
「読者の人生を豊かにする本との出会い」をテーマに、さまざまなジャンルの書籍を取り上げ配信している朝日新聞社の「好書好日」。朝日新聞の書評をはじめ、注目書籍、著者インタビュー、音声番組(ポッドキャスト)など多彩なコンテンツが40代以下を中心とした若い世代の読者の支持を集めている。サイトの読者を対象にした質の高いタイアップ企画は読了率の高さが際立つ。「好書好日」編集長の加藤修氏、メディア事業本部・プロダクトプランニング部でビジネスディレクターを務める横山翼氏に、同サイトのユーザー層や強みについて聞いた。
―― 「好書好日」とはどういうサイトですか
加藤: 「好書好日」(好書好日とは|好書好日)は、本との出会いをサポートする情報サイトです。朝日新聞に掲載される書評、オリジナルの記事、本紙の文化面に掲載される記事など、月に100本以上のコンテンツを配信しています。また、各出版社の新刊やキャンペーンの告知をはじめ、出版社以外の企業とのタイアップ企画にも意欲的に取り組んでいます。
―― どのようなコンテンツを展開しているのでしょうか
加藤: 若い世代の作家や著作を丁寧に紹介しています。例えば「小説家になりたい人が、なった人に聞いてみた。」という月一回の人気連載は、公募文学新人賞を受賞したばかりの方々にインタビューする企画。Z世代の受賞者をはじめ、年齢を重ねても「小説を書きたい」と若々しい情熱を持ち続けている方々に焦点を当てています。
また、本サイトは朝日新聞の書評と若い読者の橋渡し役でもあります。本紙の書評は1924(大正13)年からの歴史があり、さまざまなジャンルで活躍する評者たちが本の魅力や歴史的価値を分かりやすく紹介し、定評があります。質の高い書評を提供するメディアは昨今とても貴重で、新聞を読む習慣がないデジタル世代にも、本紙の書評の魅力を知っていただけたらと思っています。

書籍に月3,000円以上使う方が4割以上!長文も読了するリテラシーの高いユーザー層
―― 他のメディアと比較して「好書好日」の特徴は何ですか
加藤: 朝日新聞の書評を根幹としていますので、情報の中立性、公平性が最大の特徴です。出版社に紐付かない独立系の本の情報サイトとしては、質・量ともにトップクラスと自負しています。
―― ユーザー層の特徴を教えてください
加藤: 男女比はほぼ半々で、年代は44歳以下が6割、そのうち18〜24歳が全体の14%を占めます。会員アンケートでは、月に4冊以上本を読む人が過半数、1カ月に本に3,000円以上使う方が4割以上と、かなりの本好きが集まっています。最近の例で言うと、話題の映画「国宝」に主演した吉沢亮さんのインタビューが大変読まれたと同時に、原作『国宝』の著者・吉田修一さんのインタビューが、2018年の記事にもかかわらず連日トップページビューとなりました。流行や社会現象に敏感なだけでなく、現象の背景まで深く知り、物事の本質に迫りたいと考える、知的好奇心の強い読者が多いことを示す一例です。
クオリティの高さがエンゲージメントを生むタイアップ
加藤: タイアップにおいても同じことが言えます。商品の価値やブランドの歴史的背景などについて丁寧に紹介すると、長文でも最後まで読了し、理解していただける確率が高いメディアです。
横山: タイアップの最近の事例としては、絵本作家・ヨシタケシンスケさんのトークイベントを採録した記事や、作家の川上弘美さんと俳人の夏井いつきさんの対談記事が大変読まれて、SNSでも大きな反響がありました。「好書好日」の愛読者だけでなく、検索流入も目立っていて、読み物としてのクオリティの高さに注目していただけたのではないかと思います。また、読了率の高さについて加藤編集長から話がありましたが、例えば6,000字程度のボリュームのある記事でも読了率が約4割にのぼることもあります。商品の認知向上やエンゲージメント強化といった施策との親和性が高いサイトと言えます。
注目は音声メディア「ポッドキャスト」でのタイアップ
―― ポッドキャスト「好書好日 本好きの昼休み」の概要と、なぜポッドキャストにチャレンジしようと思ったのかについて教えてください
加藤: 2022年9月に開始したポッドキャスト「好書好日 本好きの昼休み」では、小説やエッセイはもちろん、ビジネス書や新書、漫画に至るまで、話題の本の著者インタビューや、編集部員の後日談などを週に1回のペースで配信しています。滝沢カレンさん、小泉今日子さんら著名なゲストにもご出演いただいています。ポッドキャストは「ながら聞き」できるのが魅力です。
ポッドキャストにチャレンジしたのは、テキストの読者とは違う層にリーチできる可能性を追求したかったからです。オーディオブックの需要の高まりからもわかる通り、本と音声は意外と相性がいい。編集部に配信経験のある人材がいたことも大きかったです。いまではApple Podcastの「ブック」カテゴリで1位常連の人気コンテンツとなっており、さらに可能性を広げていきたいと考えています。
横山: 「本好きの昼休み」はユーチューブチャンネルも展開しているほか、広告タイアップも行っています。例えば、祥伝社とのタイアップでは、『闇バイト 凶悪化する若者のリアル』の著者・廣末登さんのインタビュー音声を配信し、同時に「好書好日」でインタビュー記事を公開しました。「インタビュー音声×記事」のタイアップ事例はめずらしいと、出版界以外の広告主からも関心を寄せていただいており、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っています。

