朝日新聞社は11月26日(水)、東京・丸の内の東京會舘で「出版懇親の夕べ」を開催し、出版社・取次会社・広告会社の幹部、弊社の幹部など約380人が出席しました。1996年から続くこの会は今回も、出版界と朝日新聞社が強い絆で結ばれていることを再確認する場となりました。
政治学者で東京大学教授の苅部直氏による記念講演「戦後『論壇』をふりかえる-理想主義と現実主義」では、戦後「論壇」の転換点となった論考を紹介しつつ、理想主義が革新、現実主義が保守という単純化された議論に収まらない重層的な言論空間が成立していたことを示しました。ヘイトスピーチに象徴される原理(タテマエ)なきホンネの噴出のような言論が増えている状況のなかで、議論を深めていく場として活字メディアの重要性が増していると説きました。
懇親パーティーの冒頭では、木村伊量代表取締役社長があいさつしました。かけがえのない活字文化を守っていくとした上で、メディアラボの分室を東京・渋谷に開いたことなどを紹介し、時代の変化を先取りし、新しい沃野(よくや)を目指すチャレンジを続けていくと話しました。また、8月以降の一連の事態について「新聞のみならずメディアの信頼を損なうような結果となり、改めておわび申し上げたい」と謝意を示し、「信頼回復と再生を掲げて生まれ変わった朝日新聞が近くスタートします。新しい経営陣の船出を温かく、また厳しい眼で見守ってほしい」と話しました。
続いて、和気靖常務取締役広告担当が、夏目漱石の小説の再連載の取り組みを紹介し「広告や記事を通して、出版界の皆さまと共に歩んでいく。活字文化を発展させるために貢献していきたい」とあいさつしました。
最後に、中村史郎東京本社広告局長が「常々、活字文化を共に守っていきましょうと申しておりましたが、今年は助けられてばかりでした。朝日に載れば本が動くという強い媒体として頑張っていきます」という決意とともに、長年にわたるご愛顧に感謝の意を表し、大盛況のうちに閉会となりました。
(朝日新聞東京本社広告第1部)