この2~3年、小学生の子どもを持つ親に向けた雑誌の創刊が相次いでいる。「プレジデントファミリー」(プレジデント社)、「日経キッズプラス」(日経ホーム出版社)などがあり、一昨年3月には朝日新聞社が「アエラウィズキッズ」を刊行した。出版本部出版プロジェクト編集部の中村正史編集長に聞いた。
私立中学志向がキッズ誌人気に拍車
── 教育関連の出版市場が活況です。
東大受験をテーマとした漫画「ドラゴン桜」のヒットや、「プレジデントファミリー」が“頭のいい子の親の顔”という特集で話題を呼んだことなども後押しして、「子どもの将来の可能性を広げたい、そのためにブランド大学に入学させたい」という親たちの教育熱は高まっています。とりわけ関心が高いのが、私立中学受験です。それは公立学校に対する不信の裏返しともいえ、特に首都圏での公立離れは著しく、5人に1人が私立中学を受験している現状があります。
──「アエラウィズキッズ」の編集内容は。
実用性という観点から、学校選び、塾選び、勉強法、食育、親子関係・人間関係など、様々なテーマを扱っています。勉強に関する特集では、読者のニーズには積極的に応えるようにしていますが、一方で、公立学校の前向きな取り組みを紹介するなど、中立で公正な目線を心がけています。最近は、「親子関係を決める9歳の壁」などの子どもの成長に伴う悩みに関する記事への反響が大きいですね。
── 編集ポリシーは。
重視しているのは、情報の信頼性です。「一つの情報が一人の子の将来を左右するかもしれない」との責任を自覚し、裏付けのある情報を載せるようにしています。また、大学入学をゴールに据えるのではなく、社会に出た時に必要な「人間力」を養う、長い目で見た教育のあり方を提示しています。
── 読者の反響は。
編集部には毎号多数の読者アンケートはがきが返ってきますが、「目からウロコの情報でした」「自分の教育は間違っていなかった」など、どれも意見がびっしり書かれています。今の時代、知りたいことはネットで調べられますが、情報があふれ過ぎて「何を信じたらいいかわからない」と悩んでいる親が多いと感じます。
── 昨年、「アエラウィズベビー」を創刊しました。
読者の要望からできた雑誌で、「やっと役に立つ幼児雑誌ができた」と好評をいただいています。この雑誌の誕生により、朝日新聞社の教育関連雑誌は“ゆりかごから大学まで”を網羅しました。信頼のできる情報提供をトータルに貫いていくつもりです。
出版プロジェクト編集長
「大学ランキング」「AERA with Kids」「AERA with Baby」など教育関連媒体を統括している