「メディア朝日」の取り組みの中でも、1社提供の特別番組などで事例の多いBS朝日。新聞にはない、映像メディアの特長を枠組みに入れられることが魅力だ。営業局営業部主任の五十嵐 豊氏に、同社から見た「メディア朝日」について聞いた。
地デジ化によって急速に普及するBS放送 媒体力も着実に強化
――BS朝日のメディア特性について
BS朝日は、2000年12月に開局したテレビ局です。衛星を利用したデジタル放送なので、BSアンテナとチューナーがあれば全国どこでも視聴することができます。11年7月の地デジ化に伴い、衛星放送が受信できるチューナー付きのテレビや共同アンテナなどが急速に普及したことは、BSデジタル放送局にとって大きな転機となりました。
視聴可能世帯数も、全国総世帯数の5,417万世帯(12年3月現在)に対し、約3,900万世帯と順調に伸び続けています。メーンとなる視聴者層は40歳代以上で、男女の割合はほぼ半々。地上波と比べて、あまり頻繁にチャンネルを変えずに視聴する傾向が強いという調査結果もあります。平日21時台に放送しているオリジナルの旅番組は、民放のにぎやかなバラエティー番組とは違った、大人がゆったりと楽しめる内容で人気があり、視聴率に代わる数値データの「接触率」の高い番組でもあります。
07年以降、民放系BSデジタル5社すべてが黒字で、年間500億円超の市場にまで成長しています。そうした背景から、スポンサー企業もナショナルクライアントが増えており、媒体力が年々高まっていると自負しています。
――メディア朝日の取り組みとメリットについて
BS朝日では、1社提供やミニ枠など、スポンサーの意向を踏まえた番組づくりを数多く手がけています。メディア朝日として取り組む際も、1社提供番組やミニ枠での番組提供が多く、放送当日に番組の告知として新聞広告を掲載することができます。それは大きなメリットだと感じています。
2013年4月から5月にかけて放送した、オーストラリアの4都市を紹介する「みんなで選ぶ とっておき!オーストラリアBEST10」という番組もメディア朝日として取り組んだ事例です。スポンサーはオーストラリア政府観光局で、テレビ、新聞、ウェブサイト、ソーシャルメディアと連動させた立体的なキャンペーンを展開しました。
また、ティファニーの事例も朝日新聞社との連携によって実現したものです。175周年を迎える年の記念番組として、米国のティファニー本社や工房を取材し、番組で詳しく紹介しました。新聞では、作家の吉田修一さんの書き下ろし小説シリーズや全15段広告などを年間を通じて展開しました。新聞とテレビで訴求したことで、ティファニーの魅力をより深く、より多くの人に伝えられたと思っています。
スポンサーの意向と番組の質を両立させることが大切
――番組を作る上で、工夫していることは
BS朝日の視聴者が求めていることは、知的好奇心を満たす良質な番組だと思っています。メディア朝日の事例に限ったことではなく、視聴者にとって有益であることと、スポンサーが番組を通じて表現したいこと、そのバランスを保つことは大事なこと。視聴者が「面白かった」とか「ためになった」と心を動かす番組をつくることは、最終的にはスポンサーのためになるのです。そのかじ取りは、営業担当者のだいご味でもあります。
――メディア朝日のこれからをどう見ていますか。
今は朝日新聞からの提案で実現することが多いのですが、BS朝日から朝日新聞グループと連携する企画を立案し、積極的にスポンサーに提案していきたいと考えています。スポンサーにとって新たな広告展開のきっかけにもなるはずですし、視聴者や読者にとっても新しい情報を得る機会にもなるはず。それぞれのメディアの特性を生かし、上手に融合させていくことは、今後より一層求められることでもあると思っています。