―― メルマガの配信も行っていますね
横山: 毎週配信のメルマガは約1万6,000人の登録者がいます。ビジネスパーソンが過半数を占め、本だけでなく食・健康・医療や旅行・スポーツ・アウトドアなど幅広い分野に関心の高い好奇心旺盛な読者に読まれています。メルマガでも広告主が訴求したい内容に合わせた記事を配信することができ、著名な作家とのコラボイベントの集客に効果を上げた事例などがあります。また、メルマガの開封率は4~5割と高い水準を維持しており、登録者のエンゲージメントの高さがうかがえます。

強みは、作家やプロフェッショナルとのネットワーク
―― 出版社以外の企業とのタイアップ記事事例を教えてください
加藤: 大きな反響を呼んだ事例としては、2022年に展開したサントリーの「プレモル×半沢直樹コラボ企画『コトブキ・ジローと五人のお客さま』」(広告朝日記事:https://adv.asahi.com/marketing/method/14681802)があります。『半沢直樹』シリーズの著者・池井戸潤さんが、サントリーの工場や「ザ・プレミアムモルツ」の醸造家の方々を取材され、商品のこだわりやおいしさの理由を『半沢直樹』の名物キャラクターたちが入れ替わりで登場する全6話の小説として書き下ろしてくれました。大変ぜいたくなキャンペーンで、作家のみさんと信頼関係を築いている朝日新聞と「好書好日」だから実現した企画です。紙面では6週にわたってストーリーを展開し、この期間に本サイトは5,900万リーチを獲得しました。「『半沢直樹』シリーズと同じように面白く読めた」「プレモルを飲みたくなった」などの反響があり、実力ある作家の“喚起する力”を改めて実感しました。

――タイアップの企画はどのような流れで進められますか?
加藤: 「この商品をプロモーションしたい」「客観的な視点で、企業メッセージをユーザーに伝えたい」などとご相談いただければ、編集部が読者の共感ポイントをおさえた文脈で、企画・立案・ディレクションを行います。また、池井戸潤さんとのコラボ企画のように、商品や企業メッセージと親和性のある作家と広告主をつなぎ、他にない魅力的なプロモーションを提案することもできます。作家がどんな趣味や関心を持っているのか、インタビューなどから常に情報を蓄積しているので、その情報をうまく生かせるところが我々の強みです。

横山: 加藤編集長をはじめとする編集部のネットワークは、著名な作家や文化人のみならず、専門分野に長けたライターやフォトグラファーにも及びます。広告主の目的に沿うコンテンツを制作できるプロフェッショナルをアサインし、クオリティーの高いコンテンツに仕上げられるところも「好書好日」の強みと言えます。
―― 今後の展望や新しい取り組みについて教えてください
加藤: 漫画にちなんだコンテンツを充実させていきたいと考えています。漫画表現の深まりを「好書好日」ならではの視点で捉え、作品の魅力を紹介していきます。この7月からは、漫画好きで知られる作家の一穂ミチさんがイチオシの漫画を紹介する連載企画「一穂ミチの日々漫画」がスタートしました。作品の魅力とともに漫画評の魅力を届けていきます。また、俳優の谷原章介さんがイチオシの本を紹介する連載企画「谷原書店」でも、漫画の紹介を増やしていくつもりです。
横山: 「好書好日」のユーザー層はリテラシーが高く、商品やサービスを丁寧に訴求すれば、文脈まで深く読み取ってくださる方が多いと、先に触れました。つまり出版社のみならず、あらゆる業種とのタイアップが可能な汎用性のあるサイトです。朝日新聞本紙との連動企画や、ポッドキャストとの連動企画、あるいは加藤編集長が司会を務める話題の著者のトークイベントなど、様々な仕掛けができるメディアなので、広告主のニーズに応えるタイアップにどんどんトライしていきたいと思っています。

好書好日 媒体資料
「読者の人生を豊かにする本との出会い」をテーマに、様々なジャンルの書籍を取り上げ配信している朝日新聞社の「好書好日」。資料では、作家とのコラボレーションや、メディアタイアップなどの事例をご紹介します。
1991年入社。文化部で文芸や読書面などを担当し、2021年から好書好日編集長を務める。近年では「池井戸潤が撮る日本の工場」、小池真理子さんの「月夜の森の梟」などを担当。
朝日新聞社メディア事業本部プロダクトプランニング部員。2015年入社。記者として千葉総局、鳥取総局、西部報道センター、政治部で取材。2023年6月から「好書好日」のビジネスディレクターを務めている。