「CSRの視点から考える、働きがいのある企業とは」東急グループをケースとしたフォーラムを開催

 企業がCSRをどうとらえ活動しているかを、就職先を選ぶ際の判断基準の一つとする学生が増えてきている。そこで、CSRの視点から考えたときに、働きがいのある企業とはどういうものなのかを考えるフォーラムを、昨年11月18日、朝日新聞社広告局の主催で開催した。東急グループのCSR活動をケーススタディーとしながら、同グループのCSR担当者や専門家を招いて行われた。

 まず、CSRの定義や、企業がCSR活動を行うことの意義などについて、麗澤大学教授・同大学企業倫理研究センター副センター長の梅田徹氏が講演を行った。

 CSRの定義として、梅田氏は、次の三つのポイントを挙げた。①本業で社会に貢献すること ②社会に迷惑をかけないこと(法令に違反するような行為が起きないように仕組みを企業内に作っていくこと)  ③社会的問題を解決していくこと(本業で獲得した技術を使って社会的問題を解決したりボランティア活動をしたりすること)

 長期的な視点に立って考えたとき、企業が利益を圧縮し、犠牲を払って行う取り組みが、「社会から評価される」というベネフィット(恩恵)として返ってくることがCSRなのではないか。また、そうした活動を社会に広く知らせていくこともCSRである。企業は評価されるためにCSR活動を行うのではなく、社会的な価値を作り出すという目的があってこそ、といった趣旨の話が展開された。

 続くトークセッションでは、梅田氏に加え、東急電鉄社長室CSR推進部統括部長の林茂氏、東急不動産コンプライアンス部統括部長の田中勝氏が登壇。同グループのCSRについての考え方や取り組みについて話し合われた。

麗澤大学教授・梅田徹氏、東急電鉄・林茂氏、東急不動産・田中勝氏によるトークセッション(コーディネーターはインテグレックス社長・秋山をね氏) 麗澤大学教授・梅田徹氏、東急電鉄・林茂氏、東急不動産・田中勝氏によるトークセッション(コーディネーターはインテグレックス社長・秋山をね氏)

 グループ発足当時から企業活動の中心としてきた「街づくり」そのものが、同社のCSR活動につながっていることや、財団活動の中で、学校法人・美術館などの文化活動や、多摩川の環境浄化・保全活動を行っていること、グループ社員が各地で作る組織「東急会」で、それぞれ社会貢献活動を行っていることなどが述べられた。また、最近ではCSRの一環として、企業が労働者や従業員の利益に目を向け、働きがいのある環境をつくることが求められていることについても挙げられた。

 社会の動きや、社会が何を求めているかということに対して感性を持った人こそが、企業から求められる人材なのではないか、というメッセージが、来場した学生たちに向けられた。多くの熱心な来場者が聞き入り、フォーラムは盛況のまま幕を閉じた。

(東京本社広告局運輸・観光担当)