」を活用した出稿プランの提案や、サイト内分析の結果から最適なクリエイティブ制作をしています。分析業務から、DMPを活用した広告配信のセグメント作成・管理などのメンテナンスまで行っています。

──「A-TANK」のサービス概要を教えてください。

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坂上 「A-TANK」は、「Asahi Data Solution SYNC TANK」を略したものです。朝日新聞社は多くのメディアを運営しているので巨大な会員基盤があり、多様な生活者と接点を持っています。そこから得た、1stパーティデータを広告領域に活用したソリューションを提供するプログラムが「A-TANK」です。

──朝日新聞社が運営しているすべてのメディアからデータを蓄積しているのでしょうか?

坂上 多くのメディアで会員登録やイベントなどの申込時に朝日IDという会員サービスにご登録頂いています。2023年の6月現在トータル600万IDを超える朝日ID会員の属性と、各種媒体・サービスを通じたWeb上の行動情報、購買履歴・キャンペーンへの応募・イベント参加履歴などが多数蓄積されています。またユニークブラウザは月間数千万以上の規模となっています。

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解像度が高く、コアな生活者理解が強み

──600万IDもあれば、かなり詳細に顧客の興味や行動の分析ができるのではないでしょうか?

坂上 規模感のあるメディア運営を行う事業会社として大量の1stパーティデータを詳細に分析して活用できる部分を強みとしています。

 3rdパーティデータを使ったDMPなどのオープンなデータを使って分析し、広告配信するのと何が違うのかとよく聞かれます。その時によくお話しているのは、我々はメディアをはじめ様々な事業を運営する事業会社であり、「自社の顧客」だからこそ、高い解像度で向き合うことができるということをお伝えしています。

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 具体的には、朝日新聞本紙、朝日新聞デジタルはもちろん、30を超える多様なWEBメディアを展開しています。高校野球や展覧会、展示会といったイベントの主催や、ECサイトの運営にも力を入れています。こうした自社メディア・サービスから得た多様かつ詳細な生活者のデータを広告配信や分析に活かすことが出来ます。

 また、メディアの記事接触データは広告でいえば「どんなクリエイティブに反応したか」という実績データとも言えます。ユーザーが接触した記事タイトルにどんな共通点があるか、俯瞰的に眺めてみることで、想定のターゲットに響きやすく、「再現性」の高いメッセージやコンテンツ案の検討が可能になります。

──他社データ活用型デジタルマーケティングサービスとの差別化ポイントとなる、「A-TANK」の特徴を教えてください。

藤井 600万以上のIDと多様なメディア・サービスの利用実績をフレキシブルに組み合わせて活用できるという点が、A-TANKの特徴です。

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たとえば、朝日新聞デジタルに深夜の1時~3時に直近2週間訪れていて、「睡眠」というキーワードに接触しているユーザーは「眠り」に悩みを抱えている可能性が高いです。ユーザーのコアな部分を抽出し、それが核になるセグメントとしてご提案できるのは、痒い所に手が届くソリューションであると考えています。

──「A-TANK」をローンチされる前と後でどのような変化がありましたか?

坂上 商品・サービスの顧客ペルソナに応じたユニークなターゲティングを行う機会が多くなりました。

 マーケティングのご担当者は、「こんな生活者にリーチしたい」という顧客像をお持ちだと思います。先ほどの眠りに悩みを抱えたユーザーなど、朝日新聞社が持っているコアなユーザー群に対して多様なデータを掛け合わせることで、商品・キャンペーンにぴったりなオーディエンスにリーチできるようになりました。

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データの可視化で手触り感のある取り組み

──「A-TANK」を活用した事例があれば教えてください。

藤井 バチカンと日本の文化交流に関するシンポジウムの映像配信をWeb広告でプロモーションするという施策がありました。そこで、朝日新聞デジタルのバチカンに関する記事の閲読データを基にセグメントを作成して、配信を行いました。結果は、ニッチなテーマにもかかわらずCTRが広告枠平均の倍程度に着地し、A-TANK」の活用が奏功した事例のひとつになりました。

 ほかにも、「A-TANK」をクリエイティブのキャッチコピーやキーワードの選定に活かすことで、CTRが約4倍に跳ね上がった事例もあります。先ほど坂上が申し上げた「再現性」を今後も大切にして、成功事例を増やしていきたいです。

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──今後の展望について教えてください。

藤井 まだまだスタートしたばかりなので、データ基盤もまだ調整中のところもありますが、ローンチした1年前と比べるとかなり前進しており、1年後はまた違った状態になっているだろうと、ワクワクしながら日々業務に取り組んでいます。

坂上 広告やマーケティングの領域で「自動最適化」が進むなか、我々は自社の顧客と向き合うことを大事にしたいと思っています。「AIに任せたらうまくいきました」で済ませるのではなく「なぜそうなるのか」を説明できるようになりたいからです。

 タイアップ広告などの施策を実施する際に求められるのは、メディアとして「読者は、今、こういうものに関心がありますよ」という生活者理解です。どのようなメッセージをどのように伝えると読者に響くのか、タイアップ広告の制作者の感覚や知見に頼っていたところを、データで可視化することで、納得感を持ってご提案できるように「手触り感のある」取り組みを深めていきたいです。

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多様な生活者との接点から得た1stパーティデータを用いたデータソリューション・プラットフォーム「A-TANK(エータンク)」の資料はこちら。

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坂上 正人(さかじょう・まさと)

2013年に広告部門に入社。2018年よりデジタル広告のプランニングに携わり、現在はデータ基盤の整備や新たなデジタル広告メニューの企画・開発を行っている。朝日新聞社メディア事業本部プランニング1部所属。

藤井 翔太(ふじい・しょうた)

2017年にマーケティング部門に中途入社。ブランド戦略、顧客マーケティングに携わる。2022年より広告部門。主にデジタル広告メニューの企画・開発、プランニングを担当する。朝日新聞社メディア事業本部プランニング1部所属。