第33回「日本の自然」写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会、協賛:ソニーマーケティング)の表彰式が、7月11日、銀座ソニービルのコミュニケーションゾーンOPUSで開催された。
同賞は「いつまでも守り続けたい日本の自然」をテーマに、1982年にスタート。日本の美しい風景や動植物、人間の営みなどをストレートに表現した写真作品を、プロ・アマチュア問わずに応募できる。フィルム作品が対象の「一般部門」、画像データをソニー「4Kブラビア」に映し出して審査を行う「ソニー4K賞」に加え、今回は30歳以下の若きフォトグラファー向けにウェブで作品を募集したスペシャル部門「ソニーネクストフォトグラファー賞」を新設。前年を600点近く上回る5,566点の応募があった。
若き表現者を応援する「ソニーネクストフォトグラファー賞」を新設
冒頭、あいさつに立った朝日新聞社ゼネラルマネジャー兼東京本社報道局長の長 典俊氏は「33回目の今年、大きな変革の年を迎えた」とし、新設した若手を対象にしたスペシャル部門に言及。「前回までに比べ30歳以下の若い方からの応募が10倍以上に上った。若い感性が映し出された力作が多く寄せられたことは非常に喜ばしい」と語り、「一般部門、ソニー4K賞に加えて、ソニーネクストフォトグラファー賞と、審査方法の異なる三つのカテゴリーがそろったことで、ますます幅広く奥行きのあるコンテストになるものと期待しています」と述べた。
代表取締役執行役員社長 河野 弘氏
続いて、協賛社であるソニーマーケティング代表取締役執行役員社長の河野 弘氏が壇上に上がると、「ソニー4K賞」と「ソニーネクストフォトグラファー賞」の受賞2作品を65インチの「4Kブラビア」の大画面で映し出した。非常にダイナミックでバックライトにより立体感や光が感じられ、プリント写真を見るのとはひと味違うだいご味がある。「4Kテレビが登場したことで、たとえば大画面に映し出された画像をみんなで見ることで会話が生まれるなど、新しい写真の鑑賞スタイルができた。4Kテレビの技術はどんどん進化しており、これからも表現の領域は広がっていくでしょう」と河野社長。ソニーでは「映す」4Kテレビだけでなく「撮る」カメラも手がけており、「業界に新しい風を吹き込むような革新的な技術へのチャレンジを通じ、これからもどんどん写真の楽しさを提案していきたい」と語った。
様々な思いで切ったシャッターで、ありのままの自然の姿を伝える
表彰式には、47人の受賞者が出席。最優秀賞、今森光彦賞、中村征夫賞、前川貴行賞、水越武賞、吉野信賞、米美知子賞、ソニー4K賞、都道府県一賞、そして、ソニーネクストフォトグラファー賞の各賞が発表され、受賞者は審査委員から記念の盾や副賞などを授与された。
最優秀賞を受賞したのは、寺本勲さん(熊本県)の「山の怒り」。阿蘇の噴火の瞬間を捉えた、思わず息をのむ迫力とスケール感のある作品だ。寺本さんは4月の熊本地震で被災したことに触れ、「カメラを持てないほど落ち込みましたが、受賞の連絡を受けて元気を取り戻しました」と笑顔に。表彰式のために車で東京へ来る道中、富士山の5合目に2日間泊まり撮影をしたそうで「夕焼けや、雲海に映し出された朝焼けなど、一期一会の美しい風景が撮れました。来年また出品しようかな」と次なる意欲を語った。
最優秀賞「山の怒り」 寺本 勲さん
「ソニー4K賞」の藤岡博司さん(広島県)の作品「夜明の入浜」は、なんと「都道府県一賞」の「広島県一賞」とのW受賞。世界遺産でもある安芸の宮島の桟橋から車で30分ほど裏に入ったという撮影ポイントで、夜明けの光を受けて紅に染まるシカと1本の樹木を撮影。色と光の美しさが印象的な作品だ。「2年ほど前の写真で、その後も何度も通ったけれど、これを超えるものは撮れなかった」と長きにわたる撮影エピソードを披露。「まさか受賞できるなんて思っていなかったので、本当にうれしいです」と受賞の喜びを述べた。
ソニー4K賞「夜明の入浜」 藤岡博司さん
新設の「ソニーネクストフォトグラファー賞」は、小林ゆうみさん(東京都)の「親子の旅路」。奄美大島沖で寄り添い泳ぐザトウクジラの迫力と親子愛が感じられる美しく神秘的な作品だ。受賞に驚きと戸惑いを見せながらも、「一緒に泳いで水中撮影しました。環境破壊などで、こんな風にクジラがこなくなったらやだなぁと思い写真に収めました」と、作品に込めた思いを語った。
ソニーネクストフォトグラファー賞「親子の旅路」 小林ゆうみさん
総評は、審査委員の写真家・吉野信氏から。「デジタルカメラが登場したことで昔は撮れなかった瞬間的な写真が撮れ、見られなかった世界を写せるようになった。今回も、自然の素晴らしい一瞬をとらえた力作がそろいました」と受賞者たちを称えた。「『日本の自然』写真コンテストとあるように、ありのままの自然の姿そのものを切り取り、見せることが大前提にある。そのことを真剣に考え、これからもいい写真作品に取り組んでいってほしい」と、来場者にメッセージとエールを送った。
入賞作品を展示する巡回展を全国15カ所で実施予定。会場では、受賞作品を実際にブラビアで鑑賞することができる。